「『隠す』 〜その2・証拠を隠す」  いまーむ


「……くぅ……うっ……」

 数センチだけ開いた扉。暗い廊下からこっそり覗き見る、彼の部屋の中。

「うぁ……うぁっ」

 ベッドに横たわって、もぞもぞと動く影。彼は眼をぴったりと閉じ、切ない表情で喘いでいます。右手に握り締めた肉棒も、こちらから丸見えになっています。比較的大きくてグロテスクですが、もう見慣れた代物です。

「……フフッ、お兄ちゃんったら、またおなにーしてる……」

 呆れたようなため息を軽く吐いて、葉名美ちゃんはつぶやきました。


 葉名美ちゃんの兄である幹夫は最近、毎日のように自慰にふけっています。しかも、無防備にもドアを締め切らずに。葉名美ちゃんはそんな兄の痴態を見放題、しかも少しくらいの物音では全然気づくそぶりも見せないので、大胆にもその場でオナニーしたことさえあります。
 初めて見た生の逸物に葉名美ちゃんも最初は興奮を覚えていましたが、しかし、所詮は血のつながったお兄さんのモノ。日々動物のようにオナニーをする彼に半ば呆れてしまった点もあって、いまでは幹夫を冷静に『観察』している彼女でした。

(むぅ。確か昨日は、珍しくあぐらをかいてしごいてたなぁ。座ってするのと寝てするのと、どっちが気持ちいいんだろう……ん? 立っておなにーすることはないのかな? あたしはどんなカッコでもできるけど…)

 第2次成長期に片足を突っ込もうとしているこの時期、誰しも異性との体つきの違いに関して興味を持つもの。葉名美ちゃんはその傾向が強いみたいで、『女の子にないモノ』『女の子に出来ないコト』に非常に興味があるようです。

(……もし、あたしにおちんちんがあったら……。手をこういう風に持ってって、あれを握って、こう……、しゅっしゅって……むー、おなにーやりやすそうだな、男の子の方が……)

 そして……。

 我慢汁でテカテカ光る肉棒を狂ったように扱き立てているブザマな兄を観察していて、最近、葉名美ちゃんにある2つの疑問が浮かんできたのです。

『なんでお兄ちゃんは、毎日飽きもせずにオナニーしてるんだろう?』
『せーえきって、どんな味がするんだろう?』

 ……1つ目の疑問は、早々に解決しました。

「うぅ……っ、あ、あざみちゃん……っ! あざみ……ちゃん……」
 うわごとのように、幹夫は誰かの名前を口走り始めました。同時に、右手の動きがさらに激しくなり、逸物も苦しそうにビクビク震えています。

「……お兄ちゃん、またあざみ姉ちゃんのこと想像してるんだ……」

 あざみ姉ちゃん。葉名美ちゃんのいとこです。年の頃は15、葉名美ちゃんと幹夫の間の年齢です。
 家が電車で3駅の近所同士なので、彼女はよく、葉名美ちゃんの家に遊びに来ます。しかし、数週間前に彼女が遊びに来たとき、『幹夫があざみにイタズラをした』という疑惑が浮かび上がったのです。このことは幹夫もあざみも頑なに否定していたのですが、あとで葉名美ちゃんが、誰にも話さないという約束であざみから真実を聞き出しました。

『……あのね、あたし……みっ、幹夫兄ちゃんの部屋に行ったときにね……、ちょっとふざけてベッドに入り込んだらね、幹夫兄ちゃんも布団に入り込んできてね……、その、む、胸、揉んできたの……。お兄ちゃんは「くすぐっただけだよ」って言ってたけど、あたし、ドキドキしちゃって……、で、でね、その後、いろいろ……、いろいろしたんだけど……、いっ、痛かったから、止めたの……』

 話から察するに、幹夫はあざみとセックスしようとしましたが、途中で止めてしまったようです。あざみも、興奮から乗り気になっていたようなので、『犯された』と一方的に幹夫を非難することなど出来ず、互いに庇い合う形になったようです。その事件があってから、あざみの家との仲は幾分か険悪なものとなっています。

