「がんばれッ! しのぶちゃん」  人面石発見器


 目を醒ましたとき遠藤しのぶ(えんどう しのぶ)十三歳は、劇場の舞台上に横たわっていた。
 その劇場は収容人数二〇〇名ほどの中規模な広さがあり、そのとき客席はほぼ満席だった。
「…(?)…」
 しのぶは、自分はまだ夢の中にいるのだろうかと思った。
 そのとき、
「さぁみなさんッ。本日のヒロイン、遠藤しのぶちゃんが目を醒ましましたッ!」
 不意にしのぶの後方から男の声があがり、その声に応えるかのように、客席から拍手がまきおこる。
(な、なに?)
 夢としてはあまりにリアルな感覚に、しのぶは自分が置かれている状況を確認しようとした。
 が、身体が自由に動かない。それに、幼いしのぶの身体の熱を奪うような、ひんやりとした床の感触…。
 横向きの頬に流れる、顎の先とほぼ同じラインで水平に切り揃えられた髪。十三歳にしては幼く、小学校中学年でも通るような顔と身体。
 と、ここでしのぶは、自分が着衣と呼べる物をなにも着ておらず、年齢より幼く見られることをコンプレックスに感じている『ロリっ娘バンサイッ!』な身体を、目一杯に露出していることに気がついた。
「きゃ〜ッ!」
 慌てて、身体を隠そうと腕を動かしたが、彼女の腕は後ろで固定されているらしく、両手首の辺りに強固な抵抗を感じただけで、目的を達成することができなかった。
「おや? どうしましたか、しのぶちゃん」
 さきほどと同じ男の声。
 その声の主だと思われる人物が、後方からしのぶを覗き込むように見下ろした。
「ヒッ」
 その男の姿に、しのぶはかわいい顔を引きつらせて悲鳴を漏らす。
 だが、それも仕方ないだろう。
 男は、目の周りを被うだけの珍奇(&陳腐)なマスクと、金ラメ入りのマントを着用しただけで、その他はなにも身に着けていなかったのだ。
 間違いなくヘンタイである。
 そのヘンタイは、年の頃は三十歳を少し越えたほど(顔がはっきり見えないので、よくわからないが)だろうか? 体格はよく、一八〇センチ以上はある。
 そして、なによりインパクトがあるのは、男の大きな身体中に生えた汚い体毛だ。下半身はもちろん、胸毛も(いいたくはないが)パイ毛もフサフサで見るに耐えない。
 そんなヘンタイが、下半身むき出しでしのぶを見下ろしている。
(なんなの? この夢ッ)
 ぷらぷらと大人のペニスを揺らしながら、男がしのぶの頭の側にしゃがみ込む。ぷ〜んと、イヤな臭いがしのぶの鼻腔を刺激した。
(ウッ…くさい…。どうして? 夢なのに…)
 横たわる床の冷たさ。手首に感じた抵抗。そして、涙が出るほどの異臭。
(…夢…じゃ…ないのッ?)
 大正解。
 そう、これは夢ではない。
 現実にしのぶは、手足を手錠型の拘束具で束縛され、犬のように首輪を着けられて、ほぼ産まれたままの姿で、劇場の舞台に転がされているのだ。
 そんなしのぶの姿に、客席から多くの舐めるような視線が送られていて、客たちの、これから始まる『ショー』への期待がうかがえる。
「では、しのぶちゃん。そろそろ『ショー』を始めましょうか」
 男がしのぶの柔らかい髪を鷲掴みして、ムリヤリ彼女を立ち上がらせた。
「いたいッ…や、やめてくださいッ」
 しのぶの、恐怖と恥ずかしさが混じり合ったその声は、客席からもたらされる大きな拍手の音に掻き消された。
「…いや…イヤアァ〜ッ!」
 こうしてしのぶの、嫌悪と苦痛と恥辱にまみれた『ショー』が始まった。

 しのぶを立ち上がらせて、ヘンタイは…

 …おい、お前。
 そこのヘンタイなお前だ。
「なっ…なんですか? この頭の中に響く下品な声はッ」
 誰の声が下品だッ! お前の格好と比べれば、この世に下品なものなどほとんどないぞッ。
「なんですとッ…わたくしの崇高なコスチュームが下品ですと?」
 …崇高…?
