「プチサディストなご主人様
      〜僕と君の距離〜」
  相馬至



 こんな言葉から一日が始まるのは失礼だと思うが、やはり言ってしまおう。
「暇だ」
 今度は逆に仕事がめっきりこなくなったのだ。後々会社に問い合わせてみた所、なんと僕は5か月分もの仕事を全てやり遂げてしまったらしい。何故そこまでの重労働を自分に課せるのか、と問うと。
 ――貴方がいつも怠けてばかりだからですよ。これで少しは頭も冷えたでしょう?
 等と秘書にぬかされた。実際、職務怠慢をしていた事実は消せないので、反論できなかったのは言うまでも無い。もっと話を聞いてみると、自分は3か月分ほど仕事を貯めていたようだ。
「……いやー、いくら仕事が怖くなったといえど、仕事のメールアドレスを着信拒否したのは流石にまずったかなぁ」
 いまさら後悔。はっきり言って、自分は馬鹿だ。こんなことでよく会長等という大それた役職が勤まるものである。
 ――っていうか、うちの会社って抜けてる?
 自分が率いる会社の幸先が不安だ。
 さて、何をしよう。
 選択肢
 1、寝る
 もうあの時かなり寝てしまったしなぁ、当分寝る気にはなれないよ。
 2、散歩
 散歩するって言ってもなぁ……それに外にはあんまり出たくないし。
 3、夕菜を襲う
 ……
 4、夕菜を襲う
 同じじゃん。それに僕はリビドーの塊じゃないぞ。
「はぁ……」
 やり過ごせない気持ちを押さえ、とりあえずベッドにだうっと横になる。
 こんこん
「ご主人さまぁ〜、倉庫の整理をしている時に面白いものを見つけたんですよぉ」
「あぁ、どうぞ、入っておいで」
 少しは暇つぶしになるだろうと思い、僕はベッドの隅に座り、夕菜を部屋の中に入れる。
「ジャァーン」
「……」
 僕は夕菜の姿を見て絶句した。白いフリルのついたエプロンの下に青い服、頭にこれまたフリルのような物がちりばめられた髪飾りのような物をつけている。そう、夕菜はメイド服で現れたのだ。
「ほらぁ、私ってば完全なメイドさん〜♪」
「す、すごいね。夕菜」
 というより何故うちの倉庫にこんなものが? それになんで夕菜に合うサイズが?それより父さん、あんたは一体何をしていたんだ!?
 謎が謎を呼ぶ平先家。
「あ、それにそれにぃ、何か見たこと無いもの見つけたんですよぉ、何か電池切れてたんで変えてみて、スイッチ入れたらぶるぶる震えるんですよ!」
 夕菜はスカートのポケットから何かを取り出した。その「何か」は長いコードが伸びていて、一方の方には四角い、なにやらカチッとやるスイッチのようなものがついている。そして、そのコードを辿っていくと、先端には丸を引き伸ばしたちっちゃなものがある。それにモーター内臓。濃いグッズマニアが言う「ローター」といわれるものだった。
「これ、どうやって使うんでしょうね」
 ふと悪魔が僕に微笑んだ。
 これはチャンスだぜぇ、兄貴。新しいプレイ発掘のチャンスだぞ。ほら、直ぐに教えちまえよっ。
 そして天使も微笑みかける。
 無知な子供に知識を与えるのです。神も笑ってお許しになられることでしょう。
 何故か天使までが同意した。
 ――神も笑ってお許しになられることでしょう。
「教えてあげようか、夕菜」
「え、知ってらっしゃるんですか?」
 興味津々と言った感じで、夕菜は問うてくる。
「それじゃぁ……何かをしてもらったご褒美に教えてあげようかな」
「え、何か、ですか……例えば、どんなことでしょう?」
「うーん……例えば、僕のココに奉仕をするとかね」
 僕は自分の股間を指差す。
「え、ご主人様のを……ですか?」
「そう、まぁ主人命令って言うのもあるけど?」
「……っ」
 これも夕菜の弱みの一つだ。仕える主人には絶対服従のメイドは、主人の命令にそむくことは出来ない。
「解り、ました」
 僕の足元に跪き、カチャカチャとベルトとジッパーをはずし、トランクスをずらして、夕菜は僕の分身をしげしげと見つめる。
 そして、手が伸びる。手を上下に動かし、しごき始める。
