「『隠す』 〜その3・オトコノコを隠す」  いまーむ


「ぐ……う、ううっ、は、離せよッ!」
「おうおう操人(みさと)よォ、毎度毎度こんな具合に吊り上げられて、ようも飽きもせんよなぁ……ああ?」

 昼休み。給食が終わって、掃除の時間までの自由な時間。ここ5年2組の教室では、ちょっと奇妙な光景が繰り広げられています。
「ククッ、ほぉら、男の子やったらもうちっと威勢良く突っかかって来んかい!」
 身長160cmはありますでしょうか。長身に相応の主張をする形のいい胸といい、シルエットだけ見れば間違いなく大人、でも実際は正真正銘の小5の女の子、猪川なつき。悪鬼じみたいやらしい笑みを浮かべ、張りのある関西弁で怒鳴りたてるその様子に、まわりの生徒達は皆たじろぎ沈黙してしまいます。
「……こ……の……ぐふっ……ぐ、ううううっ」
 そのなつきの腕に胸倉を掴まれ、軽々と1m以上持ち上げられている男の子。気管をまるごと圧迫されて声もまっとうに出せません。秋口操人、とある有名政治家の一人息子です。次期総裁の座も狙っているという彼の父親の権力は、この学校さえも縮み上がらせていると言うウワサ、しかしそんなこともなつきには関係ナシで、
「ほらほら操人ぉ、さっきアタシに言った言葉、もう一遍言ってみィや?」
 まるでコケにしたような扱い、操人の小さな体をバッグのように乱暴に揺さぶります。
「ぐぇ……こ、このぉ、ゴリラぁ……怪力ゴリラ女ぁ……あぐっ」
「ほーう、よう言うなぁ操人、今にも泣きそうな面してなぁ……んん? もしかして、もう泣いてたりする?」
「こ、この……、うるさいっ、離せっ、離せぇっ!」
 目尻にかすかに涙を浮かべて、操人は必死に脚を振ります。なつきを蹴るつもりでしょうか、しかしなつきの腕の長さに脚は届かず、その体躯は微動だにしません。
「アハハハッ、無駄や無駄や、もがいたって苦しうなるだけやで、よぉ分かっとるやろ? それとも、それがアンタの男のプライドってヤツか?」
「う、うるさいんだよッ! 離せぇっ……ぐ、ぐううっ……」
「ハハッ、操人よぉ、苦しそうやなぁ、真っ青な顔してなぁ……これだからアンタをいじめるの止められないんや。アハハハハッ……っと、そろそろクライマックスいくで。ホラ、野次馬男子ども、よぅ見とき!」
 見世物宜しくなつきを取り巻いていた生徒達も、その声にすこし顔をしかめます。眼を手で覆う男の子もいます。操人も同様、今までのケンカ腰の表情から一変、恐怖の表情に変わっています。
「……せぇーのっ、必殺! キンタマ落とし!」
 ぱっ、と操人を支えていた手を離すなつき。同時に、その長い脚で膝蹴りを繰り出します。膝は、自由落下する操人の脚と脚の間に入り……
「……ぐあっ…………!」
 ごす、という鈍い音とともに、股を裂かんばかりの勢いで膝が操人の急所に入りました。操人と同時に悲鳴を上げる取り巻きもいます。当の本人は、高く上げられたなつきの太腿の上でしばらく唖然としていると、やがて音もなく崩れ落ち、
「……ぁ…………ぐ……ぅ」
 見開いた眼から涙を垂れ流し、声の出ない口をぱくつかせて悶絶しています。股間を押さえた情けない姿で這いつくばる操人を見下ろし、なつきは頬を吊り上げて満面の笑みで、
「……フフッ、いいザマやな操人ぉ。アタシ、あんたのそのイッちまった顔が大好きなんや。またやらせてくれよな」
「……ぅぁ……く、くぅっ……っ!」
「ほなな、操人。分かっとるやろが、先公や親に言ったりせんでな、そんときゃ覚悟しとき!」
 ひょいっ、と操人をまたぎ、教室の入り口に向かいます。
 数名の男子、女子に見下ろされて、リノリウムの上で苦悶している操人。去り行くなつきの方に向き直り、歯を食いしばるその表情の中に必死に男のプライドとやらをキープして、
「……く……な、なつきぃっ!」
「ん、なんや?」
 振り向くなつきに、涙に崩れた操人の最後の抵抗が突き刺さります。その威嚇するような彼の視線に、しかし、なつきはククッと再び余裕の笑みを浮かべ、
「……操人ぉ、その顔も、アタシ好きやで。何遍でもキンタマ潰してやるから、何遍でも突っかかってきぃ?」

 なつきは、その男勝りの性格、素行から、女子・男子はもちろん先生たちからも一目置かれている存在です。3年前に転校してきてから全然治る気配を見せない関西弁、小柄な男子なら片手で持ち上げてしまう怪力、血気盛んで敵を作り易い性格など、一部ではヤクザ系の家柄なんじゃないかと囁かれてもいますが、その真相は未だ不明です。もちろん、そんな近寄りがたい風体の彼女には友達などいるはずもありません。

