「プチサディストなご主人様
    〜夕菜の初めて〜」
  相馬至


 昔の話だ。

 それは恐らく1年程前――そう丁度夕菜が連れて来られた頃から始まる。

「幸人、おい幸人!」
 父親が階下から僕の名前を呼んでいる。
「いま参りますー」
 適当にそう答え、読書をしていた僕は本に栞を挟んで、階段を下りて玄関に向かう。
 シルクハットに紳士服、手に持ったステッキが明治時代でいうハイカラを思わせる風格……、僕の父親が玄関前で立っていた。
「――どういった御用でしょう、お父様」
「うむ、今日からこの家に働く事になったメイドを紹介しようと思ってな」
 また突飛な考えですね、お父様。貴方は一体いつまで無計画に人を連れてくるんでしょう? と言うよりこれで一体何人目ですか、と問いたいが、父親に反論できるほど度胸が無いのでこの言葉は心にしまっておこう。
「はぁ……ところで、その人は一体何処に?」
「あぁ、恥ずかしがりやなのだよ、ほら、出ておいで」
 父親の身長は小さい。確か160cm程度で、僕より20cmほど下だったはずだ。そしてその父親よりも小さい子供、そう、子供にしか見えないような女が、父親の背後からこっそりと顔を出した。
「……誘拐、ですか?」
「違うわ!」
 ステッキで頭をボカボカ殴られる。3発目が顔面に来そうだったので受け止めて、無理やり地に付かせる。
「言葉を誤りました、失礼しました。ところで……こんな子供に何をさせると?」
 ズビシっと女を指差して一瞥しながら言い放つ。
「ひうっ……」
 じりじりと父の後に逃げる女。
「お前の身の回りの世話と、性処理だ」
 後半の言葉に耳を疑ったが、気にすることは無い。いつものことだ。
「身の回りの世話ぐらいは自分で出来ます。性処理は……そんなの必要ありません」
「ほほう?」
 父親がいきなりいやらしい笑いをした。
「……なんですか」
「お前、料理できるか?」
「う」
「自分の部屋自分で整頓した事あるか?」
「う」
「お前未だ童貞だろ」
「……放って置いてください」
 ぐさりぐさりと胸に突き刺さる父の言葉。
「まだ私は手を出していない、とりあえず、若い者同士でゆっくりするがいい。と言うわけで私は出かける」
「あ、ちょっと! でっ!」
 ズガンと半開きだった玄関の扉の角に頭をぶつけた。
 バタム。
「……って〜……」
 あー、痛い。
「あ、の」
 女の子(失礼なのでこう言うことにした)が口を開いた。
「……なんだい」
「こ、こぶが、出来てますよ」
「あぁ、出来てるな。親父のステッキで殴られてもこんなこぶは出来ないよ」
「……クスッ」
 このときは何が可笑しかったのかは知らないが、初めて見せてくれた彼女の笑顔だった。
「…………」
なんだ、可愛いじゃないか。おどおどしているより、こっちの方が全然可愛い。

