「夢見る頃……6」  星都



  レイプ! その興奮

「なんだろ……」
 コンビニの駐車場で何か騒いでいる。
(酔っぱらいのケンカか)
 真弓はさほど気にも止めずコンビニへ入った。いつものように立ち読み。一日中晴れていたのに、傘をぶら下げている真弓は奇妙に見えるかも知れない。
「また会いたいから、君に貸しとくよ」
 返そうとした傘を、松田はそう言って受け取らなかった。
「んふっ」
 ついニヤけてしまう真弓。あれだけ松田に気に入られたなら、もう決まったも同然。
(月五〇万か……これも買っちゃお)
 いつも立ち読みだけの雑誌、今日は何冊も買ってしまった。
 駐車場は静かになっていた。しかし、鼻歌混じりに歩く真弓の耳に、再び甲高い怒声が響いた。
「やだ……まだやってる」
 先ほど言い争いをしていた連中。今度は公園の前でやっている。
「ヤレるもんなら、ヤンなさいよ! そんな度胸ないくせにっ! ハハッ」
「なんだとこのアマ!」
 女は男の手を振りほどくと、澄ました顔で公園へ入って行った。その後を、男共が口々に汚い言葉を吐きながら追っていく。
(どうしょう……)
 女の人が姦られてしまう。真弓は電話ボックスへ入ると受話器を取り、警察へ……。
(もし、ナニもなかったら……)
 そう思うと不安だ。
(確かめてからにしよう)
 受話器を掛け、公園へ入った。耳を澄ますと女の唸る声が。
(やっぱりされちゃってるのかな……)
 声のする方は公衆便所の裏。足音を忍ばせて覗くと、女が押さえ付けられ、デニムのパンツが引き下げられているところだった。
(助けなきゃ!)
「チカーン! 誰かァーッ!」
 真弓の声に、男達はドッと逃げ失せた。
「大丈夫ですか……」
 女はパンツを引き上げ、汚れを払いながら、
「余計なことしないでよ!」
 苛立った様子に真弓は困惑してしまった。
(助けてあげたのに……)
「ついて来ないでよ!」
 付ける訳ではないが、方向が一緒なのだ。
「あら、あなた……確か?」


「ごめんなさいね。助けてくれたのに、ヘンなこと言っちゃって」
「いえ、あたしこそ……余計な……」
 余計なことだとは思っていない。真弓は言葉尻を濁し、注いでくれたコーラを飲んだ。
 後藤麻紀、通称〃ゴマキ〃のピアノの先生吉永良子は、驚くほど真弓の家の近くに住んでいた。
「今日はデートの帰り?」
「エッ、そんな……」
 とんでもない。といった調子で手を振る。
「いるんでしょ? 彼」
「いないです……」
 真弓は良子に会ってからずっと、聞きたくてウズウズしているコトが二つあった。しかし、以前良子のレイプシーンを見てしまった真弓には、言い出せずにいた。良子の質問は願ってもない切っ掛けを作ってくれた。
「先生は……」
「先生はやめて……良子って呼んでよ」
「良子……さんは、彼氏、いるんですか?」
「いるよ」
「……」
 思わず良子の顔を見つめてしまう。殆ど間違いない! と思っていた予想が外れた。
(別れてないの?)
