2001/12/15 (土)
●菓子からチクロ検出、群馬のメーカーに回収命令(読売)
さて、過去の記事の読み方がわからない人のために「カレンダーをクリックすれば読めます」と教えてしまうとっても優しい淫魔、ユリです。わざわざ説明する必要はないと思っていたんですが、もしかしてわかりにくかったですか?
ちなみに掲示板の過去ログはめきめきと音をたてて消滅していっています。最新69件しか保存されていないので、過去ログの欲しい人はこまめに各自で保存してくださいね。ユリは保存していませんから。
それでは、今日のニュースです。チクロです、チクロが検出されました。
群馬県高崎市のお菓子メーカーの出荷した商品に、食品衛生法で禁止されている添加物「チクロ(サイクラミン酸)」が検出され、回収命令が出されたとのことです。
微量(0.025/1000g)ということもあり、即効性の障害の心配はないようです。海外で作られたため、なんらかの手違いで混入されてしまったのでしょう。
飲み物は飲んでも食べ物は食べないユリですから、今回の件はあまり関係のない話です。ただ、チクロをはじめとするいわゆる人工甘味料については、炭酸飲料の好きなユリにとっても関係してくる問題ですので、もう少しだけ掘り下げてみたいと思います。
まず人工甘味料といえば「サッカリン」が有名です。世界で初めて(1878年)発見された人工甘味料で、今なお現役です。日本では現在は認められていませんが、アメリカでは添加されたものに警告を記載することで認められています。マウス実験では膀胱癌の確率を高めるという結果が出たために発癌性物質とされて一度全面禁止(1973年)になりましたが、後の研究によりサッカリンのみでは直接的な影響は見られないという報告もあり、規制が緩和されたのです。
そして今回の「チクロ」。実はこの添加物、明確な毒性がはっきりしていないようです。サッカリンが発癌性の嫌疑をかけられた1960年代に、疑わしきものも罰するという世論によってあまり研究さないまま全面禁止(1970年)されてしまいました。現在の研究では、それほど高い毒性はないことが明らかになっています。
さらに現役バリバリの「アスパルテーム」。ダイエット系のローカロリー飲料には大抵添加されています。安全性はそれなりに認められているため、日本でも大量に消費されているわけです。「チクロ」が全面禁止になる直前(1969年)に実用化され、まさしくこの人工甘味料業界の救世主となりました。ただし酸に分解されやすいという性質を持つため、アスパルテーム添加の炭酸飲料は時間とともに甘味を失ってしまうという難点もあります。
そして新鋭「アセサルフェームK」。安全性が最も高いとされ、コストも安いことから今後が期待されています。ただし僅かな苦味も残るため、上記のアスパルテームと混合して使用されることが多いようです。
ふう、資料をまとめるのは疲れますね。
とにかく、人工甘味料としてはこの4つがあります。つまり、チクロは唯一全面的に禁止されている人工甘味料なわけです。はっきりとした理由はわからないままで。
不思議に思うのは、これだけ化学が発達していても動物実験での統計が最も有効な安全性の判断材料ということです。確率に頼る限りは「絶対」はありえないわけですから、問題はどこで線を引くかということになってしまいます。タバコの問題も同じですね。
こんな笑い話があります。「絶対に食中毒にならない方法を教えてあげよう。それは『なにも食べない』ことだ」と。食べ物の毒性なんて、疑い始めればキリがありませんから、どうかなるべく万人向けの、明確なラインを作ってほしいものだと思います。
もともとカロリーの高い食べ物を「おいしい」と感じるのはあたりまえだと思います。そう感じることによってよりカロリーをたくさん蓄積して、生き物は生き続けようとするわけですから。しかし人間には「飽食」という不測の事態が生じ、「おいしいけど低カロリー」などという矛盾した存在を求めるようになってしまいました。
物質すら再構成するようになった人類は、いったいどんな未来へ向かっているんでしょうか。人間にとっては寄生虫のような存在である淫魔には、この問題は難しすぎます。疲れましたので、今日のニュースを終わります。ニュースなんかじゃないという説もありますけどね。
それでは、最後に絵を一枚どうぞ。三ヶ日先生の描く、九阿留小麦ちゃんです。
え、あ、だってくれるって言ってたし、載せちゃってもいいんじゃないかなぁって。全然本文とは関係ないんですけど、たまには画像を載せないとCGIがかわいそうですから。
というわけで、画像投稿なんかしちゃうと掲載しちゃうかもしれないので、電子おハガキでも軽く募集しておきます。写真でも構いません。権利問題だけをしっかりと克服してもらえれば大丈夫です。没になっても構わないからここの読者さんに見て欲しい、という画像をユリのメアドまで添付して送ってくださいね。それでは、また明日です。
|