 まぁいい。どうせヘンタイのいうことだ、勘弁してやろう。
 でだ…お前の名前を教えろ。このまま『ヘンタイ』で通すと、いろいろ不都合があったりなかったり(いや、あるのだが…)するんだ。
「…なにをいっているのか、わたくしには理解できません。常識的なわたくしにも、分かる言語で話しなさい」
 お前に命令される筋合いはないッ!
 いいから、名前をいえッ。
「…そんなに、わたくしの名が知りたいのですか? さては…ストーカーですな?」
 死ぬか?
 オレは『キーボードをたたいているヒト』だぞ。
 脳味噌の代わりに、頭の中にウニの殻が二個転がっているお前でも、『この』意味は分かるな?
「ま、まさかッ! あの『キーボードをたたいているヒト』が、こんな下品な声だったとはッ」
 死…決定…だな。
「も、申し訳ございません。『キーボードをたたいているヒト』ッ…わたくしは、故あって本名は申せませんが…そうですなぁ、仮に『キンラメ』とでも呼んでください。いや…『キンラメー』と伸ばすほうが、神の使徒っぽくてよいですかな?」
 知るかッ、ンなこと。で、結局『キンラメー』でいいのか?
「はぁ…なんとなくそれでいいです。いや…この場合、そこはかとなくのほうが…」
 じゃ『キンラメー』で決定だなッ!
 こんなことで、時間を消費したくない。それに、お前と会話したくもない。胸くそ悪いッ。
 あとは、思う存分ヤってくれ。
 じゃあなッ! ヘンタイッ。

「…な、なんだったのでしょう…今のは?」
 ヘンタイ改めキンラメーは、『声』が聞こえなくなったので、本来の作業に戻ることにした。
 この間。ヤツらの世界では、一秒も経過していない。なぜなら、そのほうが『話』を進めやすいからである。
「それでは改めて…みなさんッ。『ショータイム』の始まりですッ!」
 客席からの拍手を受け、キンラメーは満足そうに肯くと、しのぶの脚に左腕を通して前に抱え上げた。
 そして右手で、しのぶの足首を束縛している拘束具の、拘束具を繋いでいる短い鎖に触れる。するといともあっさりと鎖が外れ、しのぶの脚が自由になった。
 その間にもしのぶは、「いやぁーっ!」とか「やめてくださいぃっ!」とか涙混じりに懇願していたが、もちろんキンラメーは無視した。
「ご開帳ですッ」
 キンラメーはそういうと、いわゆる『おしっこポーズ』で、しのぶの恥ずかしい部分を客席に見せつけた。
 客席が『おぉー』と盛り上がる。
 しのぶには確認できなかったが、彼女の恥ずかしい部分のアップ映像が、後方の巨大モニターに映し出されていた。どこにカメラがスタンバイしているのだろう。
 なので、後ろの席に座っていた客にも、しのぶのまだ産毛のような細い恥毛も、小陰唇がかすかに見えるか見えないか微妙な、未成熟な割れ目も丸見えだった。
「イヤァ〜ッ! や、やめてッ。やめてくださいッ!」
 あまりの恥ずかしさと屈辱に、しのぶが大粒の涙を流しながら暴れたが、キンラメーはビクともしない。
「どうぞみなさん。心行くまでご覧下さい」
 と、平然としていた。
 しのぶが顔をうつむけ、「ひっ…ひっ…」と泣き声を漏らす。しばらくの間、しのぶはそのままの格好で固定されて、客席を大いに楽しませた。
「では、少し開いてみましょう。中がどうなっているか楽しみですな」
 キンラメーの太い指が、しのぶの幼い割れ目を左右に開く。
「ひぃうッ」
 しのぶの、なんだか良く分からない悲鳴(?)と共に、中の様子が露わになった。
「これは…なんとキレイな…」
「素晴らしい」
「これほど鮮やかな桜色は見たことがない。オナニーなど、したことがないのでしょうね」
 などなど、客席から自分勝手な感想が聞こえる。
 しのぶは様々な感情が膨れながら混じり合い、パニックを起こしたようだ。
「きゃァアぁァァあァ〜ッ! イヤァッ。ヤメテェーッ!」
 と、藻掻きながら、咽が潰れそうな絶叫を上げた。
 そしてその絶叫が途切れると、ガクンと首を垂らしておとなしくなった。

(私…なにしてるんだろう? なぜ、ここにいるんだろう…?)