「私に彼がいちゃ、そんなに不思議?」
「そんなことないです! もう、お付き合い長いんですか?」
「約二年……かな?」
 続きが有りそうだったが、良子は言葉を飲み込み、グラスに残ったコークハイを飲み干した。
「真弓ちゃんも飲む?」
「あたしは、いいです」
「そう……」
 ウイスキーを注ぎ、コーラを注ぐ。かなりのハイペースで、既に数杯飲んでいる。
「色々あって……別れようと思ってるんだけど……」
「エッ? どうしてですか?」
 やっぱり予想は当たっていた。いけないことだが、真弓はちょっと嬉しかった。
「私ね……レイプされたの。彼の、見てる前で……」
「レイプ……」
 知っている。見ていた。なんて言える筈がない。如何にも〃ウソ!〃といった表情を作って見せた。
「それ以来、彼、やたら優しくて……私を慰めてくれてるつもりなんだろうけど、その優しさが、辛いの……」
 自分が居ながら彼女を守ってやれなかった。そんな自暴自棄の中、彼女に優しく接することで、彼女のみならず自分自身をも慰めているのだろう。
「私、レイプなんて気にしてないのに……そりゃ、彼の前で姦られたんだからショックだったわよ。暫くは思い出すだけで吐き気が止まらなくなったくらいに……でも、四、五日もすると変わったの」
 酒のつまみにはおよそ相応しくないと思えるチョコボールを口へ放り込み、
「酔ったのかな……誰にも言えずにいたのに、こんな話、真弓ちゃんに言ったってしょうがないよね」
「い、いえ……」
 ここで止められたら気になって眠れなくなってしまう。
「ナニが、変わったんですか?」
「聞いてくれる? 聞いても、私のこと『変態だ』なんて思わない?」
「ええ……」
「じゃあ、今まで溜まってたコト、全部吐き出しちゃうよ。覚悟しててね!」
「……はい」
 一体どんなコトを話してくれるんだろう。グラスを持つ真弓の手に、自然と力が込められていく。
「レイプされた後ね、一晩に何度もその夢を見て魘されてたの。それが、何日か経った頃に、また夢見て夜中に目が醒めちゃったんだけど、冷たいの……パンツが……分かる?」
「……」
 真弓がコクンと唾を飲み込む音を聞き、良子はフフッと笑みを浮かべた。
「身も心もボロボロだって思ってたのに、ボロボロなのは心だけ。身体はとっくに立ち直ってたのね……憎らしいほど、濡れてて……私、一人でシちゃった」
 艶っぽい目で真弓を見つめ、
「真弓ちゃんも、シ・テ・ル・でしょ? オナニー……」
「あ、あたしは、そんなこと……」
「シテないの? なーんだ、してないのか」
 さも残念そうに肩を落とした。
「実はね、私、初めてだったの……この年で初めてオナッたなんて、ハハハ……」
 おかしそうに笑いながら、意味ありげな目を真弓に向ける。
「みんな中学ぐらいで覚えるのに……ネ!」
「あ、あたしは……」
 ゴマキに聞いているんだろうか。良子に視線を合わせることができない。グラスに入ったコーラを揺らめかせ、真弓は火照った頬を俯かせていた。
「初体験が早かったから、覚えるヒマ無かったのかな」
「いくつだったんですか?」
 早くオナニーの話から逸らしたい真弓は、直ぐに口を挟んだ。
「中二の、夏」
「中二……」
 なんだ、覚えるヒマなんていくらでもあったじゃない。小学三年からシテる真弓には、ちょっと納得出来ない学年だった。
「真弓ちゃんは〃レイプ〃に興味ある?」
「え?」
「男でも女でも、レイプに興味のある人は多いんだって。私の友達にね、ナマで、本物のレイプが見たいってコがいたの。夏休みが始まったばかりの頃に、そのコが家へ来て……」


「良子、明日……見に行かない?」
 怖いほどひっそりした声。
「……」
 良子はなんのことか分からず首を傾げていると、
「部活の先輩がね、明日、気に入らないコをレイプするんだって……で、見たかったらおいでって誘ってくれたの。ネ、行こう」
「香織……ホントに見る気なの?」
 脚は震え、手は拳を握り締めていた。
「良子も見てみたいって言ってたじゃん。私一人じゃ心細いからさ、一緒に来てよ、ネ!」
「えーっ……」
 次の日、二人は寝不足の目を擦りながら自転車を走らせた。目的地は数年前に倒産し、今は廃墟となっている工場。