 そして、あざみとの思い出は幹夫にとって、格好の『オカズ』となっていたのです。

 あざみの告白を聞いてから、葉名美ちゃんは幹夫のことを少しだけ嫌いになってしまいました。従姉とセックスなんて、信じられない……ってね。だからこそ、妹の目の前でブザマに自慰行為を続けるお兄さんを覗き見することは、葉名美ちゃんにとって一種の優越感になっていたのです。

 さて……。

「あっ、あざみちゃんっ! 俺、いく、もうイク……っ!」

 どびゅっ! ……どくっ、どくっ……。

「うぁっ、うあぁぁぁぁああぁ……、あ、あざみ……ちゃあん……、あざみちゃん……」

 目の前で爆ぜる、白い濁流。大量の精液が、シーツの上に広げられたティッシュに撒き散らされます。幹夫は、あざみの名を連呼しながら、イッてしまいました。

「うはぁ……、せーえきだぁ……」


 ……ちなみに、葉名美ちゃんの第2の疑問『せーえきってどんな味?』は、未だ解決してません。

 葉名美ちゃんのバイブルである一冊の『えろ本』。川原で拾う、という典型的な流通ルートで手に入れたその本には、葉名美ちゃんにとって大きな謎となるシーンがいくつも(しかも無修正で)写っていました。例えば、「激しいフェラ⇒出た精液をコップに溜める⇒ある程度溜めて一気に飲む⇒口の中で泡立ててコップに吐き出す」という一連のカット。アブノーマルにはよくあるシーンですね。これにはさすがの葉名美ちゃんも吐き気を催してしまいましたが、それでも『精液を口にする』という行為には興味を持ってしまい、一度でいいから精液を飲んでみたい、という欲望も、幹夫を観察しているうちに湧いてきてしまったのです。

(せーえき、飲んでみたいな。……たとえ、お兄ちゃんのでもね)


 幹夫は絶頂の余韻から、力の抜けきった体をベッドに深く沈めています。荒い息をする口からは今も、あざみちゃん……、とつぶやく声が漏れています。

「フフッ、せーえき、いっぱい出してるぅ……」

 めいっぱい勃起したペニスからめいっぱいの精液が吐かれる瞬間。静止画で見るのとライブで見るのでは全然違います。葉名美ちゃんは艶っぽい声でつぶやいて、その視線は濡れてしまったティッシュに釘付けでした。しぼんでいく逸物からも、未練たらしく白い液が垂れています。

「……お兄ちゃん、かっこ悪ぅーい……。くすくす」

 さて、普通ならここで葉名美ちゃんは、「あー、いいショーをみせてもらった」ってな感じで優越感とともに部屋に戻るところなのです。
 ……が、今回の彼女の行動は違っていました。

「うーん、せーえき、いいなぁ……。どんな味がするんだろう……」

 きぃぃ……。蚊の鳴くようなかすかな音を立て、扉の隙間が広がって行きます。幹夫は、眠ったようにベッドに突っ伏しています。

「……せーえき、もらっちゃえ」


 それから数十秒後。

「……む……ぅ。片付け、しなくちゃな」

 幹夫、ようやく正気に戻りました。だるい体を持ち上げ、股間のところにあるティッシュをとります。あまり放っておくと、部屋の中にあの嫌なニオイが残ってしまいます。
 しかし……。

「……あ、あれっ? ない?」

 手を伸ばしたところには、精液まみれのティッシュはありませんでした。

「おかしいな……。ベッドから落っことしたかな……ん?」
「……うぅー、クサいしぃ……ペチャ……んっ、冷めちゃって……、気持ち悪い……」
「え……はっ、葉名美ぃッ!?」

 ベッドの下から、聞きなれている妹の声。驚いて覗き込むと、そこには、精液に濡れたティッシュを持って、そのニオイにしかめっ面をしている葉名美ちゃんがいました。

「あ、お兄ちゃん。ご苦労様」
「…は、は、ははははははは葉名美ッ!? な、何でここに!?」
「フフッ。お兄ちゃん、おなにーしてたね。ずっと見てたよ」
「な、何だって!? の、覗き見してやがったのか?」