 ただ一人、葉名美ちゃんを除いて。

「……なっちゃんさぁ、もしかして操人のこと、好き?」
 女子トイレ。隣の個室で用をたしているなつきに、葉名美ちゃんはストレートに尋ねます。
「ん? フフッ、どうなんやろなぁ」
 なつきもさして動揺する様子もなく、適当にお茶を濁します。
「どうなんやろなぁ、じゃなくてさ」
「……ったく、葉名美もしょーもないこと聞くよなぁ。ま、アイツをいじめるのは好きやけどな」
「……ふーん。ま、ケンカをするほど仲がいいって言うしぃ」
 葉名美ちゃん、ずばずばと切り出していきます。大阪から転校してきた当初、その異様な雰囲気で仲間はずれになってしまっていたなつきに意を決して声を掛けてみてから、葉名美ちゃんとなつきは大の仲良し。なつきと対等に話せるのは葉名美ちゃんぐらいです。友達を一人持っていい気になってしまってから、なつきはどんどん周りから浮いていってしまったのですが。
「……んー? どうなのよ、なっちゃん?」
「ったく、しつこいなぁ。さーねぇ、アタシにもよぅ分からんのや」
 なつきの半ばあきれたような声がします。
「ほんまは、あいつの事は好きなんかも知れんなぁ、アタシ。まぁ少なくとも嫌いじゃねぇし、それでも別にええわ」
「……くすすー、やっぱり好きだったんだぁ」
「他に言ったらあかんで。殺すよ」
「言わないよー。……でもねぇ……フフッ、なっちゃん、ほんとにアイツのこと好きなんだぁ」
「別に、本気で好いとる訳やないで。嫌いじゃねぇから、そういうことにしといたるってだけだ」
 ざばーっ、と隣から流水音が聞こえます。
「せやけど……アイツをほんまに好いたっても、どだい無茶な話やが……」
「……え? なっちゃん、何て言ったの?」
「んー、何にもあらへん」
 次に聞こえた声はすでに個室の外。話に夢中だった葉名美ちゃんはあわてて用をたし始めます。
「……ま、いずれ分かるわ」

 放課後。帰りの会を終えた後、先生の注意に反して教室で駄弁りあっていた葉名美ちゃんとなつきも、5時のチャイムにようやく帰り支度を始めました。
「……ん、おおっ? 操人がいるで」
 昇降口を出ると、花壇に一人、ホースで水を撒いている操人の姿が目に入りました。ニヤリ、となつきの口が吊り上ります。
「ね、ねえ、なっちゃん……、早く帰ろ……」
「おーい操人ぉー、一人で水撒き、精でるなぁー」
 制する葉名美ちゃんをよそに、なつきはずかずかと花壇に踏み入り、操人に近づいて行きます。操人はなつきに気がつくと、すこししかめっ面をしつつも、黙々と水撒きを続けます。
「ククッ、美化委員はお前一人なんか? みんなサボっちまって、アンタだけ真面目にお仕事、いやぁ見習いてぇなー」
 身長差20cmの高さから見下ろして、なつきはいつものように操人をバカにした台詞を吐きます。しかし、操人は仕事に熱中しているかのように、まったく表情を変えません。
「んー、操人くん、シカトかな? ハハッ、少しは勉強しとるゆーこったなぁ」
 ぽん、と肩を叩かれても、まったく動じずになつきの傍らを通り過ぎていく操人。
「まぁ、あんだけアタシに痛ぇ目食わされりゃぁなー、臆病にもなるわなー」
「……うるさい。仕事の邪魔だ」
「んんっ? 操人くぅーん、滅多な事言わんほうがいいでー。またキンタマ潰しちゃうよぉー? グチャッ、てな。キャハハッ」
「……頼むから、帰ってくれよ」
「ね、ねぇ、なっちゃん、もう止めようよ……」
 花壇に入り、手を引いて必死になつきを制する葉名美ちゃん。なつきは、彼女に聞こえないように操人の耳に顔を寄せ、
「……それともぉ、もうキンタマ自体なくなってたりしてなー」
「!!!」
 びく、と操人の顔が一瞬ひきつります。そして、次の瞬間には、
「か、帰れよッ、なつき!」
 ばしゃしゃしゃーーっ!
 手に持っていたホースをなつきに向け、水量を全開にしてきたのです。
「わ、きゃあっ!.?」
「っぷ……、み、操人っ……っあ……」
「帰れっ、帰ってよ、帰ってよぉ!」
 突然の反撃になつきも、側にいた葉名美ちゃんも直撃を受けてしまいます。一瞬にして二人はずぶぬれです。しかし、キレてしまった操人は容赦しません。
「このっ、くそなつきぃーッ! 帰れッ、帰れッ!」
「……ぅわっぷ……こ、この……な、ナメんな……ナメんなよっ!」
 ばしいっ!
 水流にひるみつつ、なつきの放った強烈なビンタが、操人の手を直撃します。
「……ひっ!?」
 操人の手を離れたホースのノズルは、土の上を転がっていくとともにその水圧を失って行きます。
「……この……操人め、よーもやってくれたなァ! ずぶ濡れやないけ!」
 がつっ、となつきの腕が容赦なく操人の襟を掴んだかと思うと、次の瞬間には操人は宙に浮いていました。
「……ぅぐ……」
 小刻みに震えるなつきの細い腕。
「ったく。おい操人よぉ、所詮てめぇはアタシにゃ勝てないんや。結局はこーなる運命なんや。分かっとるやろ?」
「……くっ」
 ぽたぽたと、長髪から水が滴っているなつきの顔を、操人はなおも睨み付けています。
「……そうかぁ、そうやろなぁ、分かりとぅないよなぁー。『女より弱い』なんちゅー事実はなぁ」
「…………」
「でもなぁ。アタシ、分かっとるねんで。アンタの事」
 なつきの腕の先で吊られている操人、その鋭い視線を保ちながらも、その口はぎゅっと食いしばられています。葉名美ちゃんは何のことか分からず、ただ見上げているのみ。
「このまま、いつもみたいにキンタマ潰しでもえーけどなー……でも、今回はあろーことか葉名美まで巻き込んどるもんなー。許しがたいなー、今度と言う今度は」
「え、あ、あたしは別に構わな……」
「葉名美は黙っとき!」
 恐ろしい剣幕で怒鳴りつけるなつき。いつもの卑下た表情では無い、ただならぬ雰囲気に葉名美ちゃんはおもわず凄んでしまいます。
「……ククッ、操人ぉー。今からおまえを、えー所に連れてったるからなー。覚悟しときや」
「…………」
 なつきは無言の操人を背中に担ぎ直すと、
「ついてき、葉名美!」
 そう言って、どこかへ駆け出しました。葉名美ちゃんもあわてて、その後を追います。