「いい感じだぞ、夕菜、裏筋をなめてくれ」
「はい……」
 ぺろぺろと裏筋をなめ始める。オマケに袋まで揉みだした。
「くっ」
「あっ、ご主人様の、大きくなりましたぁ」
「あぁ、夕菜が気持ちよくしてくれてる証拠だよ。今度は先っぽの方をなめて」
 ちろちろといった感じで、僕の鈴口を小さな舌で責め立てる。先走り液がしょっぱいのだろうか、その味に驚いたような顔をする。
「いいぞ、夕菜、今度は全部口に含んでみて」
「はい、んんっ……んっ」
 僕の分身が暖かいものに包まれる。ざらりとした舌の感触。これは想像していたよりも刺激的だ。
「くっ、夕菜、頭を動かして」
「はひ……んぅ、んん……んん」
 やはり小さな口には苦しいのだろうか、苦しげな顔をして、徐々にまた大きくなりつつある僕の息子を含み、口をすぼませ、頭を動かしている。
「舌もちゃんと使ってな」
「んん……ちゅぱ、ちゅ……ん、ちゅるちゅるちゅる……・」
 今度は舌も使って、見事に亀頭を責め立てる。
 そろそろ我慢の限界だった。
「うっ……」
「んんんんん!んっ……んっ」
 そして、命令をしてもいないのに、夕菜はこくこくとのどを鳴らして僕の精液を飲み干した。これは彼女の本能だろう。
「ふはぁ……」
「良かったぞ、夕菜……」
「んっ……」
 そして軽く口付けをしてやる。僕の少し苦い、精液の味がした。
「……ご主人さまぁ、ご褒美ぃ」
 とろんと夢見がちな表情だ。どうやら出来上がってしまったらしい。
「ああ、そうだったな。これはな……夕菜、こっちにおいで」
 パンパンと自分の腿を叩き、僕の開いた足の間に来いと合図を出す。
「え、はい」
 ちょこんと後ろ向きに、僕が指図した位置に座った。
「これはだな……」
 有無を言わずスカートの中を弄る。
「え、ちょ、何をっ?」
 そしてパンツを探り当て、手を突っ込み、秘唇を探り当て、ローターをその部分に当てがう。
「ん……なにを」
 違和感を感じるのか、夕菜は少し顔をゆがめる。
「これはね、こうやって使う玩具なんだよ」
「おもちゃ……?」
「そ、大人のね。使ってみようか」
「え、ご主人様、ちょっとまって、ん……はぁぁぁん!」
 とりあえず、強度を弱に入れてみた。
 ビビビビビビ……
「ほら、気持ちいいだろ?」
「ん、んっ、ご主人さまっ、はぁっ」
 手を伸ばして、僕の首にしがみついてくる。
「どう?気持ちいい?」
 ぺろぺろと首筋をなめ、メイド服の隙間から手を突っ込み、胸をさすりながらささやいた。乳首は小指程に膨れ上がり、堅くしこっている。軽く転がすと、夕菜はさらに甘い声を出す。
「ん、にゃぁ……にゃ、ふぅん……び、びくびくしますぅ」
「じゃぁ、もう少し強くしようか」
 ローターの強度を中に入れ替える。
「にゃ、にゃぁぁぁぁ!!」
 夕菜は体を弓なりにそらした。イったわけではないのだろうが、かなり強烈な感覚が彼女を襲っているに違いは無い。
「ほら、気持ちいいんだ」
 指を彼女の太ももに持って行くと、ここまで滴ってきた彼女の愛液に触れる。蜜壷に到着すると、もう完全なおもらし状態だ。女の子には不自然な盛り上がりが出来ている。それをぐりぐり押し付ける。
「やっ、ご主人様、押し付けちゃだめぇぇ! んんんんっ、にゃぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
 今度は完全にイったらしい。膝と顎を痙攣したかのようにかくかく震わせ、尚も絶頂を迎えているようだ。言わば、「イきっ放し」の状態だ。
「あっ、はぁ、ご主人様っはぁぁぁぁ! おかしいですぅ、何度も……ん、何度もイっちゃうんです……っ、あ、また……にゃぁぁぁぁ!!」
「それはね、イキっぱなしって言うんだ。うらやましいなぁ、男には経験できないことだよ」
「そ、そうなんです……かはっ、あ……はぁん、苦しいし……にゃ、はっ、又……んんんんんっ! 壊れちゃいますぅ!」