 ろれつも回らないほど動揺している幹夫。対して、幹夫の部屋に無断で潜入した葉名美ちゃんのほうは、いたって落ち着き払っています。

「こ、この……葉名美っ! なんで覗いたりした……」
「……お兄ちゃん。あざみ姉ちゃんとのコト、本当だったんだね」
 どきっ。
「う……。そ、それは……」
「『あざみちゃん、あざみちゃん』っていっぱい言いながら、おちんちんシコシコしてたよ。お兄ちゃん、あの時のこと、思い出してたんだね……」
「……ち、違うっ! 葉名美、いい加減に……」
「あざみ姉ちゃんの裸を思い出しながら、シコシコシコシコ、こんなことして……。真っ白なせーえき、こんなにいっぱい出して……。くすすー」
「は、葉名美っ! それを、そのティッシュを返すんだ!」

 べちゃっ。

「……うわ……っ!」

 恥ずかしいティッシュを取り返そうと手を伸ばす幹夫に、葉名美ちゃんは丸めたそれをおもむろに投げつけました。濡れたティッシュは、幹夫の額に見事ヒットし、湿った音を立てます。

「ふんッ! そんなの、いらないよ!」
「…おい、は、葉名美ぃ……。お、怒ってるのか?」
「…………」

 じろり。切れるような眼で憎たらしい兄を睨む、葉名美ちゃん。

「ご、ごめんよぉ、葉名美……。あれは、あれは、単なる出来心だったんだ……。分かってくれ……」
「……それより、さ」

 葉名美ちゃんは立ち上がると、冷や汗だらだらでたじろぐ幹夫を見下ろし、

「このこと、あざみ姉ちゃんに言ったら、なんて思うだろうね」
「……えっ?」
「『幹夫兄ちゃんね、あざみ姉ちゃんとのこと思い出して、毎日おなにーしてるんだよー』ってね。フフッ」
「ちょ、ちょっと待て……」
「きっと、あざみ姉ちゃんショック受けるだろうなぁ。自分がおなにーのオカズにされてるなんて……。あー、考えただけでゾッとするぅ」
「じょ、冗談だろ……?」

 あざみは15歳、思春期の真っ只中、最もナーバスになっているお年頃。こんなことを言われたら、さぞショックでしょう。幹夫は、それを非常に恐れています。

「さぁーて、今から行けばあまり遅くならずに済むしぃー。さっそく行こうかなぁー?」
 先ほどの憤怒の表情から一転、葉名美ちゃんはけろっとした笑顔で、部屋を出ようとドアを開けました。
「や、やめろ、葉名美ッ!」
「フフッ……。じゃ、お兄ちゃん、行ってきまー……」
「葉名美ッ!!」

 おもわず怒鳴り声を上げた幹夫。葉名美ちゃんは足を止め、

「……なによ、お兄ちゃん」

 またしても、恐ろしい形相で睨み付けます。

「……葉名美」
「早くしないと暗くなっちゃうんだから。あたし、行ってくるからね」
「……葉名美」
「うるさいよ、お兄ちゃん。あたし、怒ってるんだから」
「…葉名美、何が望みだ」
「!!」

 来た来た来たッ! 葉名美ちゃんは踵を返し、幹夫に駆け寄りたい足を制して静かに部屋に戻ります。

「やられたよ、葉名美。なんでも、好きなことしてやるから……。頼む、彼女には言わないでくれ……」
「……お兄ちゃん、なんでもしてくれるの?」
「ああ。なんでもしてやるし、なんでも買ってやる。ただし、1つだけだぞ。あと……、あんまり高いものを買わせたり、しないでくれよ」
「……本当?」
「本当だ。……だから、あざみちゃんには、言わないでくれよ」
「うん、分かってる」

