「夢見る頃……2」  星都



  奈津美と健太

 この前の日曜日と同じ制服もどきの服装。そのチェックのスカートのウエストを折り込み、恥ずかしいほど短くしてみる。
(これで男達の目は釘付け!)
 昨夜早百合から電話があり、ナンパ大作戦は中止となった。
「エー? どうして?」
「ちょっとね……ごめん」
 真弓は如何にも残念そうに対応していたが、内心ホッとした。ゴマキが経験したと聞いてからの、早百合のナンパに対する意気込みは凄まじい。この前のように、声を掛けられると逃げ腰になることはないだろう。早百合が最初に言ってたように、即ホテルってことになってしまうかも知れない。そうなると、早百合を一人残して帰る訳にもいかず、真弓も同伴初体験になってしまう可能性は高い。経験はしてみたい。だが、一生に一度の喪失劇の相手を、早百合主導で決められたくはない。
「早百合のことだから、先にイイ方とっちゃうだろうし」
 初体験を思い出す度に後悔するのは厭だ。それに、初体験に伴う激痛にも、未だ抵抗がある。
「行ってきまーす」
 玄関を出た真弓のスカートはノーマルに変わっていた。
「こんなんじゃ歩けないよ」
 パンツが見えそうで、結局元の長さに戻してしまったのだ。もっとも、元の長さとてかなり短いのだが……。
 一人で出掛けるのは久しぶり。ナンパされたらどうしよう。そんな不安と期待が入り組んだ不安定な精神状態。
「茶店でお茶を飲むくらいならいいんだけど」
 それで気に入ったら、後はホテルでも何処へでも行って、経験しちゃってもいい。早百合と一緒だと、相手構わずホテルまで行ってしまいそうだが、一人なら……。
(気に入らなければ断ればいいんだし)
 電話ボックスを見る度に頭をよぎるのは、援助交際=ファンシーショップ。援助交際するにはSEXは欠かせない。夢を掴む為に、激痛を乗り越えぬば。
(どうして女ばかり痛い思いしなきゃならないの……いいな、男は……)


 三時を少し過ぎた。
「疲れちゃったなぁ」
 学校の友達数人と会っただけで、期待していた素敵な男からの誘いはなかった。なんの成果もなく、とぼとぼと歩いている。ただ一つ、気になる話を聞いた。早百合が男と車に乗っていたという。
(急用だなんて言って……デートだったのかな……もう……シちゃったりして)
 ひょっとすると、仲良し三人娘の内、二人は昨日今日の間に経験してしまったかも知れない。真弓一人が〃女のコ〃のまま。
(相手を選ぶ前に、とりあえず経験しちゃおうかな……気に入る相手を待ってたら、いつになるか分からないし……)
 公園の入り口にある電話ボックス。いつもの電話ボックスが真弓を誘っている。


 電話ボックスを出るなり急ぎ足で公衆便所へ駆け込む真弓。家は近いし、公衆便所は汚いイメージがあるので滅多に利用しない。だが、
「入れちゃった……」
 直ぐにでも一人きりになり、近付いた夢を膨らませたかった。
『次の伝言をどうぞ……』
「えー、月五十万でお付き合いしてくれるコ、伝言下さい」
『……伝言に、直接返事を返す時は4,次の伝言を……』
 真弓は震える指で4を押した。
『ピーッと言う音の後に、三分以内にお話下さい。お話が終わりましたら#を押して下さい』
 ピーッ。
「……あ、あの、お付き合い……お願いしたいんですけど……」
 今にも心臓が飛び出しそうなくらいドキドキ。声も掠れ上擦っていた。
 トイレの壁に背中をもたれ大きく深呼吸をしている。月五十万なら年に六百万。十年後には六千万。それだけあれば、小さなファンシーショップぐらいもてるだろう。相手がどうのこうの言える金額ではない。
(月五十万の為なら、処女もあげちゃう)
「ん?」
 押し殺したような話し声がする。トイレの裏かららしい。
(子供の声……はは〜ん……)
 真弓は金隠し、そして水洗のタンクへ足を掛け、小さな窓から外を覗いた。
(やっぱり!)