 それからと言うもの、いろいろな会話をした。
「君の名前は、なんていうのかな?」
「……ご主人様の、お名前が先に聞きたいです」
ご主人様と呼ばれるのに多少嫌悪、と違和感を感じたが、僕は平然と答えた。
「僕? 僕は平崎幸人、幸人だよ」
「幸人、様ですか」
「そうだよ、君の名前はなんだい?」
「私は、夕菜」
「夕菜……、名字は?」
「わからないです、私は孤児院の前に捨てられていて、下の名前だけが与えられていました。恐らく両親の名前を隠蔽するためだろうかと」
 本当にこの娘は僕より年下なのだろうか、と言うのが第一印象だ。見た目は普通の子供なのに、話し方がどうも冷め切っている。なんだか子供らしくない、淡々とした口調だった。
「……親父とはどう言う風に会った?」
「旦那様には養子として連れてこられました。それで、この家で働くと言う事になって、ご主人様にお仕えするという事でした……ですが、安心しました」
「……何で?」
「優しかったからです。私は、少し怖いお方を想像していました」
「はは、優しい、か」
 言われた事は何度かあった。だが、言われて嬉しいと思った事は一度も無かった。だが、何故かこのときはこそばゆかった。
「……ところで、そのしゃべり方どうにかならない?」
「……しゃべり方、ですか? えと……どうしましょう?」
「いや、僕に聞かれてもね」
 苦笑するしかない僕。
 ……ってちょっと待てよ?
「君って物凄くわかりづらいけど、知らない人の前だと緊張するタイプ?」
「えと……はい、緊張、しています」
 なら少し安心した。全く子供らしさが抜けた、冷めた子供、今で言う、「サイレントチルドレン」なのかと思った。
「確か母さんがな……」
 夕菜に近寄りながら僕は言った。
「こうすると緊張が解ける、って言ってた」
 そして僕は夕菜に抱きつく。
「な、な!」
 いきなりの抱擁に夕菜はビックリして目を開いている。
「顔見知りだったら逆効果だろうけどね」
 顔見知りでなくてもこれは嫌なのではないかと思うが、このときの僕は幼かった、と言う事にしておく。
「あ、あの、大丈夫ですんでっ!」
 と言いながら、嫌がる様子も無く、何も反抗してこない。
「多分、僕はこの意味がわかった。こうしてる事で相手の近くに居る安らぎを感じられるから、そうして緊張が解けていくんだって」
 僕は人との関係を嫌う。母親以外の女と言う人間に触れた事も無かった。柔らかい女の子独特の臭い。そして華奢な体も柔らかかった。僕はその感触にしばし夢中になった。そのときに僕の欲望は動いたのだろうか。
「あの……」
「ん?」
「そ、そろそろ……離れてくださいぃ」
「あ、ああ、ごめん」
 少々申し訳なさげに思ったが、少し残念な気持ちも残る。
「ごめんごめん、急にこんなことされて、嫌だったよね?」
「い、嫌なんかじゃ!……ありま、せん」
 少々ムキになっているところが尚の事かわいらしくて、僕は少し声を漏らして笑った。
「ははは……。ようこそ、平崎家へ」

 その後も、親父が死んだ後も実に平和な日々が続いた。
 夕菜の料理に感涙したり、てきぱき仕事をこなす夕菜に感心したり……。たまにどじな一面を見たり。と。

 そしてついにこの夜がやってきた。

「夕菜、入るよ」
 ちょっとした用事があって夕菜の部屋に入ろうとする。
「え、ちょっと待って、ご主人様、今は駄目!」
 拒否する夕菜の声には耳を傾けず、部屋の中に押し入った。
「ん〜……あ」
 透き通るほど白い素肌、熟れ切っていない小さなお尻と小ぶりな胸……つまり夕菜の裸体がそこにあった。
「ご、ごめんっ!」
 ばたんと扉を強引に閉める。
 たかが子供の裸体を見ただけで興奮した自分に恥じ、自分のデリカシーの無さに後悔した。
 ――でも全くの子供ではなかったような……
 胸も少しあった。だけど下の部分は毛が生えていない……全くの無毛だった。
「って、あーあ……」
 なんか勃っちゃってるし……。