「ここよ……」
 いつになく口数の少ない二人。工場門の前で、しばし見つめ合い、互いの意志を確認しあった。
「ここォーッ!」
 すっかりガラスの無くなった窓から、香織の部活の先輩、喜美子が手招きしている。二人は窓の傍に自転車を止め、壊れた椅子を踏み台に窓から入り込んだ。
 ソコは工場の事務所だったらしい。二十畳ほどの部屋の真ん中に、机が三つと折り畳み椅子が幾つか置き去りにされていた。その机の上、そして椅子に女が一人ずつ座っている。その他、床に寝そべっている男が二人、椅子に座っている男が三人。うろうろ落ち着きのない男が一人。
「こんにちは……」
 取り敢えず挨拶をする良子と香織。思っていたほど、奇抜な服装や髪型の奴がいないので安心した。ただ、みんなの蔑むような視線が気になった。
 と、
「そろそろ始めようか……」
 喜美子の言葉で男達が一斉に立ち上がった。
「ノコノコ来るなんて……バカみたい!」
 女の一人が頬杖をついたまま言った。その女に限らず、誰もの目が爛々と輝きを増している。
「香織……」
「良子……」
 異様な雰囲気に包まれ、二人は無意識に抱き合い、震えた。
「先輩……騙したんですか……」
 香織がか細い声で救いを求めた。
「騙したりしないわ。あんたに言った通り、気に入らない女を輪姦すのよ」
 喜美子の細い手が香織の股間に押しあてられた。
「や、やめて、下さい」
「レイプを見るより、される方が興奮するわよ!」
 股間に充てた手をグリグリ動かしながら、
「あんたのリクエストに応えてあげる。ここに最初にぶち込むのは、誰のがイイ?」
「私……私……アッ!」
 ビクッ! と、喜美子が飛び退いた。
「こいつ! 漏らしやがった」
 日に焼けた長い脚が、気の毒なほどガクガク震えている。その脚を伝い、床に水溜まりが広がる。
「私……帰ります」
 香織の作った水溜まりを逃れた良子が、一気に駆け出そうとした瞬間。
「ヤーッ! 置いてかないで!」
 香織がしがみついてきた。と同時に、男達が飛びついてくる。
「ギャーッ!」
 真夏の少女達は余りにも軽装だ。一分と経たず全裸に剥かれてしまった。そして挿入! 狂った悲鳴を上げたのは香織。良子は口を開けることもできなかった。
 どれくらいの時が経過したのだろう。何人の男達が欲望を吐き出したのだろう。激痛を訴えていた部分は感覚を失い、〃ナニか入っているらしい〃と感じる程度になっていた。
「そいつ、つまんねえぇよ」
 喜美子の声に、良子は薄目を開けてみた。近くの机に頬を押しあてた喜美子が見下げている。後ろで、男が尻を突き上げているのも見えた。
(ああ、アレがバックか……)
 今の自分の状況が他人事のように、良子は醒めた瞳で喜美子の尻を眺めた。
「ケツの穴に入れちゃえ!」
 喜美子がニヤッと顔を歪めて笑った。
 身体に伝わるリズミカルな振動の中、
(出して来て良かった)
 ぼんやりとそう思った。便秘気味の良子、今日は三日振りに出たのだ。
 身体を裏返しにされ、尻を持ち上げられる。
「ウッ!」
 感覚を失った部分に代わり、肛門に激しい痛みが走った。必死に床を掻きむしる良子。
「ハハハハッ……もっと騒げ! アンッ!」
 喜美子の笑い声は直ぐにヨガリ声となった。
(犯される私達を見ながら楽しんでいるなんて……許せない!)
 犯している男達よりも、それをオカズにSEXを楽しんでいる女達への怒りの方が強かった。しかし、
(なんなの……この感覚……)
 ペニスほどの太さのモノが肛門を出ることはさほど珍しく無い。出るのと入るのとの違いの為か、かなりの痛みはあったものの直ぐに治まった。そして、排泄する時の何とも言えぬ心地よい感触が沸いてきた。
(カンジちゃうかも、知れない……)
 良子は唇を噛み締め、その感覚を無視するように努めた。
「オッ! オッ! ンーッ! ッファー」
 快感の高まりを抑えつけてる間に、男は大腸の奥へ放出した。
 萎えたモノが肛門から引き抜かれた。良子は全身の力を抜き目を開けた。相変わらず泣き喚く香織がいる。
(いい加減諦めたら……)
 冷ややかな視線を送る良子の股間に、何本目かのペニスがねじ込まれる。
(ウッ!)