「ここに座りや」
 体育館の裏。うっそうと茂る林に面して、昼でも暗く涼しい場所です。じめっとしたコンクリート製の縁側に操人を放り投げると、彼は諦めたのか、もう突っかかろうとも逃げようともしません。その目には涙が一粒。
「……なっちゃん、何する気……?」
「ククッ、さーて、何する気やろねぇ?」
 うつむく操人の顔を覗きこみ、ニマニマといやらしい笑みを浮かべるなつき。
 葉名美ちゃんは知っています。なつきは以前にも、気に食わないヤツは女子でも男子でも、この体育館裏に呼び出していたのです。なつきの陰口を叩いていたヤツらも、ここに呼び出された翌日にはすっかり押し黙ってしまったり、あるいは一転なつきを誉めるような言動に変わっていたりします。葉名美ちゃんはなつきがそのとき何をしたのか追求しませんでしたが、何かしらよからぬ事をしていたのでしょう。
「葉名美、すまんが、そっちの方に立っといてや。誰か来るかも知れんでな、注意しとって」
「あ、う、うん」
 もはや逆らっても無意味、葉名美ちゃんもなつきに素直に従い、少し離れたところに移動します。
「……さぁーて、操人ぉ?」
「……なんだよ」
「あたしたちの事、よーもずぶ濡れにしてくれたなぁ。許せんよなぁ。罰として、ここにいる間はアンタ、あたしたちの言うこと全部聞きな。どんな命令もな」
「……なんで、だよ……」
「じゃかしいわ! アタシがそーしたいからそーするだけや! えーか、もし逃げようとしたり、従わんかったりしたら……、明日から、学校には行けのーなる思うとき!」
「く……っ」
 怒鳴りたてるなつき。本来穏やかな性格の操人には言い返す言葉がありません。
「さーて、まず一つ目の命令はな……」
「……なつき……頼むから、金とかはナシにして……」
「わーっとるわ、んなもんいらへん! そんなもんよりもな……よぉし、まずは操人、服脱げや」
「……え?」
「……へ?」
 操人と葉名美ちゃん、唖然としてしまいます。幾分か予想していたことでもありますが……。
「ちょ、ちょっと、なっちゃーん……、本気なの……?」
「……う、な、なつき……それだけは、勘弁……」
「うるさいッ! 脱げ言うたらつべこべ言わず脱ぐんや、命令やで! 裸になり言うとるんやアタシは! 上半身はええ、下だけ脱げば許したる、そのかわり下はすっぽんぽんになりや! わかったか!?」
「……そ、そんな……」
「ほれ、あたしたちしか見とらんから、早よ脱ぎ! おのれで脱げへん言うんなら、アタシが脱がしたってもええで。そんときゃズボンがズタズタになっても知らへんがな……ククッ」
「……う、わ、わかったよ……」
 鼻先が触れ合う位まで詰め寄り叱責するなつき。命令に従わなければ何をされるか分かったものではありません。操人には、なつきに従う以外にありませんでした。泣く泣く、自分のズボンに手を掛ける操人。
「……う、うう……ぐずっ……」
「クククッ、操人のストリップショーや、可愛ええなぁ。葉名美もよぉ見とき、えーもん拝めるで」
「……え?」