 床に下ろされたしのぶは、そんな答えの出ない疑問を感じていた。
 なぜ答えが出ないのかは簡単だ。
 なぜなら、『キーボードを叩いているヒト』にも分からないからだ。なんとなく考えてはいるが、「まぁ、ただの『エロ文』だし…」と開き直っている。
 そういう理由で、設定とか細かい(のか?)部分は勘弁してもらいたい。
 そうこうしているうちに(なにかをごまかすときに使用する言語)、会場がなんだか盛り上がっている。
 どうやら、しのぶの処女を賭けた『ジャンケン大会』が行われているようだ。
 キンラメーと勝負して、勝った者だけが残るという定番ルールが取られていて、勝負が決する度に、一喜一憂の声が上がっている。
 ダメだ。こいつら、『本物のダメ人間』の集団だ…。
「ウッしゃあーッ」
「おめでとうございます。しのぶちゃんの処女を獲得したのは、なんだか『こんもりした体型』のあなたです」
 キンラメーに『こんもりした体型』といわれた勝者は、確かに『こんもりした体型』だった。
 要するに『テブちん』だ。
 全体的に脂ぎっていて、室温を一人で二度上げているようなヤツだ。歳は…まだ若い。成人して、それほど経っていないだろう。
 うーん…コイツも名前がないと不便だな。取りあえず、『豚肉油夫(ぶたにく みつお)』と呼ぶことにしよう。
「どうぞ、壇上にお上がり下さい」
 キンラメーの呼びかけに、豚肉はたぷんたぷんと腹の贅肉を揺らしながら、思ったより敏捷な動きで舞台に上がった。
「お名前よろしいですか?」
 なにッ? 名前訊くのか?
「えっと…」
 キサマは豚肉油夫だッ!
「豚肉油夫です…って、あれ…?」
「なにか?」
「い、いえ…なんでもないです(変だな。ボクってこんな名前だったっけ?)…」
「では豚肉さん。オマンコの処女とお尻の処女…どちらがよろしいですか?」
 なにいっていんだ? キンラメーのヤツ…。
 処女といえば、常識で考えて『前』だろう。
「お尻ッ。お尻がいいですッ!」
 ……。
 もういいや…どうにでもしてくれ…。
「そうですかッ。豚肉さんは『通』ですな」
「いやぁ…照れますねぇ…」
 なぜ照れる? 照れる場面じゃないだろッ。それに…『通』ってなんだ?