 流石にこれは人格崩壊につながりかねないし、そこまで女の子を虐める趣味は無い。ローターのスイッチをオフにしてやる。
「はぁ……はぁ……」
 そんなに苦しかったのだろうか。夕菜はローターを止めた後も肩で息をしていた。
「んん、今度は……今度はぁ……」
「ん、なんだい?」
「ご主人様のが……欲しい、です」
「僕の、何が欲しいのかな? 指かな?」
 僕はローターを引き抜き、夕菜のパンツの中に手を入れ、秘唇に指を突っ込んでやる。我ながら、卑怯な作戦だ。
「んんん!ご主人様の……おち○ち○が……欲しい、です」
 僕はニヒルに笑う。
「よく言えました」
 夕菜をベッドに押し倒し、正常位で貫いた。
「ひゃぁあん!」
 いとも簡単に僕のものは夕菜の中に吸い込まれた。
「んん……ご主人様ぁ、早く動いてくださいぃ」
 相当、さっきのローターで昂ぶったらしい。夕菜がねだってくるなんていうのは珍しいことだ。
「じゃぁ、壊れるほどに動いてあげようか」
 いきなり激しく僕は動き出した。発情した猿のごとく、己の浴するままに腰を打ち付ける。
「んんん、あっあっ、にゃぅぅぅぅ!」
 夕菜はだらしなく舌を出し、涎をたらし、眉をぎゅっと眉間に寄せて快感に身を任せているようだ。
「あっあっ……また、イっちゃうぅ!」
 夕菜がイク寸前を見計らい、僕は自分のモノを引き抜いた。
「えっ……」
「今日はそう簡単にはイかせないよ」
 さっきはイキっ放しを経験したのに、今度はイかせてもらえない。まるで生き地獄だ。
ぺろぺろと夕菜の秘唇を舐め上げる。
「ん、ふわぁっ!あんっ!」
 親指でプックリと膨れ上がった淫核をくりくりと転がすと、びくびくと体を振るわせ始めた。
「んっ……んんんん、にゃぁふぅぅぅぅん!」
 そしてまたイく寸前を見計らい、舌と指の動きを止める。
「あっ……」
 2回目。
 今度は指を一気に根元まで突き立てた。
「うぁ、やぁんん!」
 指をあらゆる方向に曲げながら、抜き差しを繰り返してやる。何度もイキ損ねた為か、夕菜の体は敏感になっているようだ。
「あ、にゃっ、ぁっ、ふぅん、にゃはぁぁぁ、いっ……」
 3回目。
「ご、ご主人さまぁ……」
 夕菜は本当に切なそうである。それに涙のオマケつき。
 ――流石にやりすぎたかな……?
「ごめんごめんご褒美に、夕菜の好きなように動いていいよ」
 僕はベッドの上に寝転がり騎乗位の体制になった。夕菜はメイド服のスカートをたくし上げ、僕にまたがり、自分の中に僕の分身を埋没させていった。が、根元まで入る途中で止まる。どうやら限界のようだ。
「んんんんんっ……・はぁっ、はぁ、もう……入りません」
「じゃあ、好きなように動いて」
「はい……んっんっ……あっ、はぁぁぅ!」
 夕菜はゆっくりと腰を動かし始めた。
「んっ、んっ、はぁぁぁぅん!にゃっ、あっ、ふぅん!ご、ご主人さまぁっ!」
 もう動けないといった様子で、僕の胸に、体を預ける。僕は倒れたまま、背筋を利用してピストンを繰り出した。
「んんっやぁぁん!あっ、だめぇ、そこ何度もついたらっ……」
「気持ちよくなっちゃう?」
「んんんんっ! だから、だめだって、にゃっ、にゃふぅぅぅぅぅ! イく、ほんとに、あぁ、イっちゃうぅ……!」
 只でさえキツイ夕菜の膣が、さらにきつく締まり始める。
「くっ、夕菜、僕も……」
「にゃっ、出してぇ……ご主人様ぁ、私の中にいっぱい、いっぱい出してぇぇぇぇ!!」
「うっ、んっんっ!」
「にゃぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」
 夕菜の膣内にひとしきり自分の怒号を貫いたあと、ズリュッ、と自分のモノを抜く。が、まだ出し足りなかったのか、少し残っていた精液がメイド服の藍色の生地に撒き散らされた。
「はぁ、はぁ……ご主人様ぁ……」
 どうやら、疲れてしまったのか、夕菜は寝てしまっていた。
「……子供の寝顔っていうのはどうしてこんなにも可愛いものなんだろうな」