 そこは公園の死角になっている。幼い頃は、真弓も良くソコで遊んだ。近所の悪ガキ共と大人には内緒の遊びを……。
(同じだ)
 一メートル程もある大きな切り株。それを診察台と言って、真弓は良くソコに横になったものだ。そして、あちこち男達に触られた。
 しかし、
(いくつだろう)
 真弓が遊んでいたのは精々七、八才までだった。それが今、その診察台に座って股を開いている女のコは、どう見ても小学校高学年に見える。
「おしまーい!」
 女のコは捲っていたスカートをパッと股の間に挟み込み、
「次ぃ、いくら?」
 真弓からは見えないが、男の子は数人いるらしい。別の子がポケットから百円玉を取り出しながら近付いた。
「三百円か……じゃ、触ってもいいよ」
 女のコは切り株の縁に両足を掛け、見やすいように股を大きく開いてやった。
(あのコ……確か……)
 その女のコには見覚えがある。町内新聞に出ていたコだ。作文で何かの賞を取ったコに違いない。名前は山岡奈津美、五年生だ。そして、なんと次に現れた男の子はミドリの弟、健太だった。
「ケンちゃんも三百円か……」
 奈津美は小さなポシェットへ百円玉をポンポンポンと落とし、ゴロリと寝そべってから切り株の縁に両足を掛けた。まるで真弓に見せるかのように、真正面に股を開いている。
「アレ、やらせろよ」
 暫く小さな女陰をまさぐっていた健太が、指先で広げた亀裂を覗き込みながら言った。
「じゃー、後二百円」
 健太の財布には百円玉が一つしかなかった。
「誰か、百円貸してくれ」
「俺貸すよ。近くで見ていいなら……」
 何人かが争うように百円玉を突き出した。
「傍で見たい子は百円」
 奈津美のポシェットに百円玉を入れた男子達は、嬉々として健太の両側にしゃがみこんだ。百円を持っていない子もいるらしく「帰ろう」と言う声も聞こえる。
(いつものって何なの……)
 小遣いを叩いてまで見たいモノとは、いったい何なのか……真弓は呼吸を荒げた。
 百円玉で重くなったポシェット。その中に手を入れた奈津美は、小さなビンを取りだした。蓋を開け、健太の前に差し出す。
「ようく塗ってよ……この前痛かったんだから」
 健太はビンを取り、その中に右手の人差し指を入れた。そして、目の前に横たわり、股を大きく拡げた奈津美の股間へ……!
「ウソッ!」
 真弓は思わず声を出してしまった。幸い、子供達には気づかれなかったようだ。
(ウソよ……あんなの……)
 真弓の正面に拡げられた奈津美の小さな女陰。そこへ健太の指が消えていく。
「そっとよ……イタッ……そーっと」
(入っちゃった!)
 何度トライしても出来ないのに、小学生の子供が指を、それも他人の指を入れてしまう。
「動かしてもいいよ。イタッ……ゆっくりよ」
 健太の指が奈津美の体内へ出たり入ったり。男の子の中には、明らかに自分のモノを弄ってる者がいる。それは直ぐに皆に伝染した。小さいながらも勃起したモノを社会の窓から突き出し、夢中で扱いている。
「アッ!」
 真弓は危うく落ちる所だった。思いがけない光景に唖然とし、脚の力が抜けてしまったのだ。
(まだヌレもしない子供が、毛も生えてないクセに)
 恐らく、後数ヶ月もすれば指に飽き、本来のペニスを挿入するに違いない。小学生の小娘が、何人もの男とSEXで遊ぶ。そんな光景を思い浮かべてしまった真弓の股間はヌレヌレ状態だ。
(こんなに濡れてるんだもの……もう、いつだってOKだわ)
 指がパンティの中に潜り込み、スリットを掻き分けた時。
「ナニしてんのっ!」
 女の怒鳴り声と子供達のワーッと逃げる声。そして、真弓の隣にも誰か入ってきた。落ち着いて出来る雰囲気じゃない。
(今夜こそ!)