 本当は、兄に勝った喜びにほころびそうな、葉名美ちゃんの表情。しかし、幹夫に対してあれだけ悪態をついておいた手前、彼の前では厳しい表情を変えません。

「大丈夫。あざみ姉ちゃんには、言わないよ」
「……ごめんな、葉名美。で、何をしてほしいんだ?」
「ん? んーとね……」

 葉名美ちゃんは、いそいそと幹夫のベッドに登り、

「……おちんちん、舐めさせて」
「…………は?」
「お兄ちゃんのおちんちん、舐めたいの。……その、いわゆる、『ふぇらちお』ってやつ……」
「ハ、ハ、ハハハハ。な、何言ってるんだよ葉名美……わわっ!?」

 葉名美ちゃんは、幹夫のかぶっている布団をがばっと剥ぎ取りました。彼はすでにズボンを履いていますが、布団の中にこもっていたあのニオイが、鼻につんときました。

「や、やめろッ!」
「……お兄ちゃん、聞こえなかったの?」
「お、おいおい葉名美……。そ、そんなこと、だ、だめに決まってる……」
「あっそ。じゃあ、あざみ姉ちゃんに……」
「そ、そそそそれもダメ!」

 再びベッドから降りようとする葉名美ちゃんを、幹夫は必死に制します。

「……お兄ちゃん、なんでもしてくれるって、言ったよね」
「あ、ああ、言ったけどよ……で、でもそれは、ま、マズイだろ……」
「あざみ姉ちゃんをがっかりさせるのと、どっちがマズイ?」
「う、う、うううううー……。わ、わかったよ! いいよ、もう……。なんでもしろ!」

 幹夫はもうやけっぱちになってしまいました。ベッドに身を投げ出し、無抵抗を示します。幹夫が、妹に屈した瞬間です。

「ふふっ、それでいいのよ、お兄ちゃん」
「……でもな、葉名美。その……、1回、1回だけだぞ?」
「それって、1回イクまでってこと? えー……」
「頼む、そのくらいは約束してくれ。際限なくやられたら、俺も……」
「……むぅ、分かった」

 葉名美ちゃんはちょっとムッとしながらも、寝転がった幹夫の脚の間に入り、パジャマのズボンに手をかけます。

「……ううー、こんなことになるとは」
「ふん、『じごうじとく』だよ……えいっ」

 ずるっ!

 葉名美ちゃんは、幹夫のズボンを下着ごと一気に脱がせました。脚と脚の間にくっついている幹夫の男根が露出します。

「……ちぢんじゃってるね」
 さすがに抜いたあとでは、勃つ物も勃ちません。
「当たり前だ、妹に見られて勃つわけねぇ……。うー、恥ずかしい……」

 だらん、とだらしなく垂れているその男性器に、葉名美ちゃんは顔を近づけます。

「そ、そんな近くで見るなよ……!」
「なんでさ。今からこれ、舐めるんだからね。……それにしても……、うはぁ、クサいねコレ」
「いちいちうるさいな、葉名美。嫌なら止めてもいい……うあああぁっ!」

 ぱくっ!

 ついに葉名美ちゃんは、兄の逸物に喰らい付きました。

「んんんっ、んぷ、く、くはい……」
「うぅ……は、葉名美っ!!」

 とたんに口全体に広がる、すえたニオイ。葉名美ちゃんはこみ上げてくる吐き気を抑えながら、ちゅ、ちゅ、としゃぶりたてます。

「んぶ……っ、ん、んぅ……ちゅっ、んちゅっ、んぐっ、ぶっ……」
「ちょ、ちょっと、葉名美……うああああっ、は、激しすぎ……!」
「んく、ん、んんんんっ……んーーーーーっ!」

 激しく舌を動かし、肺活量を総動員して逸物を吸いたてる葉名美ちゃん。その乱暴なフェラチオからは、兄への憎悪が色濃く感じられます。

「あ、ああああ、あああ、は、葉名美、もっと、もっとやさしく……」
「んぐーっ、んっ、んっ、んーっ……ぷはっ。……お兄ちゃん、大きくなってきたよ」
「うあっ……。く、咥えたまましゃべらないで……。振動が……」

 妹に咥えられ、再び元気を取り戻してきた逸物。その巨根はもはや葉名美ちゃんの口には収まりきりません。カリ首を咥え込むのが精一杯です。

「フフッ、こんなおっきいのであざみ姉ちゃんを犯そうとしたなんて、サイテーだよね」
「ご、ごめんよ、葉名美ぃ……うあっ」
「こんな……、こんな、ぶっとくて、長くて、クサくて、しょっぱいモノでぇ……、んちゅっ、ちゅっ……」