「それでは豚肉さんには、しのぶちゃんのお尻の処女をブチ抜いて頂きましょう。景気良く、メリッといってください…いや、この場合ブチッとのほうが…」
 キンラメーのどうでもいい葛藤は無視して、豚肉は「まかせてくださいッ」と自信満々でいった。
 再びキンラメーは、しのぶの髪を掴んで立たせると、豚肉にしのぶを渡した。受け取った豚肉は、自分より頭一つ以上小さなしのぶの身体を力一杯抱きしめる。
 これまで無言だったしのぶが、この抱擁に「グッ」とくぐもった声を発した。
 豚肉は、自分の胸元にあるしのぶの髪に顔を寄せ、荒い鼻息でその香りを堪能する。
「ブハーッ…いい匂いだぁ」
「そうでしょう、そうでしょう」
 と、不意にしのぶが、「いやッ…離してくださいッ!」と暴れ始めた。これは、当然の行動だろう。
 しのぶを抱きしめたまま、オロオロしている豚肉。非力なしのぶがいくら藻掻こうと、豚肉にとっては大したことではない。が、『かわいいロリっ娘』が嫌がっているという事実が、豚肉は精神的に辛かった。
 彼は、『いい人でいたいヒト』なのだ。
 勝負に勝ち、『景品』を手に入れたのは素直に嬉しい。『かわいいロリっ娘』の『お尻の処女』。豚肉にとっては、これ以上にない『景品』だ(と思う)。
 だが、『かわいいロリっ娘』が嫌がることはしたくない。それは『よくないこと』だ。『いい人』でいられなくなってしまう。
 その矛盾に、豚肉は揺れていた。
 豚肉は、しのぶに『人間』を感じてしまったのだ。客席にいたとき、彼にとってのしのぶは『物』だった。
 『ショー』を勤める『物』。
 それは、『人間』ではない。だから楽しく、しのぶの恥ずかしい姿を観ていた。それが当然だった。
 だが、こうして腕の中で藻掻いているしのぶは『物』ではなく、自分と同じ『人間』だと豚肉は感じていた。
 そんな豚肉の葛藤を見抜いたのかキンラメーは、
「どうしました豚肉さん? みなさんお待ちかねですよ。早くメリッと…いや、ブチッとしてください」
 それは、これまでのふざけた口調ではなかった。冷たく、刺さるような鋭利な口調だった。修羅場をくぐり抜けてきた者だけが持つ、甘えを許さない口調…。
「は、はいッ」
 キンラメーの言葉に、豚肉は脅えたように即答し、しのぶをお尻が突き出すような形で、床に跪かせた。
 もちろんしのぶは抵抗したが、腕が後ろで固定されていて思うようには動けないし、彼女に成人男子の力に抗えるほどの力はない。
 細い四肢。小さく、薄い身体…。
 彼女は、あまりに非力だった。
 例えそれが『罪』でなくとも、『ここ』では『強者』の倫理(または価値観)を受け入れるしかない。
 誰も助けてはくれない。
 『弱い』しのぶが悪いだけだ。
 豚肉はズボンからペニスを出し(葛藤していたわりには準備万端だ)、それをしのぶのお尻にあてがった。
「豚肉さん。ほぐしたほうがいいですよ。そのままだと、入らないでしょうから」
 キンラメーのアドバイスに豚肉は肯き(怖いのか無言だ)、手でしのぶの腰を固定して、小さく滑らかなお尻に顔を近づけた。
 そこからは、ミルクのような少女特有の香りがした。
 豚肉が、しのぶの堅く閉じたお尻の穴に舌を這わす。
「い、いやぁ…お願いです…やめてください…」
 気持ち悪いのとくすぐったいのを我慢しながら、しのぶが許しを請う。だが、豚肉は止めなかった。
 なぜなら、キンラメーが怖かったからだ。『あの声』を聴いてしまった豚肉にとって、キンラメーは絶対に怒らせてはならない存在になっていた。
 豚肉は生徒(学生とは、正確には大学生を指す言葉なので、こでは生徒と表記する)だった頃、イジメにあっていた時期があった。その自分をイジメていたヤツらよりも、キンラメーは恐ろしい存在だと彼は『理解』した。
 だから従う。それが『賢いやり方』だ。
 『かわいいロリっ娘』の肛門を唾液で濡らし、舌をムリヤリねじ込む。苦いような、でもどこか甘いような味がした。
「くぅん…」
 するとしのぶが、ゾクッとするような甘い声で鳴いた。
 だがそれは感じているからではなく、くすぐったかったである。しのぶの短い人生の中で、肛門を舐められるなんてことは初めてである。こんなことは、想像もしていなかっただろう。
 その声を聴き、豚肉はより一層舌を激しく動かし、力任せに奥へとねじ込む。感じているのだと勘違いしたからだ。
(そうか…ホントはこうして欲しかったんだ)
 そう思うと、少し安心した。
 安心して、ペニスがこれまでよりも硬くなり、先から透明な汁が滲んだ。
(もういいかな?)