(もういいかな……)
 いつものようにパジャマとパンティを足首に絡ませ、膝を大きく開いた体勢のまま、枕元から小さなガラスの小瓶を取りだした。
(きっとこれよ)
 奈津美のビンに入っていた液体の正体をずっと考えていた。そして、「これだ!」と思いついたのが『食用油』。真弓は空になった桃屋の『ごはんですよ』のビンを綺麗に洗い、食用油を入れておいた。
 中指をビンに入れ油をつける。垂れないように、そして、被り布団に付かないように気をつけながら股間へ。
(気持ちイイ……)
 スリットを上下になぞりながら油をスリット全体に塗りつけ、逆に愛液を指に絡め取る。
(あたしのホールちゃん、がんばって)
「アッ」
 さほど力を加えたつもりもないのに、中指の第一関節までスルッと入ってしまった。
(うそぉ)
 真弓の小さな性器が、キュッ、キュッと締め付けてくる。時々チクッとした痛みを訴えながらも、ソコは指を放そうとせず締め付けてくる。
(もっと奥まで……欲しいのね)
 入れることへの恐怖は消えた。真弓は、ソコが欲するまま、長い中指を根元まで埋め込んでやった。
「あっっ……」
 今までとは微妙に違った快感。表面から感じてくる快感と違い、直接体内から感じる快感。
(セックスって、こんな感じなのかな……)
 おそらく、その何倍も、何十倍も強い快感を得られるに違いない。真弓はよりSEXの快感に近づける為、指の出し入れを始めた。
「ああ、気持ちイイ……」
 初めてだというのに、その素早い指使いに自分でも感心してしまう。指先から第一関節までのピストンをメインに、グッと根元まで。或いは入れた指をくねらせ、或いは穴口を拡げるように指を回転させたり、と。
「いい〜っ気持ちいい〜」
 指を入れたことで、大人になったという精神的な快感も加わり、真弓は涎を流さんばかりに口をあふあふしている。腰もじっとしてられず前後左右へ揺れ、左手は小さな胸を、シーツを、力任せに握り締めていた。
 隣の兄貴の部屋から音楽が流れてきた。風呂から上がったようだ。
(声を出したい!)
 完全防音の上に広いゴマキの部屋。思いっきり声を上げてオナッた部屋へ、
「ワープした〜いっ!」


幼き頃

「ちょっと出掛けてくる」
 勤労感謝の日で学校は休み。真弓は昼過ぎになって近くの公園へ行った。ブランコに揺られ、ぼんやりと周りを眺めている。小さな女のコが一人、砂場で遊んでいた。その傍のベンチで、母親らしい女とスーツ姿の男が話し込んでいる。
(不倫かな……)
 ドラマの見過ぎかも知れないが、そんな雰囲気の二人だ。良く見ると、男の股間に女の手が伸びている。
(女の方が積極的みたい……)
 女は不意に立ち上がり、何か言いながら子供に駆け寄った。その横を二人連れのおばさんが、男をジロジロ見ながら通り過ぎて行く。
「来た!」
 奈津美が走ってきた。その後ろからミドリの弟、健太が追ってくる。
(二人だけ?)
 真弓がここへ来た目的は、電話ボックスと子供達のH遊びを見ること。
(今日は二人でヤルのかな……)
 奈津美と健太は、鉄棒、ジャングルジム、シーソーと遊びを変える度、公衆便所へ近付いている。
 その二人を横目で見ながら、真弓は電話ボックスへ向かった。しかし、
「わかんないよー」
 日曜日に伝言を返した。その相手から、メッセージが入っているかどうか知りたい。なのに、どうやって聞くのか分からない。昨日も散々やってみたが、聞くことは出来なかった。
(後でまた来よう)
 結局はそういうことになってしまう。
 奈津美達はさっきまで真弓が乗っていたブランコで遊んでいる。真弓はトイレで待つことにした。
 条件反射だろうか、入るとつい座りたくなる。そして、座るとしたくなる。膝と腰を巧く使って飛ぶ方向をコントロール。
(あっ! 来てる)
 拭くこともせずパンツを上げると、タンクそして窓枠へと手を掛けた。
 切り株の傍に二人が立っている。奈津美は脱いだパンツを切り株に敷き、その上に座った。健太の掌に、百円玉が三つ乗っている。
(イジるだけか……)