 葉名美ちゃんの愛撫で巨大化したペニス。禍々しいそれを葉名美ちゃんは、憎しみと喜びの入り混じった表情でしゃぶり続けます。

「んぱっ、んっ、んじゅ……、じゅ、じゅ、じゅる、んっ」
「はっ、はううっ! 葉名美っ! だめっ、そこ、痛いっ! やめ……」
 葉名美ちゃんの小さな舌が、幹夫の尿道口をつんつんとほじります。お○んこに指が入るんだから、男のココにも舌くらい入るでしょ、と葉名美ちゃんは思い込んでしまっているようで、無理矢理舌を差し込もうと奮闘しています。もちろんその行為は幹夫に激痛をもたらしますが、葉名美ちゃんは容赦しません。
「痛いッ、痛いッ! は、葉名美、もう勘弁……あああああっ!」

(ふん、痛い痛いって言えば、少しでも許してくれると思ってるんでしょ。本当は感じてるくせに)
 ねじねじ、と細い舌をさらに細い尿道に突っ込もうとして、顔を真っ赤にして必死になる葉名美ちゃん。
(あたし怒ってるんだからね。絶対許さないよ、お兄ちゃん。おちんちんの中に舌を入れて、女みたいにあんあん言わせてやるぅー!)
 ねじねじ、ねじねじ、ねじねじ。

「だ、だめっ! 熱いッ、熱いッ、痛くて熱いッ! は、葉名美いぃッ!」
「んぐ、ん、じゅるるっ、じゅぶ、ぬじゅ……」
 ねっとりと唾液を絡ませて、歯でカリを甘噛みしつつ、先端を舌でほじる。ときどき、先端をぬるりとした舌でゆったりと撫ぜる。熟練を思わせるそのテクに、幹夫は背中を弓なりにしたまま喘いでいます。

(んふふー、お兄ちゃんったら、すっごい感じてるぅ。あたしって、もしかしてご奉仕のプロかな?)

 …ご奉仕と言うよりは、お仕置きですね、これは。しかし、それが妹によるお仕置きでも、感じるものは感じます。いつしか幹夫も、痛みの中に潜む快感がどんどん昇り詰めて……。

「うああぁぁ、は、葉名美ぃッ! いく、いく、イクぅーっ!」
「んへっ?」

 どびゅっ!! どびゅびゅっ!!

「んっ!? …んっ、んっ、んーーっ!」

 ついに幹夫は、葉名美ちゃんにイカされてしまいました。巨根に見合うだけの量の精液が、葉名美ちゃんの口の中にどんどん放出されて行きます。

「はっ、はうっ! はううっ!」

 びゅるるっ、びゅ、びゅ、びゅー………。どくん、どくん、どくん。

「んんん………んくっ、んく…ごくっ、ごくっ、ごくっ」

 葉名美ちゃんの喉が波打っています。葉名美ちゃんは何の躊躇もなく兄の精液を飲んでいるのです。

(うえぇ……、やばい、意外と量が多いよぉ。……でもぉ)

「ごく、ごく、ごくんっ」

(でもぉ、せーえき……、おいしいかもぉ。少ししょっぱくて、少し苦くて、温かくてぇ……。この味って……)

「ごく……んくっ、んく、んっ……ぷは」

(んふふっ、あたし好みかもぉ)

 葉名美ちゃん、やっぱり変態ですね。
 推定60ccは吐かれたであろう精液を、とうとう飲み干してしまった葉名美ちゃん。徐々に膨らみを失っていくペニスから口を離し、興奮に少し鼻息を荒くして、幹夫を見上げます。
「……葉名美ぃ」
 絶頂の後の倦怠感に眼を細めている幹夫。はぁはぁ、と上半身を揺すって息をしています。