 ナニも感じなくなっていた筈のソコが痛みを訴えた。
(お尻の方がイイ……!)
 ふと、そんなことを思ってしまう自分が情けない。
(ンッ?)
 今までひっきり無しに喚いていた香織の悲鳴が途絶えた。良子は股間の痛みも忘れ、香織を見た。
(っ!)
 そこには、良子と同じように後ろから犯されている香織が居た。違うのは、口にも入れられていることだ。それも、先ほどまで良子の前と後ろを散々弄んでいたモノ! 香織の唇から垂れている液体は、良子のモノかも!
(熱い……身体が……身体が熱い!)
 今まで感じたこともない激しい興奮が身体を熱くする。そして、眠り続けていた性欲が疼きだしてきた。
「アッ」
 誰にも聞こえぬ小さな喘ぎが、良子の顔を恥じらいで真っ赤に染めた。
(ダメッ! ダメよ……こんなことでカンジちゃ!)
 レイプされて感じるなんて、淫乱! ヤリマン! サセ子!
(私はそんな女じゃない!)
 込み上げる快感を必死で抑えつけ、良子は夢中で首を振っていた。


  魅惑のレズ

「香織はね、その時のショックで、今でも病院通いしてるの……それに引き換え……」
 良子は大きく深呼吸をした。
「私は男に狂っちゃって……手当たり次第ヤリまくっちゃった……でも、あの時の興奮を味合わせてくれた奴は居ない。それが……」
 そこまで言うと、両手で顔を覆い動かない。
 真弓はどうしていいか分からぬまま、じっと待っていた。
「……彼の前で……」
 そのまま寝てしまったのかと思えるほど時が経過した後、良子はゆっくりと喋りだした。
「レイプされた時、甦ったの。忘れていたあの時の興奮! 信じられないくらい身体が熱くなって、普通のSEXじゃ経験出来ないような快感が身体中を駆け巡って……私、彼が居ることを恨んだわ。もし、彼が居なかったなら、思いっきり快感を貪れるのに……彼が居たから、必死で『カンジちゃイケナイ!』って自分に言い聞かせてたの。でも、ひょっとすると、勝手に腰が動いていたかも……」
「自分から腰振ってるぜ」
 確かあの時、そんなことを言った男が居た。真弓の目には男の振動で動いているように見えたが、
(自分で振ってたんだ)
 それが、真弓が知りたかった二つ目のコトだった。
「彼の前でレイプされたのはショックよ。でも、こんな女だもの、レイプの傷なんて直ぐに忘れちゃうわ……身も心もボロボロだったのは最初だけ。ちょっと経つと、身を焦がすほどの興奮と快感が甦ってきて……日に何度もオナッちゃった」
 新しく作ったコークハイを一気に飲み干してしまった。ハイペースで飲み続ける良子だが、不思議なほど顔色も言葉もはっきりしている。ウイスキーの匂いを嗅いでいるだけの真弓の方が酔ってしまいそうだ。
「オナニーってねェ、イイモンよ!」
「そ、そうですか……」
 良子が意味ありげに見つめてくる。
「あたしは……そういうのは、ちょっと……」
 ここまで自分を暴露してる良子に対し、オナニーをしてることすら吐き出せない自分が嫌になる。しかし、言えない。
「だけどね、やっぱり男も止めらんない。だから、今日、彼を誘ったの……ホテルへ」
「良子さんからですか?」
「だって、彼、あの日以来誘ってくれないんだもの。彼、レイプされた私をホテルへ誘うなんて出来ないのよ……だから、私から誘ったの。良く通ったホテルのそばで、『暫く、入ってないね』って」