 今僕がやろうとしているのは、健全な男子ならば当然の行為だ。今の僕はと言うと、自分のナニをズボンのチャックから覗かせている。町を歩けば真っ先に変質者だ。後は自分のモノに手を当て、妄想力が物を言う世界だ。
 女性の裸体を想像する……そうこんな感じだ。
 上下に動かす手も早くなる。
「あのぅ……ご主人様……っ!?」
「!!!!!!!!」
 心臓が跳ねるとはこの事を言うのだ。
 あぁ……鍵を閉めとけよ、僕!
「あ、あのな、夕菜」
「……ます」
「へ?」
 何を言っているのかよく聞えなかった。
「それ、私、知って、ます……お、オナニー……ですよね?」
「……なんで知ってるんだよ……」
 ショックで頭を抱え込む。
「あ、あの!」
「……何ですか?」
「と言う事は、ご主人様は、性的欲求を感じてらっしゃるんです……よね?」
「……ああ」
 君の裸を見て発情した、などと死んでも言うまい。
「なら……私を、私を使って、その欲求を解消してください……」
 服を脱ぎだす夕菜。
「なっ……!?」
 信じられない光景に目が開く。
「こう言う、仕事もあると旦那様から聞きました……」
 少々頬を赤らめながら、彼女はどんどん服を脱いでいく。ついに上半身があらわになった。
「……止めてくれ」
 夕菜の手を握り、それ以上服を脱ぐのを止めさせる。
「こう言うことは、互いに好き合っていないと……嬉しい事じゃないんだ」
 そう、こんなの絶対間違ってる。僕の性処理をしろと親父が命じたとしても、こんなの間違っているんだ。
「わ、私は……ご主人様の事が、好きです! だから、こんな事が出来るんです……」
 彼女が来てから初めてのことばかりだ。初めて女性の体に触れて……そして初めて優しいと言われて嬉しくて……そして、初めて今のように人に好きだといわれた。
「……後悔、しないんだな?」
「……はい」
「なら、僕も君の事が好きだよ……夕菜」
 この気持ちは嘘だったのかもしれない。でも、このとき夕菜が愛しいと思ったのは本当だった。
「んっ……」
 いきなり唇を奪う。強引なやり方だったことを少し後悔したが、そんなのもう今となったらお構いない。歯茎を舐め上げ、中に入れろと要求する。おずおずと彼女が歯を開いたところを見計らって、彼女の舌を強引に舐め上げる。
 熱烈的な唾液交換。
「はっ、はぁ、はぁ……」
「息、止めてた?」
「……少し」
「そっか」
「でも……キス、気持ち良かったです」
 彼女の言葉を決定付けるかのように、胸の頂上にある桜色の突起が屹立を始めていた。
「キスだけで感じちゃうんだね……いやらしい娘だ」
 そしてその突起を人差し指と親指でつまみ、軽く転がす。
「んん……はぁっ……」
 片手ではさするといった表現がふさわしいほどささやかな胸を弄ぶ。そしてもう一方の手は、いただきの突起を未だに転がしつづけ、舌は首筋を舐め上げた。
「はっぁ、ご主人様の舐めてる所、じんじんしますぅ……っあ!」
 耳を甘く噛んだところで夕菜が跳ねた。ぴちゃぴちゃと音を立てながら舐め上げる。
「んっ、あ、音が……いやらしい、ですっ……は、あぁ!」
 そして顔を徐々に下へ、下へ移動させて、彼女の胸の谷間と思われる場所に顔をうずめて、汗を舐め上げる。女の子特有の柔らかく甘い香りに汗のにおいは打ち消されていたが、味はしょっぱかった。
 つつーっと舌を移動させて、突起に舌が当たったところでそこに吸い付く。