「……な、なによコレ……、どういうこと……?」
 ズボンを下ろし、ブリーフまで取り去ってしまった操人の下半身。股間を隠そうと涙目になる彼の腕をなつきは制しています。その恥ずかしい部分に、葉名美ちゃんの視線は釘付けになってしまいます。
「う……うっ、うう……」
「見たか? これが、ホンマの操人や」
「……な、なんで……、おちんちん、ないの……?」
 葉名美ちゃん、驚愕の表情を浮かべます。
 彼女の言うとおり、驚くべき事に、操人の股間には本来男の子についているはずの男性器が見当たらないのです! それだけではありません。そこには、すっと一本切れ目を入れたような筋が入っているのです。葉名美ちゃんと同様のその部分は、操人がまさしく女性であることを示しているのです。
「……ま、まさか、操人……お、女の子なの……?」
「ククッ、そや。操人は女の子なんや。でもアタシにキンタマ潰されたからやないで。コイツ、元からなんや」
「う、うそ……、信じられない……」
「……ぐすっ、な、なつき……やっぱり、気づいてたのか……」
「当たり前やろが! いったいアタシが何遍、アンタのキンタマ潰してきた思うとるんや? とうの昔に気づいとったわアホ!」
 カクカクと操人の脚が震えています。葉名美ちゃんも目の前の信じられない光景に固まってしまっています。そんな操人の目の前で、なつきはケタケタと笑い、
「せやけど、アンタの男の演技がなかなか筋入ってたもんでな。何か裏ぁある思うて、今まで誰にも言わんといてやったんや。でなきゃ、こんなお笑い種、とっくにカミングアウトしとるがな、ハハッ」
「……う、ううっ、なつき……」
「でも、アタシはなんでアンタが男なのか分からへんのや。そのへん説明しぃ」

 いままで自分の本性を黙っていてくれていたなつきへのわずかな感謝からでしょうか。涙ながらに、操人は語り始めます。
 彼(彼女?)の話によれば、操人の母親は、操人を産んですぐ重い病気にかかってしまい、二度と子供を産めない体になってしまったそうです。どうしても自分の跡継ぎとして男児が欲しかった父親、しかし政界で人気絶好調のさなかに、熱愛ののちに結婚した母親、これ以上子供が産めないからといってすぐ離婚する事もままならない。そんななかで彼の出した答えが、操人を男として育てると言うことでした。彼の力なら、戸籍・住民票、あらゆる書類を書き換えることなどたやすいことでした。操人は社会的にれっきとした「男性」となり、男性として今に至るのです。

「うう……なつき……、このこと、誰にも言わないでくれよ……。黙っているように言われてるんだ、もしばれたら、僕、勘当される……」
「わーっとるがな。アタシだって、本気でアンタんとこ敵に回しとうねーからな」
 そういって笑うなつき。自分の隠していた本来の姿がばれてしまった事に恐怖を覚えていた操人も、その雰囲気に多少は緊張がほぐれたようです。しかし、
「……ね、ねえなつき……もういいだろ? 見せるもん見せたし、もう帰っても……」
「はぁ? なに寝言言うてんのや操人、まだ命令は残っとるで」
「えええっ、そ、そんな……」
 パンツを履きかけていた操人は、ふたたびたじろぎます。
「ククッ、甘いなぁ操人は。アンタは結局、アタシの遊び道具なんやで。アタシが飽きるまで、帰さへんよ」
「……あう……そ、そんなぁ……」
「フッ、操人のその泣き顔、好きやで。…でもなぁ、まだその顔は『男』ん顔やなぁ、イマイチ色がねーなぁ」
 淫靡な笑みを浮かべて操人を覗き込むなつき。
「……アタシ、アンタが『女』になったトコ、見てみてーなぁ」
「……ど、どういうこと、だよ」
「クククッ……まぁ、とりあえず座り」
 操人の丸い肩を押さえつけ、強引にコンクリートに座らせます。お尻に直に伝わる冷たさに操人は顔をこわばらせます。
「……何、する気だよ」
「イイコト、とでも言うとこーか。ええか操人、今からアタシが何しよーと、身体ぁ動かしたらアカンで。少しでも動いてみい、アタシはとたんにブチ切れるから、そのつもりでな」
 そういうと、なつきは操人の隣に座り、左腕で彼女の背中を支え、右手をはだけられた股間に差し入れます。操人の顔から血の気がさぁーーっ、と引いて行きます。
「な、なっちゃん、まさか……」
「……や、やめ……」