 子供の寝顔は天使だ、とか誰かが言った言葉にいまさら大いに頷ける。
 ぐぅぅぅぅぅ……
「あ、腹減ってきた……」
 だが肝心の夕菜は夢の中。起こせば良いなど思うだろうが、ロリータの神がそんなこと許しはしないだろう。そして僕は料理が出来ない。
「……どうしませう?」


 シャキ―ンと包丁を持つ。
「……」
 包丁を持つなんて……一体何年ぶりだろうか。恐らく夕菜が来てからこの方持った覚えが余り無い。かくして、今包丁と適当に寄せ集めた材料(タマネギ、ニンジン、ごぼう、レンコン、ジャガイモ、サツマイモ、大根などその他含め恐らく14種類ほどの野菜と牛馬ばら肉と魚が一尾)とにらめっこをする。
「……まぁ適当にやっとけばどうにかなるかぁ♪」
 ……僕はいつも考えが甘いのだ。


 かくして僕の料理は始まった。
 うーんニンジンは皮をむかないとねぇ、って
 ズブっ
 包丁で皮を剥いていたら見事に指に刃が食い込んだ。
 自分の手の皮まで見事に剥ちゃいましたぁ♪ みてみてぇ、赤い実が出てきたよぉ♪ って、筋肉組織が見えてるよおい、いや、てか滅茶苦茶痛いって、痛いって!
「ウッギャァァァァァァァァァァァ!!」
 指の面積が磨り減った。

 数分悶絶し、ジャガイモの皮なども何とか剥き終わった。

 さぁって、切りにかかりましょー。
 トントントントン……
 おぉ、いい感じじゃないかいい感じじゃないか。我ながら感動する包丁捌きだぞ。こりゃいける。
 ストトトトトトトトトトト……・
 ザクリ。
あ れぇ、なんか野菜に生暖かいものがついてるなぁ。わぁ、綺麗な赤色、まるで血みたい♪……って。
 血!?
 そしてそれはまるで噴水のように噴出した。
「ギャァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
 良く見ると己の指を切断しかけていた。


 次はやまば、いためにかかります。まぁ、フライパンくらいは俺にも使えるよね。
 えーっと……火にかけて、フライパン自体が暖まるのを待って、それから油だっけか。
 フライパンが暖まったのを確認し、油を注入する。そして、油を適当にならしてから、いためるものを注入。
 適当にフライ返しで野菜を混ぜながら、火が通るのを待つ。
 えーっと……タマネギは透き通るまで待つんだっけ。
 うーん……塩コショウ意外にもう少し下味が欲しいなぁ。
 そこで見えたのがレモン汁。
 OH! これはいいね。
 早速注入、したら。
 ぐぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!
 フライパンが燃え出したっ!!
「うをぉぉぉぉぉぉぉ!!」
 ……こんがり焼けました。(何がとは言いませんが)


 かくして僕の野菜炒め(だったのか)が完成した。
 とりあえず、一口。
「…………」
 大体こう言うときのお約束は知っているだろう。普通はな。
 これがなぁ……しかし。
「おいしいんだよ」
 あんな滅茶苦茶な作り方をしておきながら。自分で言うのもなんだけど。
 はっきり言って、かなりびっくりした。
「ん〜……ご主人様ぁ、ごめんなさひぃ、私部屋で寝ちゃったみたいで……ってキャァァァァァァァァァァ!! これ、誰の血? 血? 血ぃぃぃ!!??」
 メイド服から、白いキャミソールと、G短パンと言う、いつも通りの格好をした夕菜が、見事に僕の鮮血で全く違う部屋になってしまったキッチンを見て絶叫した。
「DNA鑑定をしなくても僕の血だよ、夕菜。久々に料理をしてみてこの様だ」
これで夕菜のありがたみがしっかりわかった気がする。
「……で、料理の方は……?」
「……」
「こちら」と言った感じで目の前にある野菜炒め(もどき)を指差す。
「……」
夕菜は数歩ほど後ず去った
 ……そりゃそうだろう。明らかに野菜炒めには見えないのだからな。この「紫色の物体」は。
「……美味しいよ?」
 物凄く邪悪な笑みで、夕菜を見据える。