「んぁ! だめ、真中は、あぁ、やっ……」
 突然の刺激にビックリしたのか、体を浮かせ、僕のされるがままになっている。
「……気持ちいい?」
「まだ、よくわからないです……その、何か、変な気持ちに、はぁう!」
 スカートの中に手を突っ込み、秘所を責めたところで歓喜の声が漏れた。
「気持ち良いんだ?」
「あ、あぅ、は、ぁん」
 彼女の筋に沿ってたて横にこすり続けると、敏感な部分に当たるたびに彼女は断続的に声を上げているようだった。下着を横にずらし、陰核を責め立てる。
「ひゃぁぁぅ! だ、駄目ですぅ!」
「何が駄目なんだい?もうこんなにぐしょぐしょにしてしまって……」
 そして一番下の部分に顔を近づける。てらてらと艶かしく光る、ピンク色の花びらがあった。
「は、恥ずかしいです……」
 そして舌を使って舐め上げる。液を舐め取るが、それは枯渇を知らない泉である。舐めとっても舐めとっても、また新しい愛液が生まれ出る。
「あ、あはぁっ、き、汚いです、や、やぁぁぁぁっ!?」
 花びらの一番上の突起を舐めあげたとき、彼女は絶叫した。
「……そろそろかな?」
 ぴとっと、彼女の陰唇に僕のモノをこすりつける。
「あっ……」
「……怖いかい?」
 最後の確認だ。
「怖い、です、でも……ご主人様だから、我慢します」
「……いくよ、力を抜いて」
「んん……」
 ――神よ、お許し下さい。
「あ゛、あ゛あぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
 悲痛の叫び、これは当然だ。ぬるっと生暖かい、愛液と違う感触のものが僕のモノを包む。破瓜による流血だ。だが、ここで動きを止めるわけには行かない。ぷちぷちと中で何かが裂ける音に、少々僕のものが萎えるが、それでも突き進む。ぷつんと大きなものが中ではじけた。僕のものを根元まで入れる事は不可能だけれど、彼女の中に僕の余りを入れる余裕は、どうやらもう無いらしい。
「あ、あ、あぁ……」
 痛みで失神寸前の夕菜を抱きしめて、彼女が慣れるまで待つ。
 胸を弄り、陰核を弄ったりと、少しでも快感を感じられるよう手伝いもしてやった。
「ご、ご主人様、私はもう、大丈夫、です」
 違う。嘘をついているなんてすぐにわかった。彼女の瞳には涙が大量に浮かんでいたし、痛みによる冷や汗も異常だった。
「……ごめん、夕菜」
 彼女のけなげさに、僕は泣いたのかもしれない。だけど、彼女が僕を望んでいる。そう解ったら、彼女の期待にこたえるだけ。
 僕は夢中で腰を振りつづけた。ぎりぎりと僕の背中に食い込む夕菜の爪。背中にも生暖かい血の感触があった。が、それも最初のうちだ。徐々に彼女の体も快楽を覚えつつあったようだ。
「あっ、あぁぁっ! こ、壊れるぅっ! あ、はあっ! にゃぅ!」
 先ほどとは明らかに違う、歓喜にも似た叫び。そして血と違う何かが彼女の膣から溢れ出している。
「気持ち、よく……はっ、なって来たかっ?」
「うん、気持ち、い、気持ちいいよぉ、ご主人様っ、ご主人様あぁぁっ!」
 ついには自分から腰を振ってくるようにまでなった。きゅっきゅっ、と僕のものを締め付ける。
「もう、駄目だ、イクよ……夕菜っ」
「あ、私も、何か、何か来る……来ちゃうぅぅぅ! あ……にゃぁぁぁぁぁ!」
 そして欲望のたけを彼女の膣にぶちまけた。