 そのとき。

「……ひぃっ!?」
 再び幹夫は悲鳴を上げました。
 葉名美ちゃんは間髪をほとんどいれず、また幹夫のモノにぱくついたのです!
「はむ……んっ、んちゅう」
「はうぅっ、ちょ、ちょっと、葉名美ッ! 約束しただろっ、もうお終いだろ!」
「むぐ、むぐぅ、んんっ」
 射精した後で非常に敏感になっている逸物。葉名美ちゃんの柔らかい舌は、剥き出しになっているも同然の幹夫の神経に直接、ぞぞっとするような感触を与えます。びくびくと身体をわななかせるも、
「こ、こらっ! いい加減にしろ!」
 無理矢理、葉名美ちゃんを自分の股座から引き剥がしました。
「ああっ…な、何するのよぉ、お兄ちゃん!」
「何するのよぉ、じゃないッ! 約束しただろ、一回だけって! いい加減にしないと、お兄ちゃん、怒るぞ!」
「……え?」
 葉名美ちゃんは、『なに言ってるの?』というような呆けた顔をしています。
「葉名美が約束を守らないなら、俺だって考えがあるからな」
「……なによぉ。約束を守ってないのは、お兄ちゃんのほうじゃない」
「はぁ?」
「お兄ちゃん、一回イクまでやらせてくれるって、言ってたよね」
 うなずく幹夫。
「ああ、言ったさ。だから、もう終わりだろ?」
「……とぼけないでよ、お兄ちゃん。まだイッてないくせに」
「な、何ィ!?」

 イッてない、はずがありません。ついさっき、幹夫は確かに葉名美ちゃんの口でイカされ、精液を放っています。しかし……。

「何言ってるんだ、葉名美! 俺はちゃんと……その……い、イッたんだぞ?」
「ふーん、で、その証拠はあるの?」
「…………は?」
「お兄ちゃんがイッた『証拠』だよ。『証拠』がないなら、まだお兄ちゃんはイッてないんだからね」
「な、な、何だよ、その『証拠』ってのは……」
 ふふん、と葉名美ちゃんは小馬鹿にしたような鼻息を鳴らして、
「せ・い・え・き。何言わせるのよ、お兄ちゃん! 男の人がイク時には、せーえきが出るでしょ」
「そりゃ出るさ……っていうか、今出ただろ?」
「出てないじゃん。どこにあるのさ」
「てめぇ、ナニとぼけてやがる! 今、お前の口に……」

 そこまで言って、幹夫はハッとします。

「えー? あたしの口の中には、ないよぉ」
 葉名美ちゃんは口をぱっくりと開けます。中には何も入っていません。
「……あ、いや、の、飲んじまったんだろ」
「はぁ? お兄ちゃん、何言ってるの!? せーえきを……あのせーえきを、飲むって……」

 精液を飲む。そうですね、正常な脳で考えて見れば、その行為は非常に汚く下劣なものに思えます。排泄物とおなじ穴から出てくるんですものね。

「やだぁ……、お兄ちゃん、変なこと言ってるぅ……。お兄ちゃん、嫌ぁい……」
「な……こ、この、葉名美っ! とぼけるんじゃない!」
「ふんっ! じゃあお兄ちゃん、あたしがせーえきを飲んだって言う証拠、あるの? あたしがお兄ちゃんの『イッた証拠』を隠したっていうこと、証明できる?」
「……いや、それは、できないけどな……。でも、お前、確かにさっき……」
「ダーメ。証拠がないから、お兄ちゃんはまだイッてないの。お話、おわり!」
「は、葉名美ぃ……。ムチャクチャだ……ふざけやが……うあぁぁっ!?」
 幹夫の泣き言をさえぎるように、葉名美ちゃんはまたもや逸物の吸引を始めました。