 涙が流れていないのが不思議なくらい、良子の声は沈んでいる。話すのを止めさせてくれることを願っているのでは、真弓はどう対処していいか迷っていた。
「そしたら、彼、『無理しなくていいよ。俺はシなくても平気だから』なんて。私は、私がシタいから誘ってるのに、彼は、私が彼の為に誘ってると思ってるの。レイプされた女が、それを思い出すようなことをするはずがないって思い込んでいるのよ」
 顔を歪め、苛ついたふうにテーブルを叩いた。
(はっきり言えばいいのに)
「遊びの相手ならともかく……」
 真弓の心の声が聞こえた訳でもあるまいが、良子は真弓の疑問に答えてくれた。
「……愛してる彼に、『アソコが疼くからSEXしよう』なんて言えないもん。彼の前では、清純な女でありたい……分かるでしょ?」
「え……えー……」
 愛してるからこそ、シタイ時は〃シタイ〃って言える筈。否、愛してるからこそ、シタくとも〃シタイ〃とは言えない。愛する相手に、イヤラシイ部分は見せたくない。
 そんな立場に立ったことのない真弓に、それは難しすぎる質問だ。
「結局、彼とは映画を観ただけ……私、映画館のトイレでオナッてたの。優しい彼を、女心の分からない彼を恨みながら……でも、やっぱり……」
 良子は頬をテーブルに付け、「SEXしたい」と呟いた。
「ひょっとすると、本当は彼、私の気持ちを知ってたのかも……」
「知ってて、知らない振りを?」
「彼と別れた後で、考えたの。私以上に、彼は、あのことを思い出したくないのかもって」
「そうかも知れませんね」
「そう考えると、彼の為には別れた方がいいんじゃないかって……」
「……」
 気まずいまま付き合っているより別れた方が良い。真弓もそう思う。でも、言うことは出来ない。二人の悲劇に何処か楽しみを感じていた真弓だが、良子と向かい合って話していると、不謹慎な感情など失せていた。
「色々考えても答えが出なくて……欲求不満ばかり溜まっちゃって……余計、アソコがウズウズして……つい、あいつらにケンカ売っちゃった。半分、姦られることを望んでたみたい」
 最後のコーラが真弓のグラスに注がれた。そして、良子のグラスにはウイスキーが。
「そんなに飲んで大丈夫ですか?」
「大丈夫……替わり持ってくるね」
 立ち上がろうとした良子は、ガクッと尻餅をついてしまった。急激に酔いが廻ったみたいだ。
「ああ、なんだか気持ちイイ……こんなに色々話したの初めて……」
 床に座ったままテーブルに頬を付けている。
「酔ったみたい……とっても気持ちイイ……オナニーでもシテるみたい……シちゃおうかな……真弓ちゃんの前で!」
「あ、あたし、帰ります」
 立ち上がった途端、スカートを素早く掴まれてしまった。
「ダーメッ! 帰さない」
「夕食前に帰らないと、煩いんです」
「まだ七時じゃない……今夜は、カエサナイ」
「困ります……帰して下さい」
「じゃ、私の言うこと聞く? だったら、帰してアゲル」
「……なんですか?」
 良子はソファーに座り直し、真弓を抱き寄せると股の間に座らせた。
「真弓ちゃん、カワユイ! 食べちゃいたい」
「そんな……んっ!」
 不意に良子の唇が吸い付いてきた。ウイスキーの匂いをプンプンさせ、閉じられた真弓の唇を、良子の舌先がスーッと触れていく。
(カンジル!)