 それからと言うもの、僕は彼女をむさぼりつづけた。今となってしまえば、あの言葉はもう嘘に等しいのかもしれない。

「……さま?……様っ、ご主人様っ」
「んー……」
 今日の目覚ましはやけに変な声だな。
 ぺしぺしっ……
「あでっ、痛いですよ〜」
「……あ」
 何だ夕菜か……。どうやら目覚ましと思って頭をぺしぺしと叩いてしまったらしい。
「ごめんごめん、目覚ましかと思ってさ。んじゃ、お休み」
「って、さらりと流して又寝ようとしないで下さい〜! 今日はお買い物一緒に行くって言ってたじゃないですかぁ!」
「……そうだっけ?」
「はい! ちゃんと誓約書も書いてもらいましたっ!」
 誓約書:私、平崎幸人は、明日、平崎夕菜と、買い物に出かける事を、ここに誓います。印
 印の部分にきちんと僕のはんこが押してある。
「……無かった事にならない?」
「だーめーでーす!」
「はぁ……解った。着替えるから、外で待ってて、あ、いやちょっと待って……」
「はい?」
 がばっと、夕菜に抱きつく。
「なっ、苦しいですよぉ」
 くすぐったそうに夕菜は身じろぐ。が、やはりまんざらではないのか、彼女は抵抗しない。
 昔と変わらない、女の子らしい、柔らかい香りと、柔らかい体……。
「ごめん、何だかこうしていたい気分なんだ」
「……ご主人様?」
 少しの間、沈黙があって、僕は過去の記憶と、初めての感覚と感動を見出しつつあった。
 爆発しつつある、僕の本当の気持ち……。
「……初めて出会ったとき、覚えてる?」
「……ええ、確かこんなふうに抱き合いましたね」
「と言うより、僕が一方的に抱きしめたんだけどね」
 苦笑。
「私以外の女性にこんなことしたらセクハラですよぅ?」
「大丈夫、君以外の女性にはそんな事しないから」
「えっ、それってどう言う?」
「こういうことだよ」
「あっ……」
 今度は前のように強引なキスではなく、優しく、そっと口付けた。そして彼女も僕の要求に気付いたのか、舌を出してくる。舌と舌が絡み合い、傍から見ても解るような、唾液の交差。
「んんっ、んふっ……はふ……んっ、んんっ」
 息が続かないのか、少し僕の唇から逃れて、少々息を吸った後、又僕の唇にむさぼりついてくる。
「ご、ご主人様ぁ」
 瞳が潤んでいる。だが、今日は普段の主人の違いに少々困惑している様子だった。
「好きだよ、夕菜。愛してる」
 今度こそ言える。嘘偽りの無い言葉。もう僕の心に迷いは無い。あの夢が僕の心に気付かせてくれた。
 初心を忘れていた、と。
 一瞬夕菜は目を大きく見開いて驚いていたが、少し俯いて、
「……ずっと、待ってました」
 こう言った。
「え?」
「もう一度、その言葉を、ご主人様が言われるのを、ずっと待ち望んでいました」
 夕菜の顔が見る見るうちにくしゃっとなる。笑顔ではない、泣き顔に、だ。
「う、嬉しいですっ、う……ひぐ……ずっと……待ってっ、ましたっ……う、うわぁぁぁぁああん!」
 僕の胸に顔をうずくめる夕菜。
「ごめん、ごめんな」
 本当に申し訳なかった、と思う。僕は欲望に任せて彼女をずっと貪り続けていた。僕は自分の快楽だけに……彼女を道具として扱っていたのだ。だが、彼女との行為に、愛が無かったわけではなかったのだ。恐らく自分が気付いていなかっただけで……、でも、今は充分にわかる。僕は彼女に恋をしてしまっているのだ。
「愛しています……ご主人っ、様ぁ……」
 背中に回った夕菜の手に、いっそう力がこもる。