「フフッ、可愛ぃーく鳴きなや、み・さ・ちゃん」
 くにゅっ。

「うぐぁ……っ!!」
 小指が直角に曲がり、操人の割れ目に突きささります。操人は突然の電撃に、たまらず身体を反らし、声を上げてしまいます。
「ひ……や、やめろ……、そんなトコ、触るな……」
「どや、ヘンな感じやろ。アンタまだ処女やろーから小指で勘弁しといたる。せやから、おもいっきり鳴いて見ろや。女っぽく、艶つけてな、ククッ」
 くに、くに、くにくに。
「あ……あぎっ……は、はう、あぐぅ……っ!」
 細い小指が容赦なく、未だ誰も触れた事の無い未開の秘穴をほじくり回します。まずは入り口を広げるように指をくるくるとさせて、ときおりツンツンと奥の粘膜を突付きます。連続的に襲い来るはじめての感覚は、操人から言葉を奪い、その口はパクパクと空気をむさぼるのみ。そのおぞましさから反射的に身体をよじりたくなりますが、「動いたらキレるで」という彼女の言葉に、それもままなりません。
 くにゅくにゅくにゅ、ちゅ、ちゅ。
「はが……あ、あ……や、やめろぉ……」
「んー、なんや、イマイチ色っぽないなー。まだ『男』でいるやろアンタ。あきらめて、とっとと『女』に戻りぃや?」
 くちゅ、くちゅ、ちゅ、ちゅ、にちゅっ。
 こういうことに慣れているのか、なつきの愛撫は非常に的確でした。はじめての操人も、割れ目にはすでに湿り気を帯び始めてきました。
「は、はふ……っ、く、あ、ああぁ……」
「……ま、しゃーないかな、今までずぅーっと『男』やったもんな。いきなり『女』に戻りぃ言うても無茶な話かもな」
「う、くぅ、ぐふっ……もう、か、勘弁……うぁ……」
「……でもな、操人。よう覚えとき!」
 ぐにゅっ。
 処女膜を破らないように、器用に小指を体内に沈めて行きます。充分に露を湛えたそこは、あまり抵抗もなく異物を飲み込んで行きます。
「か……はあああっ!? あ、あああああ……」
 自らを内部から蝕む、蛇のようなその感覚に、操人は白目を剥きかけます。なつきはそんな操人の顔を掴み、無理矢理自分の方を向かせ、
「操人っ、アタシの眼を見ぃ! えーか、アンタがどないな風に育てられてこよーとなぁ、アンタは『女』なんや! コレだけはホンマの話や、誰にもどーこーでけへん! アタシムカつくんや、アンタがそーやってずーっと『男』してんの見んのはよ! そないなけったいな『オトコノコ』なんざどっかに隠しちまって、『オンナノコ』に戻れへんなら演技でもええ、アンタの真の姿アタシに見しぃや!」
 ぐりゅ、ぐりゅ、ぐじゅじゅっ。
「ひ、ぎ、ぎいいっ、痛い、痛いよ……」
「『ぎいいっ』やない! もっと色っぽく鳴きや! あーんあーん言うて悶えや! あんた『女』やろが! ……どーせアタシゃ変態だよ、女の鳴き声聞いてコーフンする変態や! 変態でええ、上等や。この変態、喜ばせてみぃ!」
 半ばキレ気味のなつき。下腹部で蠢かせる手の動きも苛立ちを覚えていきます。
 ぐじゅ、ぐじゅ、ぐじゅっ、ぐじゅっ……。
「あ、ああああっ、ぐ……うあぁっ!」

 ……ちゅぽん。
 ふと、なつきは操人を弄んでいた指を抜いてしまいます。粘性の糸を一本残して、操人の痙攣も止んでしまいます。後には操人の荒い呼吸の音だけが響きます。
「う……はあ、はあ、うう……」
 なつきは小指にべったりとついた操人の液をペロッとひと舐めすると、
「…………あー、もうラチあかへん、こないなまでに頑固やったとは思わんかったわ。しゃーないな、アタシもうキレたで。本気で操人、『女』にしたるわ。おい、葉名美」
 いままでハブにされてた葉名美ちゃん、目の前で繰り広げられているありえない凌辱劇に呆然としていましたが、突然名前を呼ばれて、
「……え、は、はひ? な、なっちゃん、なに?」
「見張りはもうええ、あんたもこっち来ぃ。コイツの隣に座りや」
「え、な、なんで? なんでアタシが……」
「はよ来んかい! アタシゃイライラしとんのや、言うこと聞かんなら葉名美だろうが容赦せんで!」
 鬼のような剣幕のなつきに、
「は、はひぃ!」
 おもわず声を裏返してしまいます。