 真弓はちょっとがっかりと息を吐いた。が、
「三百円じゃ少ねェよ」
 文句を言ったのは健太だった。
「ハーイハイ、分かりました」
 親に小言を言われた時のような、ふて腐れた言い回しで奈津美が言う。そして、ポシェットから五百円玉を取りだし健太へ渡した。
 健太はそれをポケットへしまい、三百円を奈津美のポシェットへ入れる。
(どうなってんの……)
 金のやり取りは昨日と逆だが、二人は昨日と同じ体勢になった。奈津美が切り株に寝て両足を縁に掛ける。健太が奈津美の股の間にしゃがみ込む。そして、スリットを開いたり閉じたりして遊んでいると、
「早くぅ」
「分かったよ」
「いいって言うまでよ」
「あー」
(ナニをするの……)
「ゲッ!」
 思わず声が出てしまう。
 奈津美達は気づくことなく続けている。
(ウソでしょー、子供のくせに……)
 健太の頭が邪魔で見えないが、股間に顔をつけてスルことといえば決まってる。
「ケンちゃん上手……もっと舐めてぇ……」
 それまでの奈津美とはまるで別人の甘ったるい声での催促。そして、健太の頭を両手で抱え込み、自らの股間を押し上げていく。
(あの二人、どこまでスケベなの)
 小学生とは思えない二人の行為と奈津美の表情に、真弓の背筋に冷たい汗が流れた。
「もう、やだよ」
 どのくらいそれが続いたのか、ただ呆然と見つめていた真弓に健太の声が届いた。アソコに押しつけられた顔を横に向け、喘いでいる。
「なんだ……じゃあ、お金返してよ」
「えーっ」
「いいって言うまでって言ったじゃない」
「じゃあ、もう一回するよ」
「ホント?」
「今度はカエルがいい」
(カエル?)
 なんのことだろう。アソコを舐めるのと違うの? と、気をもむ真弓に背中を見せた奈津美は、切り株に抱きついた。その格好は、
(カエル……か)
 スカートを背中に捲った健太が両手の親指で奈津美のソコを開いた。
「アーン、お尻はくすぐったいからダメェ」
 健太は指先で尻の穴を軽く触り、奈津美が蠢くのを楽しんでいるように見える。
(あの格好で開いたら、アソコの穴もお尻の穴も、丸見えになっちゃう)
 両方の穴が丸見え。真弓はふと昔を思い出した。
 当時〃マン開き〃と呼ばれていた遊び。真弓は幼稚園時代と小学校へ入学してからでは、その遊びの相手も内容も大きく変わった。
 真弓が幼稚園の頃、四才年上の兄貴は既に小学校中学年。友達と遊ぶには幼い妹は邪魔になる。いつも、真弓は兄貴に置いてきぼりを食わされた。しかし、たまに誘ってくれる時がある。その〃たまに〃を、真弓は毎日待ち望んでいた。
「真弓ィー、一緒に遊ぶかァ」
「ナニして遊ぶのぉ」
 傍に母親が居ると、決まってそう返事を返す。いつも一人で行ってしまう兄へのささやかなイジワル。
「そんなこと、分かんねェよ」
 兄が遊びから戻ってきて、真弓を誘う時の遊びは一つしかない。真弓は自分が主役になれるその遊びが好きだった。
 兄と同年代の男友達が五、六人。そして、誰かの妹で、真弓より少し小さな女のコが一人。ユキちゃんと呼ばれるそのコは、いつもパンツを穿いていない。小便をする時、下げることはできるが上げることができない。その為、母親が普段はパンツを穿かさないのだそうだ。
 公園の公衆便所の裏にある大きな切り株。その上に女のコが二人、スカートを捲り上げて横たわっている。数ヶ月前までは、男達の言うことを素直に聞いていた真弓だが、幼稚園も年長組になると知恵が付いてくる。パンツを脱ぐことを渋るようになった。別に恥ずかしい訳ではない。そうすることで、男達が優しい言葉を掛けてくれたり、飴やガム等のお菓子をくれることを覚えてしまったのだ。
 しかし、例えナニもくれなくとも、真弓は適当な頃を見計らってパンツを脱ぐ。あまりいつまでも渋っていると、男達が怒りだしてしまい、お菓子どころか大好きなこの遊びまでもが終わってしまうことも分かっている。
「汚ねェ」と言われようと「くっせェ」と言われようと、自分のソコを食い入るように見つめる男達の視線が堪らなく好きだった。真弓の兄以外は皆、真弓のソコを集中的に見、そしてイジった。