 夕菜は、今産まれたままの姿、一糸まとわぬ姿になって、ベッドの上に転がっている。
「なんだか……初めてのときみたいです」
「どきどきする?」
「はい、んっ……」
 もう一度唇を奪う。上唇と下唇を吸い、彼女の舌が出て来た所で舌を絡ませる。同時に、彼女の胸をさする。唐突な責めによって唇が一瞬離れそうになるが、ベッドに行く手を阻まれ、逃げられなくなっているので、呆気なく又つかまる。唇を離したとたん、甘い声が漏れ出した。突起をつまむ。
「んんっ」
 指で転がして、口に含むと、舌先と指先が二つの突起が更に盛り上がろうとしているのを感知する。
「あっ、はぁぅ」
 舌は乳輪ごと舐め回し、片手は陰部に伸びる。
「んっ、あうぅぅぅ!」
 僕の指は的確に陰核を捉え、転がすまでにいたった。そこを集中的に攻めると膝ががくがくと僕の指の動きに合わせて震えだす。
「あ、うぅ、だめです、そこばっかり……あ、イっちゃう、い、あっ、ああぁぁぁぁぁぁぁ!!」
 体を弓なりにそらし、ぴくぴくと痙攣した後、又動かなくなったかと思うと、激しく息をつき始めた。
「はぁっ……はぁ……」
 陰部に指を差し込み、出入りさせると、とめどなく愛液が溢れ出す。同時に陰核も親指で転がしたり、微妙な振動を加えたりしてやると、夕菜は体を弓なりにそらして、快感に必死で耐えている様子だった。
「んんんっ、んっ、あっ、うぅ、や、また、イっちゃ、あぁ、あはぁっ、あっ、あぁぁぁぁぁあ!」
 首筋を舐めたのと同時に、それはまた訪れた。
「はっ、はぁっ……ご主人様ぁ……」
「そろそろいいかな……」
 両足を抱え、開脚をさせて、僕のものを押し付ける。正常位だ。
「……いくよ」
 徐々に徐々に、じわりじわりと貫いていく。ずぶぶぶぶ、と、やけに汁気の多い膣に挿入したためか、そんな音がした。
「あっ、はぁっ! ああああっ!!!」
 いつものごとく、最後まで入りきらない僕のモノだが、これでも夕菜を感じるには充分な深さだ。
「あっ、あっぁ」
 ぱくぱくと口を開けて、快感の波にさらわれそうな夕菜。
「動くよ」
「あっ、ああぁぅ!」
 ずっ、ずっ、と最初はゆっくりな動きだったが、徐々に早まっていく。
「あっ、あっ、あんっ、はっ激しいっですぅ、ご主人様……ご主人様っ……っ」
「あ、すまん……ちょっと激しかったかな……?」
 後悔と共に、動きが止まる。
「あ、いえ……ご主人様の好きなように……動いてください」
 涙混じりの微笑で、彼女は答えた。
「……すまない」
 又腰を動かす。今度はさっきよりも激しくだ。腰にも回転を効かせ、えぐるように彼女の膣壁をかき回す。断続的に彼女の陰唇からは液が漏れ、くちゅくちゅといやらしい音を立てさせた。
「あっ、もっと、激しっ、き、気持ちいいですぅ、ご主人様、ご主人さまっ……」
 少し体位を変えて、今度は夕菜がころんと横に倒れて、僕は夕菜の片足を掲げている。
「あ、そこっ、駄目ぇっ!」
 どうやら感じる所に当たっているようだ。
「どこ?ここ?」
 意地悪く、彼女の感じる場所を執拗に責め立て、絶頂へのラストスパートをかける。
「あ、だめぇ、にゃっぁ! そこ、私、あ、イっちゃ、あっ、にゃぁぁぁぁぁぁ!!!」
 只でさえキツイ夕菜の膣が更に締まる。これには流石に耐え切れず、僕も怒号を彼女の中に叩き込んだ。
「あ、ご主人様の、が……熱い、熱いよぉ……」

ベッドの中で、抱き合いながら話をする。
「私……もう二度と言ってもらえないんだと思ってました」
「え?」
「あの言葉……だから、私、本当に嬉しかったんです」
「夕菜……」
「私……愛されていないんじゃないかって……いつか捨てられちゃうんじゃないかって、ずっと不安でした」
「……そんな事、しない。もう、心に誓ったんだ……夕菜、愛してる」
「……嬉しいですっ……」
また瞳に涙を浮かべて、夕菜は僕に微笑んだ。そして、寝息を立て始める。
「いつまでも、僕はお前のご主人様だからな……」
そう言って、僕は夕菜を抱きしめて、眠りにつく。

末永く、この幸せが続きますようにと、僕は心の底で願う。