「ふ、ふえぇぇ〜〜〜〜?」
 夕菜は、目から漫画でありそうな滝の涙を流している。
 そして僕は皿と箸を持ち、夕菜にじりっじりと近寄る。徐々に徐々に夕菜に近寄っていき、夕菜もそれに連れて後ずさる、が、流石にもう後が無い。夕菜の頭が壁にぶつかった。
「はぅっ」
 そして距離を詰めていき、ぴったりくっつく程度に近寄った。
「……食べてくれるよね……?」
「い、嫌ですっ!」
 そりゃそうだろう。
「……そうだなぁ、何も上の口で食べろとも言わないよ?」
「ふぇ、それは一体どう言う……?」
「そう、例えばこっちのお口で食べるとかね……? 君にそういう趣味があれば……の話だけど」
 夕菜のG短パンの股間部を指で責める。
「んんん! も、もっといやですぅ」
 声を必死でこらえているようだ。
 どうも自分はこう言う泣き顔を見ると、快感を覚えるのでいかん。
「ご主人命令。食べなさい、夕菜」
「〜〜〜〜〜〜〜!」
 ……そんなに食べたくないか。いくら自分がまいた種とはいえ、少し悲しくなってくるな。仕方ない(僕はそこまでひどい人間ではないので)……種明かしするか。
「……おいしいよ、ほら」
「え゛、ご主人様、ちょっとっ!?」
 パク……
うむ、美味しい。
「ほら、夕菜にも食べさせてあげるね」
 大体の人は「あ〜ん」を思い浮かべるだろうが……まぁ、僕の性格からすると、こんなことはしないね……
「ちょ、ちょっと、ご主人様!? んんん〜!?」
 無論口移しだ。
「ん、んんん……」
 こくこく……。
「ぷはぁっ!」
「美味しかっただろ?」
 顔を真っ赤にして、こくりと頷く。
「まぁ、僕の晩飯はこれで良いや……夕菜も食べたいんだったら一緒にって……夕菜?」
夢見がちにとろぉんとした表情……って事は……。
―――出来上がっちまいましたか?
 今後下手に夕菜とキスをするのを止めよう。
 夕菜の"おねだり"が始まる前に、早めに済ませておこう。アレは食事中にやられると食い気がうせる……。
 夕菜をひょいっと持ち上げる。彼女の体は羽のように軽い。
「きゃっ」
 いきなり持ち上げられたからか、驚いた声を漏らす夕菜。
「ほら……どうせまたして欲しいんだろ? あっちで続き、してあげるから」
「……はい」
そしてそのままダイニングへ。


 ぴっちりとしたG短パンを取り去り、今はキャミソールと下に白いショーツだけの姿になった夕菜が、テーブルの上に、まるで料理のように仰向けになっている。
「何処から食べて欲しいかな?」
「……ご主人様の……お好きなところを」
「じゃぁ、この柔らかい所がいいな」
 揉む、というより、撫でる、やさする、といった表現に近い行動で、夕菜の胸を責める。
「んんっ、はぁ」
 きゅっと目を閉じて、快感に身を任せているようだ。キャミソール越しに反勃起した乳首に舌を這わせる。
「きゃっ、……っ、ぁん……」
 キャミソールが透けて、乳首が丸見えになった。透け越しにも解るほど、夕菜のそれは堅くしこっていた。手を下に這わせる。くちゅりと股間部に触れたのか、ぬれた音が響く。少しだけ指をめり込ませ、軽くぐりぐりとバイブレーションを加えるだけで、夕菜は断続的に甘い声を出した。
 もう下着としての機能を果さなくなったぐっしょりと重みさえも感じる下着をするりと取り去り、足を抱え、無理やり大開脚させる。すると、てかてかと、艶かしく濡れそぼった、彼女の秘所があった。たまらず僕はむしゃぶりつく。ずっずとわざと聞えるように愛液をすすったり、ぺろぺろと舐め上げる。
「んはぁっ! だめぇ、ご主人様ぁっ! あっ、だめぇ、入れちゃ……あっあぁぁぁ!」
 秘唇に舌を挿入し、うねうねと艶かしく蠢く蜜壷をかき回し、親指で陰核を責め立てる。
「いや、にゃっ、ふぅん、ああぅ!……だめっ、イっちゃいますよぉ、にゃっ、にゃぁぁぁぁぁあ!」
 流石に耐え切れなくなったのか、夕菜は今日何度目かのエクスタシーに達した。
「ほら、夕菜、うつ伏せになって、お尻をこっちに向けるんだ」