 男性器をしゃぶる。そうですね、正常な脳で考えて見れば、その行為も非常に汚く下劣なものに思えます。排泄行為をする器官を口で咥えるんですからね。
 でも、変態葉名美ちゃんにはもうそんなことは関係ありません。ペニスを吸い、精液を飲み干すことにちょっとした(サド的)快感を覚え始めた葉名美ちゃん。うまいこと幹夫をやりこめた彼女は、まるで大好物のお菓子にがっつくかのように兄にむしゃぶりつき、吸いたて、責めるのでした。その愛撫は、相手が嫌いな兄ゆえか遠慮がまるで無く、実はフェラチオ初体験だった幹夫は一気に体力を奪われ、その快感に甘んじ始めてしまいました。
 もっとも、ここで力ずくで葉名美ちゃんを止めたら、『約束違反』と言われて彼女はあざみのところに行ってしまうでしょう。
 もう、幹夫にこの射精地獄から抜け出す方法は、ありません。


 ……半時間は経過したでしょうか。

「んぶっ、じゅるるっ、じゅっ、じゅ」
「はひぃぃぃ……葉名美ぃ……葉名美ぃ……はうっ」

 びくくっ! ……びゅるるる、びゅー……。

 幹夫は葉名美ちゃんに、もう10回はイカされています。
「んっ。……んく、んく、ごくっ」
「うあぁぁぁ、また飲んでるぅ……。は、葉名美ぃぃ……」
「ごく、ごくっ。……んー、お兄ちゃん、なかなかイカないなぁ。あたしって、ご奉仕ヘタッピなのかなぁ」
「も……もう、勘弁……うあぁぁ」
「フフッ、お兄ちゃん。勘弁しないよ……んちゅ」
「うあぁっ、やぁぁぁぁぁぁ……」


「んぐ、んぐ……んっ、お兄ちゃんなんて、大嫌いだもんっ……」

 びゅるるっ、びゅくっ、びゅくっ……。

「んっ、んっ、ごくっ、ごく……んっ、でも、お兄ちゃんのせーえきは……大好きぃ……」


 結局、葉名美ちゃんのおしおき(?)は、さらに半時間後、彼女がうっかりと精液を飲み損ねてしまうまで続きましたとさ。


 ……さて、話はここでは終わりません。

 数日後のこと。
「ん……んあぁ……んっ」
 葉名美ちゃんは自室のベッドの上。左手を『えろ本』に添え、右手をお○んこに添え、オナニーの最中でした。もうそろそろイク、という頃、

 がちゃ。

「おーおー葉名美ぃ、オナニーに精が出るなぁ」
「…んへっ!? お、お兄ちゃん!? 何で入ってくるのよっ!」
 突然、ノックもせずに幹夫が部屋に入ってきました。ややキレ気味の笑みを浮かべた幹夫はベッドに近づくと、おもむろに本を取り上げ、
「ほほう、コレが葉名美の『オカズ』ですか……。うはぁ、こりゃすげぇ、無修正じゃないか」
「ちょ、ちょっとぉ、スケベお兄ちゃん! 返してよ、それ!」
「んー? まあ、返してやってもいいけどぉ…。でも、この本のこと、姉貴に言ったらどう思うかなぁ?」
「え……?」

 葉名美ちゃんと幹夫の姉、桜子は、普段は優しいけれど怒るととても厳しい、お母さん的存在。葉名美ちゃんが『えろ本』を持っていることがバレたら、奪われてしまう上に恐ろしい厳罰が待っているでしょう。

「そ、それだけはダメっ! お願い、黙っててよ!」
「葉名美、黙っていて欲しいか?」
「うんっ! 何でもするからぁ、お願い、お兄ちゃ…」

 そこまで言って、葉名美ちゃんは固まってしまいます。

「ほぉ、何でもさせてくれるんだな。じゃあ……」
「……う……あ…」
 口をあんぐりして震える葉名美ちゃんの耳に、幹夫は囁きます。
「…アソコ、舐めさせろ」
「や……いや……やだぁ……」
「一回、イクまでな」
「……や……ご、ゴメン……おにい……ちゃ……あうっ」

 幹夫はベッドに登ると、下半身裸の葉名美ちゃんの膝を強引にこじ開けました。

「女の子がイク時って、なにか証拠が残ったっけ? クク、まぁいいや」
「ご、ゴメン、お兄ちゃ……ゴメンってば……ひゃあぁぁぁぁあぁっ!!」

 ついに、幹夫の反撃が始まりました。

 おっしまい。