 硬直してた身体が溶けてしまう。全身の筋肉が萎えてしまった感じだ。真弓はウットリと、良子に身体を委ねた。
 ちょっと硬い良子の舌先が、真弓の口内を蠢く。真弓の舌を絡める。その度に真弓は、声を押し殺す為息を止めた。
「カワユイおっぱい!」
 セーターの上から小さな胸を撫で上げてくる。背中に感じるのは良子の膨よかな胸。
「小さいから……恥ずかしい……」
「まだ中学生だもの。そのくらいが丁度いいのよ」
 片手が胸を離れ下へ降りていく。
「スカートこんなに短くして!『襲って下さい』って言ってるようなもんよ」
 スカートの中に潜り込んだ手が、下着越しにスリットを撫ぞる。
(濡れてないかな……)
 キスをされた時、既に濡れてしまった気がしてならない。否、もっと前から濡れていたに違いない。そんな真弓の心配を余所に、良子の手の動きが止まった。そして、股間にあてがったまま、指がくねり出す。それは、真弓がオナニーをする時、最初にする行為と同じ動きだ。
「気持ちい〜い?」
 良子が覗き込むと、真弓は顔を背けながら頷いた。
「フフッ、ホント、カワユイ! もっと気持ち良くしてアゲル」
 セーター、ブラウス、ブラジャー。そしてスカートにパンティも、ちょっと前まで真弓が座っていたソファーへ投げ捨てられた。
 身に着けているモノは白いソックスだけ。真弓は傍にあったクッションで顔を覆った。それは、少女の恥じらい。と、顔を隠すことで、良子の行為により集中できるようにでもある。
(どんなコトされるんだろう)
「真弓ちゃん、こんなに濡らして……イヤラシイんだ」
「そ、そんな……」
「そんな、ナニ?」
「言わないで下さい……恥ずかしい」
「だって、濡れてるんだもの。ほら、こんなに……糸引いてる……これはね、オチンチンが欲しい時に出る、ヨダレなのよ。真弓ちゃん、オチンチン食べたいんでしょォ」
「アン……ヤッ!」
 つい声が出てしまう。良子の硬い舌先が、焦らすようにスリットの周りを撫でている。
「ホント、カワユイ……イジメたくなっちゃう」
「ハァ〜ンッ!」
 思わず仰け反ってしまった。小さなクリトリスを舌先でクジられた。
(感じるゥ! 感じ過ぎちゃうゥ! でも)
「や、やめて! 止めて下さい!」
「いやなの?」
「トイレ、トイレ行かせて下さい」
「オシッコ?」
「……はい……」
 なんとか最後まで持つだろうと思っていたが、力が抜けてしまいそうな今、出しておかないと危ない。
「ダーメッ!」
「エッ?」
 良子は真弓の太腿に腕を絡ませ、
「新しいソファーに取り替える予定なの。遠慮しないで、ココでしていいわよ」
「そんなぁ……アンッ!」
 意地悪く、下腹部を押しながら尿道口を刺激してくる。
「ダメです! そんなことしたら……本当に……出ちゃいます」
 しかし良子に止める気はないようだ。更に強く下腹部を押してきた。
「ダメ! ダメダメッ! アッ! ああ……」
 尿道口がヒクヒクッと痙攣すると直ぐ、ジワッと小便が沸きだした。一度出てしまったらもう止まらない。天に向かって吹き出す間欠泉のように、勢い良く良子の胸元へ飛び散った。
「凄い量……溜まってたのね」
 トレーナーがびしょびしょになるのを気にも止めず、良子は楽しそうに真弓の小便を胸元で受け止めた。
「泣くことないでしょ? オシッコなんてみんなするんだから」
 クッションを顔に押しつけたまましゃくり上げる真弓。小便は誰でもするが、ソファーの上で、しかも人に掛けることはないだろう。
(恥ずかしい! 恥ずかしいィ〜ッ!)
 その恥ずかしさに、良子が追い打ちを掛けてきた。
 ジュジュ、ジュルル……。
(イヤーッ、啜ってるゥ!)