 所が、いつの間にか真弓の主役の座が下ろされてしまった。新しい主役は、二年生ながら兄貴達より身体の大きな雅子。真弓とユキがパンツを脱いで男達に見せているのに対し、雅子は決してパンツを脱がなかった。皆の前でアソコを見せることもしない。その代わり、切り株から少し離れた太い木の影で、一人ずつ呼んでは好きなようにさせていた。真弓達は、順番待ちの暇つぶしに遊ばれるだけになってしまった。
 更に、真弓が小学校へ入学する頃になると、テレビゲームに熱中する男子が急増。兄の友達も、ゲームをするか塾へ行くかの選択しかできない状況になっていた。たまに女のアソコが見たくなっても雅子がいる。真弓を誘うことはなくなった。
 そんな中で、兄に拘わりのないただ一人の男友達、純一と急速に親しくなった。三つ年上の純一の家は、公園を挟んで反対側にある。幼稚園時代の賑やかなH遊びに別れを告げ、真弓は二人切りの秘めゴトを楽しむようになっていった。
 真弓が二年生の夏休みに純一が引っ越すまで、二人はちょくちょく〃マン開き〃遊びに興じていた。引っ越しの前日、真弓は純一の家で遊んだ。五才になる純一の弟と三人でビデオを観ていたが、母親が買い物に出掛けると、
「隠れん坊やろうぜ」
「なんでェ、まだ見たいよ」
 弟がぐずるのを予想していたかのように、「じゃあ、お前が鬼だ。俺と真弓ちゃんが隠れるから、ビデオが終わったら捜しに来いよ」
 弟を部屋に残し、二人は階段を下りた。
「一緒に隠れよう」
 それは〃マン開き〃をしようという意味だ。真弓がずっと待っていた言葉を耳にして、
(また、アレができる)
 ほんのり頬を染めたのは、恥じらいではなく期待に上気したからだ。
 自分達の靴は履かず、いつも置いてあるサンダルを履く。そっと玄関を出て庭の隅の物置へ。弟には、隠れる場所は家の中だけ、外へ出たら反則だ。と強く言い聞かせてあった。
 大人のように抱き合ってのキス。初めてした時は、唇を離した途端お互いにツバを吐き、口を拭ったものだ。だが、今ではすっかり慣れたもの。口を尖らせては、互いの唇を押しつけ合う。大人が見ると滑稽な口づけでも、本人達はドラマのラブシーンと同じつもりでいる。
「アン、アン、アーン」
 以前、この物置の棚に積み重ねてあったエロ漫画。その女を真似、真弓は声を出していた。ただし、辛うじて乳首の在処が分かる程度の胸は、快感を感じることはなかった。はっきり言ってつまらない。それは純一も同じ。二人は直ぐに次の行動へ移る。
「イヤァー」
 スカートはおとなしく捲らせた。パンツの緩みを指先で摘んで引く。左足の付け根に食い込んだゴムが少し持ち上がると、ソコに指をかける。
 純一が捲ったスカートを落ちないように手で押さえ、じっと見守っていた真弓が、一瞬早くパンツを押さえてしまった。
「見せてくれたら……見せてあげる」
 男なら、多かれ少なかれその言葉を聞いたことがあるに違いない。女のずるさとでも言おうか、もし、誰かに見つかっても、先にXXが見せたから「仕方なく見せた」という逃げ道を作っておく。
 事実、何年か前、純一は同じクラスのコに誘われ、そのコの部屋で遊んでいた。そして、「私の見せてあげるから、その前に純一君の見せて」
 と言われ、お互いのモノを見せ合っていた。そこを親に見られると。
「純一君が見せたから、イヤだったけど仕方なく見せた」
 本当の涙を流して泣きながら言う。結局、純一が悪者になり、みんなに怒られた。今まで『見せっこ』をした女は全て純一が見せてからしか見せない。後で考えると腹が立つ。でも、早く見たい。早く見るには……。
 純一はしゃがんだまま左脚の付け根から手を入れ、社会の窓からアレを引っ張り出す要領で尻を引いた。すっくと立ち上がった時には、子供ながら立派に勃起した皮付きウインナーが、ジョギングパンツとパンツを掻き分け真弓を見上げていた。
 二人が友達になって約二年。月に数回は見ている。特に、この夏休みは週に何回も見ている。それでも、手を伸ばす時はドキドキしてしまう。性的な興奮というより、いけないことをしているという罪悪感に似た興奮だ。