 唾液でふやけた肛門から顔を離し、豚肉はその様子を確認した。
 ヒクヒクと動いていた。
「早く入れてください」
 と、いっていると思った。そうとしか思えなかったし、そうでなければならなかった。
 こんどこそ…と、豚肉はヒクヒクしている穴に、湿った先を添えた。
 そして…
 ブチブチッ!
 と、肉が裂ける音と共に、一気にねじ込んだ。
「ハガッ! イタッ…イタァイィィぃぃッ!」
 肉を裂かれ、直腸を擦られながら、しのぶはそれを激痛と共に受け入れた。受け入れさせられた。
「ッタイ…ハウゥッ! うぐっ…ギッ! い…たいッ! アアァアァァアァァーッ!」
 パンパンという肉がぶつかり合う音と、しのぶの悲鳴が重なり合う。
 どこから撮っているのか分からないが、スクリーンには涙と涎と鼻水でグチョグチョになったしのぶの苦悶の表情がアップで映されていて、なぜか客席からは拍手が起こっている。
「やッウウッ! ヤメ…てぇ〜ッ! フグゥッ…おね…が…グッ!」
 血と唾液の潤滑油(その多くは血だが)が床に飛び散り、点々と真紅の模様を描く。薄れゆく意識の中で、しのぶは叫んだ。
「ヤメてえぇ〜ッ!」
 その悲鳴と共に、しのぶの直腸に熱い液体が注ぎ込まれる。
 そしてそれは、紅く染まった豚肉のペニスが引き抜かれると共に、血液と、しのぶのお腹の中にあった排泄物と混じり合い、なんとも形容しがたい色となって肛門からゴプッと吐き出された。
 だがそれだけでは収まらず、ほぐれた排泄物と混じって「プぴゅッ。ぷピュっ」と空に舞い、床に新たな沁みとなる。
 その様子は、やはりモニターに映され、客たちを喜ばせることとなったが、気絶してしまったしのぶには、その喜びの声は聴こえていなかった。

 しのぶは床にペタンと座り込み、目は開いていてもなにも見えていないかのように、呆然としていた。
 しのぶの周りには何人もの客がいて、思い思いしのぶに精液をかけている。すでにしのぶの身体は、汚れた精液で白く染まっていた。
 ドピュッ!
 しのぶは顔で受け止めた。目に入ったけれど、しのぶは身動き一つしなかった。
 ドプッ!
 しのぶの髪を新たな白が染め、湿った髪を伝って零れた。
 ピュッぴゅっ!
 しのぶの微かに膨らんだ胸にあたり。ゆるやかなカーブを描きながら、細い身体をすべり降りた。
 もうしのぶの身体で、精液が付着していない箇所はない。
 『前』の開通式も終わっている。当然、膣内に射精された。
 浣腸もされ、お腹の中のモノは全部キレイに吐き出した。そして「面白そう」という理由で、吐き出したモノを上と下の口に詰め込まれた。
 吐き出すことは許されず、しのぶは全部飲み込むしかなかった。
 そして今行われているのは、最後の『ぶっかけ大会』という出し物らしい。
 客全員が、好きなだけしのぶの身体に精液をぶっかけるという、名前通りの出し物だ。
 しのぶは、素直にぶっかけられている。抵抗する気力はすでになく、自分がなにをされているのかも分かっていない。
 延々と続く出し物。しのぶは光のない瞳を半開きにしたまま、白い汚物に身体を染め続ける。
 この後、精液まみれのしのぶはそのままの姿で写真撮影会を終えると、キンラメーの友人だとかなんとか紹介された男に、何処かへと連れ去られていった。
 結局なんのイベントだったのか常人には理解不能なまま、盛大な拍手と共に『ショー』は終わった。

 それから約一ヶ月後。
 地下ビデオに、しのぶが豚とセックスしている作品が出回った。
 豚の糞尿にまみれ、甘い喘ぎ声を発しながら豚とセックスをしているしのぶの顔には、どこか恍惚とした表情が宿っていた。
 だがその瞳は瞳孔が開きぎみで、感情の光はどこにも見つけることはできなかったが…。



終わり