 スリットに残った小便を吸い取っている。顔が熱い。否、身体全身が熱く火照って堪らない。熱が帯びるのに伴い、各感覚が鋭敏さを増していくのが分かる。
「ハンッ……うっ!」
 小便を吸い尽くすと、舌先が濡れたワレメを掻き分け始めた。肛門からクリトリスまで、力を込めて二度三度と繰り返すと、
「敏感なのね……」
 指をスリットに押しあて、指の腹で叩く。
「聞こえるでしょォ、イヤラシイ音……」
「……止めて下さい……」
 クッションを顔に押しあてて耳を塞いでも、ピチッ、ピチッ、という音が聞こえてしまう。
「止めていいのーォッ?」
 良子が開かれたスリットに向かって叫んだ。そして耳を押しあて、
「ふむふむ……そうか……真弓ちゃん、ココは『もっとシテッ!』って言ってるよ」
「そんな……そんなコト言ってません」
「だって、こんなに濡れてくるんだもの。真弓ちゃんのマンホールが『オチンチン欲しいよォ』って言ってる証拠よ」
 良子は指に愛液を塗りたぐると、指先を真弓の息づく蕾へ充てた。
「私が男だったら、立派なオチンチンを御馳走できるんだけど……指チンで我慢してね」
「あっ……あっ……あっ……」
 指先に力が込められる度、真弓は腰を引き声を漏らさずにいられなかった。
「凄いマンリキ……指が痛いくらい締め付けてくるわ」
「いやぁ……止めて……」
「そんなこと言っても、赤ちゃんが乳首に吸い付くみたいに、私の指を吸って放さないのは真弓ちゃんの方よ……ほら、抜こうとすると、キュッキュッて締め付けながら奥へ吸い込んでくるの。とっても美味しそうに、唇をつぼめて……」
「そんなこと、言わないで下さい……恥ずかしい。恥ずかしすぎます」
 上半身と下半身とでは人格が違うのだろうか、直ぐにでも服を着てその場から逃げたい上半身に対し、下半身は良子の指を咥えたまま放そうとはしない。
「そんなに恥ずかしいの? じゃ、言うのはやめるわ……その代わり……」
「ハンッ!」
 良子のちょっと硬い舌先がクリトリスを穿りだした。そして、体内に埋め込んだ指をくねらせ、出し入れを繰り返す。
「ハッ、ン……ハッ、はぁ〜っ」
 真弓の腰が自然と動き出す。今までの経験で、そうすることでより強い快感が得られることを、身体が覚えているのだ。真弓の意志に関係なく、勝手に蠢いてしまう。
(感じるっ、感じちゃう! ダメッ! このままじゃイッチャウッ!)
 何度も相手をイカせている真弓だが、自分がイカされてしまうことには何故か抵抗がある。それが不安なのか恥じらいなのかは分からないが、兎に角イカないよう努力した。
 が、クッションを抱き締め、歯を食いしばっても、快感に踊る腰を止めることが出来ない。理性も恥じらいも、ボロボロと崩れてしまうのは時間の問題だ。
「真弓ちゃん、無理しないで、自分に素直になりなさい」
 良子の一言が効いた訳ではなく、真弓の我慢の限界が切れた。
「ハッ、ハッ、アン、アッアッダメッ! ダメ! アアッ、イク、イク、イク、ファッ……イクゥゥ〜ッ……アッッ!」
 イッてもなお攻め続ける良子から逃れる為、身体を捩って俯せになった。
「イッたの? 真弓ちゃん、大きい声出すんだもの。お隣に聞こえそうで、恥ずかしかったわ」
「だ、だって……」
「泣かなくていいの! 声を出させたのは私なんだから……」
 真弓の中から良子の指が去っていく。
「もう吸い込んでこないわね……オーイ! 満足かァーっ!」
 スリットを掻き拡げて叫ぶ。そして耳を充て、
「エ? もう一度シテ欲しい?」
「ウソです。もういいです……もう……」
「満足?」
「……」
 相変わらずクッションに顔を埋めたまま頷いた。
「じゃっ、交替ね」
「え?」
 真弓がクッションをずらして良子を見た時、既に下半身は丸出し。真弓の小便でグッショリ濡れたトレーナーを脱ぎ捨てているところだった。
「一人だけ良い思いしちゃダメ! ちゃんとお返ししなきゃ……ネ!」
 真弓の了解など得る気もないようだ。さっさとテーブルに座ると、両足を縁に掛け、M字型に大きく股を開いた。
「早く……シテ!」
「でも……」
「私の言うこと聞くって言ったでしょ。それとも、今夜は帰らないで、ずっと居てくれるの?」
「……」
 ずっと居たい気もするが、そうもいかない。真弓はクッションを抱いたままソファーから降りた。
 ボタボタボタッ。
 ソファーに残っていた小便が音を立てて絨毯へ零れた。広がる染みが、その量の多さを知らしめる。クッションを顔に押しあてていて気づかなかったが、部屋の中はアルコールとアンモニアの入り混じった悪臭で一杯だ。
(あたしの、オシッコの匂い)
 鼻につくその匂いは、恥じらいよりも淫らな気分を刺激してくる。
(イカせたい)
 そんな欲情にかられ、良子の股間に跪いた真弓だが、思わず絶句してしまった。
(スゴイ!)