「ほら、隣で葉名美も鳴かしたるから、真似して鳴いてみぃ、操人!」
 操人と葉名美ちゃんを並ばせると、なつきはニヤニヤ笑いながら二人の正面にしゃがみ込み、左手を操人の股座に、右手を葉名美ちゃんのスカートのなかに突っ込みます。
「え、や、やだ……なっちゃん、やめ……」
「んー、考えてみりゃ葉名美を相手にするのは初めてやな。ちとドキドキするわあ、ククッ」
 もぞもぞとスカートの中で手を動かし、パンティーの奥に指を滑り込ませます。すでに湿り気を帯びている葉名美ちゃんの秘肉が、やんわりとなつきを包みます。
「んあ……っ」
「あぐぅ……」
 同時に操人の穴にも小指を差し込みます。操人も興奮しているようで、透明な液がコンクリートに滴って染みをつくっています。
「んふ、葉名美は可愛えぇ鳴き方するな、知らんかったわ。たしか、もう処女はのーなった言うとったよな。せやから、葉名美は中指や」
「はぁ……んっ、や、やだぁ……、中指……きっ、きついよぉ……ああんっ」
 ぐり、ぐり、ぐりぐり。
「はひっ……あん、あうっ、あううううっ、な、なっちゃぁぁぁん……っ!」
「く……あああっ、あぐ、あぐぅ……」
 微妙に締め付けの違う二つの肉穴の中で、同じように指を動かし、くねらせ、震わせて責めたてるなつき。指を曲げると、二人は同時に跳ねます。指を深く抉らせると、二人は同時に身体を捻らせます。しかし、その喘ぎ声は異なるものでした。
「おい、操人! てめえ、いい加減『女』になりぃや! 葉名美の真似すりゃいいんや、簡単やろが! 葉名美はこないに色っぽく鳴きよるで、うっとりしてまうわ……アンタはどや、全然色っぽない! ちっとは葉名美を見習えや!」
 ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅぐちゅぐちゅっ!
「くぅ……うぅぅぅーーっ、くあああぁぁ……」
「はああああんっ、あんっ、あん、あん……だ、ダメェ、なっちゃん……巧すぎるよぉ……」
 子宮まで達する中指で深くえぐられ続けた葉名美ちゃん、もうすでに出来上がってしまって、感極まった表情に涙を湛えています。
「ん、ふふっ、誉めてくれておおきにな。葉名美、もしかしてもうイキそうなんか?」
「う、うん、イク、もうイッちゃいそうだよ……はひゃっ!?」
「そーかそーか、可愛えぇで葉名美……。おい操人! おまえも早よイキさらせ! 一度イッちまえば楽になるがな!」
「はが……が、ああっ、ああああああっ!?」
 葉名美ちゃんに続いて操人にも絶頂が近いことに気づいたのか、なつきは指の抽送をさらに深く、速くしていきます。
 ぐちゅ、ぐちゅ、ちゅ、ちゅ、ちゅちゅちゅちゅちゅちゅちゅ……。
「は、はひっ、はひあぁぁぁああああああああぁぁぁあぁ……っ!」
「くぁっ、あっ、あうああぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁあぁ……!」

「ほぉれ、イッたれや」
 ぐりっ!
 指の先を器用に曲げて、今までおざなりだった性感帯・Gスポットを引っかいてやります。途端、何かが、二人の奥底で音を立てて破裂しました。
「はひゃああっ!! あっ、な、なっちゃあぁぁぁぁーーーーーーーーーんっ!」
「くひっ、あ、あああ、イク、いっ……あああああああーーーーーーーーーーーーーっ!」

 びくびくっ!
 なつきの手ほどきで、二人は同時に果ててしまいました。操人の方の指が、きゅ、きゅ、と切ない力で締め付けられます。葉名美ちゃんの方の手はもっとすごく、大量に吐かれた潮でべちゃべちゃになってしまっています。
「んああぁ…………っ、あっ、うあぁ……な、なっちゃあん……」
「あ……っ、ん、あん……、あん……」
「……んふふ、ふたりともええイキっぷりや。惚れてまうで……」
 余韻にひくつく肉の中で軽く指を動かしてやりながら、なつきは色っぽく語りかけます。
「とくに、操人……アンタのイキ顔、ごっつ艶っぽいで……」
「んふ……っ、あっ、あん………」

 ピンク色に染まってしまった操人の脳みそ。不覚にもなつきに絶頂を体験させられてしまった彼女は、しかし、その激しい波に似た快感に前後不覚になり、また、自身のうちに潜む「女」に気づき始めていました。いまなら、「女」になれるかも……。「女」に戻れるかも……。

「ククッ、ほぉらみさちゃん、その呆けた頭で言うてみ。アンタ、何者や」
 心地よいくすぐったさを与える膣内の指が、火照った下腹部を優しく混ぜてくれます。蕩けそうな、いや、すでに蕩けてしまったような操人の表情、涎に濡れた唇が動いて、
「……僕……わ、わたしは……ぁ、あ、秋口、みさと……です……」
 『わたし』と自称した瞬間、まるで自分が違う人になってしまったような感覚が操人を戸惑わせます。
「アンタは、男か? 女か?」
「わたしはぁ………お、女です……女の子です」
「そーかそーか、やっぱりなぁ、みさちゃんは女の子だよなぁ」
「……う、うううっ」
 頬を涙が伝います。しかし、その表情はどこかうっとりとして、幸せそうでした。