 テーブルに寄りかかり、床に膝をつけ、可愛いお尻を僕に向け、次の行為を待っている。
「……いくよ」
「んっ」
 ずぶずぶと僕のものが夕菜の小さい膣に埋没していく。
「あ……はぁぁぁぁん!」
 が、やはり流石に僕のもの全てを埋没させるほど余裕が無いのか、完全に埋没する、後数センチほどと言う所で僕のものは進行を阻まれた。
「んっ……こつこつあたってますぅ」
「どんな感じだい?」
 徐々にピストンをしながら彼女に問う。
「あっ、頭に響いてっ……っ、きもち、いいですぅ……」
 余りの快感に言葉が途切れ途切れだ。抜けるか抜けないかと思うほど、引き抜き、そして又押し込むと言う、かなり激しいピストンを繰り返している。
「んんっ、んっあっ、あんっ、はっあっ、にゃぁぁぁぁ!」
 膝を抱え、夕菜を横向きにして、尚貫く。結合部が丸見えで、ひどく妖しい。
「やっ、だめ、こんなの……ぅぁ、ひゃぅ、くふぅん!」
「くっ、もう駄目だ……夕菜、出すよっ……!」
「あ、私も、にゃっ、ひゃん、イっちゃうよぉっ! ご主人様ぁ、ご主人様ぁぁぁっ!」
 きゅっきゅっと、猛烈に締め付けてくる夕菜の膣。僕もそれに耐え切れなくなってくる。
「ほら、出すよ、夕菜っ!」
「あっ、私も、あっ、あぁぁ、はっ、ご主人、様ぁぁぁぁッ……!」
 そして僕は彼女の膣内に思いっきり怒号を打ち込む。
「あっ、ご主人様の、まだ……出てる、あっ、びゅくびゅくって、んっんんん。はぁっ、暖かぁい」
 恍惚の笑みで、夕菜は僕を見つめ返す。引き抜いた後も、ずっと余韻に浸るような表情で、彼女はテーブルに寄りかかったままだった。


 ふと疑問に思うのだ。夕菜と僕の関係……なぜか、彼女の存在が、僕にとって一体何なのかわからずにいるのだ。この微妙な関係がいつまでも続くとは思えない……だが。
「すぅ……すぅ……」
 僕の料理を食べて、今日のことで色々と疲れたのだろう、2度目の眠りをソファに座る僕の膝を枕にして取る彼女の寝顔を見ていると、そんなくだらない疑問は、どこかに消えてしまう。
 僕は惨めな人間だ。しかし、こんな惨めな人間に、これほどまでに安心を与えてくれる彼女に、少女に、性的行為をしてしまったり、こき使ったり。例え、僕が命令したとしても、それを彼女が望んでいるとは限らない。それでも僕に笑顔を向けてくれる夕菜は、本当に強い女の子なのだろう。そんな僕は弱い人間だから、そう思うのだ。ちっぽけな人間だから、そう思うのだ。自分を責めれば責めるほど、惨めに自分が浸っていく……。
「すぅ……んんっ……ご主人、様ぁ……」
 どんな夢を見ているのだろう、彼女は笑顔で僕の名前を寝言でささやく。
 ――ただ、僕は確かに彼女に望まれている存在、って言うことだけか。
 今理解し言えることは、これだけだ。だが、僕の存在意義は、これだけで充分だろう。僕が存在することによって、彼女は助かっている、というと自意識過剰になるのかな。
「……なんでだろうね、夕菜」
 そう、解らない。何で僕はこんな事を思うのか。考えただけでもくだらない事なのに。彼女との関係は、メイドとご主人様。そうに決まっている。恐らく彼女もそう重んじていることだろう……。
「だけど……なんでだろうね、もやもやするよ」
 そう。何故か彼女にそう思われていると思い込むことによって、心が曇る。
 そうか、単純な答えなんだ。
 僕は彼女に恋をしてしまっている、恐らくずっと前から。だからそう彼女が思い込んでいると思い込むことによって、心が虚しくなってしまうのだ。
 ――だが、な
 僕は、彼女に……何もしてやることは出来ない。例え、告白するような事になったとしても、彼女は僕の「命令」だと思いこれには逆らえず、嫌な思いをしてしまうかもしれない。
 つまり、フられるのが怖いと言うことだな。
 ――とことん惨めだな、僕って
 自分で自分を鼻で笑う。ばかばかしい。


そして、僕は其の疑問さえも鼻で笑って、夕菜を膝枕しながら眠りに落ちた。