 先っぽに余った皮を引っ張ったり、太さ硬さを確かめたり、長さを測ったり……。袋には興味がないのか、触ったことはない。
 あらかた調べると、ニコッと笑い背を向ける。下から三段目の棚。真弓が腰を曲げて手を掛けるのに丁度良い高さ。いつもその棚に手を掛けるからか、そこだけ埃が少ない。
 純一がスカートの裾を持ってそのまま背中に掛ける。そして、ウエストに食い込んだパンツのゴムに指を掛け、スルッと膝まで。
 日に焼けた両脚と対照的に白い尻とほんのり色素の濃いあの部分。縦一列のスリットに、純一の見たい部分が全てある。純一はこのポーズが好きであり、それを真弓も知っている。
 肛門に、トイレットペーパーだろうか、白い滓がこびりついている。ふーっと息を吹きかけると、肛門がヒクついて面白い。だが、やっぱり一番見たいのは自分にはないモノ。純一はスリットを拡げた。
「恥ずかしいから……あまり見ないでぇ」
 毎日見せ合っていても恥ずかしさは消えない。子供と言えど乙女。と言いたい所だが、正直言って恥ずかしいなどと思ったことはない。否、確かに恥ずかしいが、それ以上の楽しみが待っている。その楽しみが、恥ずかしさを蹴散らしてしまっている。それでも「恥ずかしい」と言うのは、その言葉を聞くと妙に純一が悦ぶからだ。純一を悦ばせる為に、真弓は心底恥ずかしそうな素振りでそう言う。
 そしてもう一つ。その言葉には、早く次へ進んで、という意味もある。その意味を知ってか知らずか、純一はスリットを開くのを止め、立ち上がった。
 ペッペッ!
 ツバを掌に吐き、ウィンナーに塗りつける。
 ペッ!
 更に、真弓の肛門付近にも付ける。指が尻のワレメを撫ぞった時、真弓は「あっ」と小さく呻き、肛門を収縮させた。
 真弓の腰骨に両手を充てちょっと引くと、グイッと尻を突き出してくる。純一は、白くひんやりした真弓の尻に皮付きウインナーを押しつけた。ほっそりした身体の割にふくよかな尻っぺたは、純一のモノを柔らかく挟み込んでくれる。
 真夏の炎天下、通気の悪い物置の中で、二人の腰振りダンスが始まった。
「もっと、もっとぉ!」
 エロ漫画の女を真似る真弓。しかし、その言葉は本音に近い。自ずからリアリティーが溢れ出る。それは純一の意気を昂ぶらせ、腰の動きに拍車をかける。どちらかが音を上げるまで、続く二人の腰振りダンス。公園の木々から蝉の声。
 ツクツクボーシ、ツクツクボーシ……。
(あの時純ちゃん、蝉の声に合わせて腰振ってたんだ)
 いつどちらがその遊びを思いついたか忘れたが、記憶では数回しかやってない。終わった後はいつも、脱水症状で倒れないのが不思議なくらいグッショリと汗ばんでいた。
(あの時の音、今でも思い出せる)
 汗が流れ出すとまた楽しい。純一のウインナーに思いっきり尻を押しつけ、ウインナーがワレメをズリ上げる時にギュッと尻を窄めてズリ下ろす。すると、一段と大きな音が二人の接合部から鳴り響く。汗の量が増えるに従い、キュッキュッからジュッジュッとなり、ズチャッズチャッと変化する。その頃になると、純一のリズムが狂いだし、二人の尻は空回りが多くなる。真弓は尻を振るのを止め、純一に押しつける。間もなく、純一の荒々しい腰振りダンスも終わるはず。
 純一はともかく、真弓に肉体的快感は無かった。ただ、二人だけの〃秘密の遊び〃というだけで、息苦しい程に感じる興奮を楽しんでいた。
(あたしって、すごいことしてたんだなぁ)
 思い出すと信じられないような遊びだ。
 クション!
 クシャミの主は奈津美だった。真弓がぼんやり思い出に耽っている間に、二人の遊びは終わりを告げていた。頻りにツバを吐き口を拭っている横で、既にパンツを穿き終えた奈津美が急にスカートを捲り、
「ほら、サービス」
 と言ってパンツを引き下げた。
 条件反射、イヤッと言うほど目の前で見ていたモノを、パンツを下げた途端しゃがみ込み、また、見つめてしまう。
(男って、本当に好きね……)


   続く