「ほれ、葉名美! いつまでも呆けとんなや。次いくで」
「……はぁ……あぁぁ……へ、えっ!? な、なに、次って……?」
 なつきは二人から指を抜くと、葉名美ちゃんの下着を整えさせ、
「せっかく操人が女になれたんや、今度は女としてイカせたる。加勢しぃ」
「……か、加勢って、どぉ……」
「ひとまず、後ろ廻って胸でも揉んだりや」
「え、う、うん」
 葉名美ちゃんは未だに快感でほころんでいる顔を必死に正すと、いそいそと縁側に上り、呆然としている操人の背後に廻ります。
「……う、うぅぅ……、な、なつきぃ……」
「フフッ、みさちゃあん、そろそろ次いくでぇ。もういっちょ、その可愛いらしい鳴き声聞かしてくれや」
 なつきは操人の股間に顔を近づけ、脚を開かせます。
「……なつき……、なに、するの……」
「何するやて? フフッ、こーするんや」
 戸惑いの表情を見せる操人。それをよそになつきは、彼女の無毛の股間に顔をうずめてしまいます。
 ……ちゅっ。
「え……や、やああああっ!?」
 なつきの手淫にうっすらと開きかけていた花弁を、今度は舌が襲ってきます。その、しっとりとしたマシュマロのような感触に、蕩けかけていた操人の興奮は今やグツグツと煮立ち始めてしまいました。喘ぎ声ももうすっかり女です。
「はあああぁぁぁっ、や、やああぁぁぁあぁぁぁっ! な、舐めないでぇっ!」
「ちゅる……、ん、ん……、ん、どないした、みさちゃん。舐めたっても別にええがな、アンタのココ、いい香りやで。嗅いだ事もない匂いや。とろっとろで、舌まで溶けそうやぁ……んっ、んちゅう…」
「いやあぁぁあぁんっ! や、やだぁ、あっ、あっ、あああああっ!」
 ぶちゅ、ぶちゅ、と湿った音が操人となつきの接合点から響きます。下半身を固定されているため、操人の上半身は激しくのたうち、垂れた涎がそこかしこに飛び散っています。しかし、ふと、その身体を後ろから羽交い絞めにされ、
「……んふっ、操人……みさちゃん、すごい声だね。もうすっかりオンナノコだよぉ……。興奮してるところ悪いけど……」
 葉名美ちゃんの両手が、操人のTシャツの中に潜り込み、小高い丘の上の2つの突起を探り当てます。
「ごめんね、おっぱいも……、いじらせてね……」
 ……くにっ。
「ん、んわあぁぁあああぁぁあぁあぁ!?」
 葉名美ちゃんの人差し指が、両の乳首を押し潰しました。そしてそのまま、くりくりと胸のお肉の中で弄りまわします。
「はひゃあぁぁあぁあぁ、おっ、おっ、おっぱいがぁあぁぁあぁ……! はぁぁああぁ……」
 しこりのような感触が指に心地よく響きます。やがて葉名美ちゃんは、くりくりくりくり、と恐ろしい速さで、まるで肉弁を弄るような激しさで責めたて始めます。
「うわあぁぁっ、ああっ、あんっ、ああああんんっ!!!」
「んぷ……っ、うはぁ、すっごいで、みさちゃん液の大洪水や……飲みきれへん……」
 なつきも、負けじと舌を遣います。膣穴に軽く舌をねじ込み、蠢かせてやると、きゅっきゅっ、と元気良くひだひだが締め付けてきます。そして舌を離すと、まるで潮吹きのように、透き通った液体が流れ出てくるのです。
「んく、んくっ……ぷふぅ、ええで、ええで操人ぉ、アンタもう『女』やぁ……、最高の『女』や……」
「はあああんっ、あんんっ、ああ……、はい、はいぃっ、わたし、おんなっ、おんなですぅ……あああああっ!」
「うはぁ……すごい、みさちゃん、胸がどっくんどっくん言ってるよ……」
「んっ、んっ、んんっ……、ええ、ええで、それでええ……よぉし、褒美やるわ……」
「うああぁっ、あっ、ほ、褒美ってぇ…………な……きゃひっ!? ひ、ひいいっ!?」
 操人の反応が変わりました。今まで積極的に膣を責めていたなつきの舌が、今度はその上の方にあるしこりを突き始めたのです。びゅるるっ、と熱いジュースがなつきの喉を打ちます。
「ひあああぁぁぁぁっ! あああっ、ダメ、そこぉ……あっ、ああああああああっ!!」
 クリトリスから容赦なく皮を剥ぎ取り、初めて外界を感じた蕾を歯で軽く噛み潰します。包皮の内部にまで舌をねじ込み、貫かんばかりの勢いでぐりぐりと責め立ててくるのです。
「うわっ、あっ、ああああああっ!! ヘン、そこやめてっ、ヘンになるよぉっ!」
「ヘンになりや、躊躇せんでヘンになりやぁ。変態になったら、あたしたち仲間やで」
 めりっ。
 舌を鋭くさせ、尿道に突きたてると、思いのほか深く舌が刺さりました。
「わひゃああああっ! だめっ! だめええええええええっ! おっ、おしっこがぁ……!」
 びゅ、びゅ、と液の吹く間隔が狭くなってきました。2度目の絶頂が近いようです。
「ほぉれ、おもいっきりイキさらせ。オンナの絶頂、とくと噛み締めや」
「んふふー、みさちゃん、あたしからもご褒美、あげるね」
 後ろから乳首を苛めていた葉名美ちゃん、今まで押し込んでいた乳首を今度はつまんで引っ張り上げました。同時に、その綺麗なうなじにとろーっと涎を垂らします。背骨を伝い行く感覚が脳髄を直撃し、さらに、クリトリスを前歯で噛みしだかれた激痛、脚の拘束を解かれた代わりに突然膣穴に突っ込まれた小指の感触が相乗して、操人はとうとう、びくんと全身をこわばらせ、
「ひっ、ひああああああっ、あっ、い、イク、イクぅーーーーーーーーーーっ、あっ、ああああああぁああぁぁああぁあぁああぁあぁーーーーーーーーーっ!!! あああああああああーーーーーーーーーーっ!!!」