 開かれた股の間。黒々とした茂みは丘に留まらず、肛門付近まで続いている。全体的に黒ずみ、中でもスリットからはみ出したビラビラは真っ黒と言ってもいい。その上に、勃起した子犬のペニスのように、ピンク色のポッチが突き出している。ヒクヒクと息づく穴からは透明な液体が染み出してくる。ソコは、勃起した大人のペニスより、数倍グロテスクに見えた。まさに、〃オマンコ〃と言う名がピッタリだ。
(あたしのも、こんな風に……)
 未熟な女性器に憧れるロリコン男の気持ちが分かる気がする。
「私の、ヤリマン娘を懲らしめて!」
 真弓の頭ほどもある乳房を自分で握り締めては、「早く!」と催促する。
「……」
 ゴクリ、と生唾を飲み込んで手を伸ばす。はみ出したビラビラを引っ張ったり、突き出たポッチを弾いたり、舌でスリットを掻き分けもした。
「アァ……上手。真弓ちゃん、巧いわ……ネ、手を入れて! 手を、入れて……」
 ヒクヒクとナニかを求め続けている良子の穴。真弓はソコへ二本指を押しあてた。それはなんの抵抗もなく潜り込んだ。
「手、手を! 指じゃなく、手を、入れて!」
「え?」
 理解できずに困り顔の真弓の手を、五本指を寄せ集め、良子は息づくソコへ導いた。
(ウソッ!)
 良子に握られた真弓の手が、その五本指が良子の中へ入っていく。
「もっと、もっと奥まで!」
 指がそっくり入った時点で良子は手を放した。両手を後ろ手に付き、『後は任せた』とばかりに腰をくねらせてくる。
 ゴクッ!
 何度目だろう、唾ばかり飲み込んでいる。
(入っちゃう!)
 ちょっと力を込めただけでヌメヌメッとした感触が手首をも呑み込んでしまった。
 背筋がゾッとした。真弓の手を手首まで呑み込んでしまった良子の快楽穴。その光景はエロチックなどという艶めかしいものではない。生きたまま人間を呑み込む。まさにホラー映画の世界そのものだ。
「ハッ、ハッハッハッハッ……」
 尻を浮かし、大きく腰を前後する良子。真弓の肘までも呑み込む勢いに、呆然とするしかない真弓。
「アウッ! イイッ、イイッイイィィ〜」
 虚ろな目と涎を垂らす口。快楽の極致を素直に表現する良子だが、真弓には狂人としか見えずにいた。
 ドサッ!
 ドアの方で音がした。
「良子……お前……」
 それは良子の彼氏、杉山だった。真弓は慌てて良子の体内から手を抜いた。
「おおぉぉぉ……」
 杉山はズボンを脱ぎ捨て、狂ったように突進してくる。
「早く! 早く頂戴!」
 良子は両手を差し伸べ、泣き出さんばかりに杉山を欲した。
「おおっ! 俺の女だ! 俺のオマンコだ!」
 まだつぼまりきっていない部分へ、杉山のモノが押し込まれる。激しいピストンと卑猥な音。
「スゴーイ!」
 その迫力に圧倒された真弓はすっかり醒めてしまった。
(もう帰らなきゃ)
 服を着ると二人の邪魔にならぬよう、そっと部屋を出た。
「お幸せに!」


   続く