 ……しばらくして。
「んっ……ああ……」
 1分以上も絶頂を叫び続けた操人、最後には気を失って倒れてしまいました。再び気づいたのは10分後、眼を開けると、星いっぱいの夜空、心配そうななつきと葉名美ちゃんの顔が眼に飛び込んできました。
「んふ、よーやっと気づいたか」
「すごかったよぉ、みさちゃん……わかる? お○んこ、今もぴゅっぴゅって出してるんだよ」
 けだるさで微動だに出来ない身体。しかし、下腹部には未だに疼きが残っているのが分かります。
「ったく、他人のおしっこ飲んだのは初めてやで……」
「……あ、ああ……、な、なつき…」
「ん?」
「僕……、女の子に、なれたんだね……」
 にっ、と爽やかな笑顔がなつきに浮かびます。今まで見た事もない、穏やかななつきです。
「……少しちゃう。操人は、女の子に『戻れ』たんや」
「……そうかぁ……」
 操人も、安らかな笑みを浮かべます。そして、真上に浮かぶ月を見つめて、はぁ、とため息をつきました。

「……なあ操人、よぅ聞いとき。最後の命令や」
 なつきは、愛液でぐちょぐちょになった操人の股間をハンカチでぬぐいながら、語りかけます。
「親のわがままには、付き合うてやりや。あんたは今まで『男』っちゅうことで育てられた。だから、結局あんたは『男』なんや。いままでも、これからもな」
「……うん」
「明日からも、今までどおりズボンを履いて学校に出てきぃ。自分のことは『僕』とか『俺』とか呼ぶんやで。トイレは堂々と、男子便を使うたりぃ。しょーこりもせず、昼休みにはあたしに突っかかってきてもえーで。あんたは『男』や、いまさら『女』になるこたぁない。それが、親孝行っちゅーもんや……」
「……うん、わかった……」
 ズボンを履かせ、身体を起こさせます。くらくらする頭を抱えつつも、操人はなんとか立ち上がります。
「フフ、でもな……」
 ぽん、と肩をたたくなつき。
「こうやって、時々は『女』に戻ったがええ。ずーっと『男』してると、身体に毒やで。あんたは『女』の身体をもっとるんや。『女』のココロを忘れてまっては、こんな身体をくれた神様に、悪いで」
「……うんっ」
 応える操人の声は、震えています。
「たまには、こーゆー風に『女』の言葉使うて、『女』みたいにあんあん喘いで、『女』のお○んこでイッちまえばいいんや。自分ひとりでやってもええし、あたしたちを誘うてもええ。声掛けや、いつでも付き合うたる」
「……う、うん……う、うぐっ、うええっ……」
 なつきから飛び出した心外に優しい文句に、感極まってしまったのでしょうか、操人はなつきに抱き付き、お腹に顔をうずめて泣き出してしまいます。そんな操人をなつきはふんわりと抱擁し、背中をぽんぽんと叩きながら、
「……ほな、もう遅いで、はよ帰ろうや。怒られてまうで」
「う、うん……」

「……なっちゃん、やっぱり操人のこと好きなんだぁ」
「……んふふっ、そやな。そーかもな」
「……なっちゃん、どっちが好きなの? 男の操人? それとも、女のみさちゃん?」
「……んー、どっちもやな。どっちもえーで、アタシの好みや。んふふ」


 次の日。
「ほれほれぇ! もうギブアップかぁ、操人ぉ!」
 いつものように、昼休みになると操人はなつきに吊るし上げられていました。
「う、うるせぇっ! このマッチョ女がぁ!」
 操人もまだまだ元気、両手でなつきの鋼鉄のような腕を掴み、ゆすります。
「この、このっ!」
「ハハッ、ええ具合のマッサージやぁ、気持ちえーなー」
「う、ぐ、くそぉーっ!」
 ケラケラと余裕に笑うなつき。その腕は爪を立てようが、くすぐろうが、びくともしません。操人は力尽きるそのときまで抵抗を続けます。その表情はまるで鬼のようにひきつっています

「……ええでええで、操人、そのカオや。男らしいで」

おっしまい。