「美人になりたい!」  Aristillus



 あたし、梨音(りおん)。小学生。自分でいうのもなんだけど、とっても美人な女の子。お父さんもお友達も、あたしの事かわいいっていうんだけど、お母さんに聞いたら、それはあなたが美人だって事なんだよって。すごいでしょ。
 だから、お母さんはあたしをいつでもきれいにしてくれる。毎週日曜日には、専門のお店に行って、高くてきれいな服をあたしに買ってくれる。毎日お風呂でツルツルに洗ってくれる。毎朝あたしの髪をとかして、かわいく髪を飾ってくれる。だからあたしはいつも得意になって学校に行く。まだ小学生なのに、痴漢にだって会った事があるんだ。怖かったけど、あたしが美人だからなんだって思ったら、少し得意になっちゃった。


 ランドセルを持って廊下に出たら、担任の大杉先生がまた男子を怒ってる。この前注意されたのに、タカシ君がカードを持ってるのを見付けたられたから。ほんとにあの子ってバカ。あんなののどこが面白いのかしら。
 大杉先生はちょっとカッコいい。いつもだらしない服を着て、よく無精ヒゲを生やして、他のみんなから汚いってバカにされてるけど、よくクラスのみんなを連れて、山へ連れてったり、川で遊ばしてくれたりしてくれる。あたしは勉強も好きだけど、なんでも知ってる先生と外で遊ぶのは、すごく楽しみなんだ。服が汚れると、お母さんにしかられるのが困るけど。みんな先生のいい所が分かんないんだ。あたしは先生が好きなの。恋してるんだから。
「せんせーい、さよーなら!」
「おー、クルマに気をつけろよ」
 一番いい笑顔をしてあげたのに、先生は気付いてくれない。不満でふくれながらうわばきを脱ごうとしたら、あの子と先生が、一緒に歩いてくのが見えちゃった。なによ、またあの子!
 あの子ってのは同じクラスの須藤珠(たま)っていうの。名前のせいで、「たまたま」っていじめられるんだけど、それは顔のせいで、名前のせいばかりじゃないって、あたしは思う。とっても暗い子で、顔はすごいブス。服はぱっとしないし、いつも下を向いてる。
 だから、一学期はかなりいじめられたり、えんがちょ切られたりしたんだけど、今はそれほどでもないの。二学期になってからは、先生と楽しそうに話してばかりいる。いじめられてもすぐにうれしそうな顔をするんで、男子も最近はいじめなくなった。
 あたしはもともと気にもしてなかったんだけど、だから、最近あの子が気にさわるようになってきてる。なによ、先生はあんたのものじゃないんだからね!
 あたしは先生と須藤の後を、そうっとつけてった。だって、なんで先生があんな子と楽しそうに話してやるのか、秘密が知りたかったから。あたしみたいな美人を無視して、なんであんな子に優しくするのよ。先生はあの子がブスって分かんないのかな。あたしが先生の目をさましてあげなくちゃ。
「ここにしよ。今日はここぐらいしか、誰も来ない所が見付かんなかったんだ」
「えー? ここいやです。くさいし、暗いしー」
 二人は体育用具室の前で立ち止まった。なんでこんな所に来たんだろ。
「やめる?」
「ウソ! やるやるー」
 中に入って、何かがドアに当たるがちんという音がした。ドアに耳を付けても、中の話し声は小さくてよく分かんない。あたしは、体育用具室は横に細長い窓が上と下に付いてるのを思い出した。外に出れば、中をのぞけるかもしれない。


 校庭への出口はあたしのすぐ後ろにあったけど、そこからじゃ、ぐるっと回らないと校舎の裏には行けない。あたしは廊下を駆けてって、階段の吹き抜けまで出てから、校舎の裏をぱたぱたうわばきで戻ってきた。裏は誰も通らないから、木と雑草のせいであたしの姿は誰にも見られない。それでもそうっと近づいていくと、体育用具室の下の窓ががらっと開いたのが見えた。大杉先生だ。
 ゆっくり息を殺しながらしゃがみこんで、そうっとのぞきこむと、体育用具室の粉っぽい臭いがぷーんとした。
「悪いな、とにかく一回済ますぞ。おい、パンツを」
 パンツ? 不思議に思いながら目を回すと、須藤が「えー」と言いながら、白いスカートの下からあっさりパンツを下ろすのが見えた。先生は何をするつもりなんだろ、おしおきかな?
「あたし、まだ……」
 パンツを差し出すと、先生はそれを受け取ってちらりと見てから、ポケットにねじこんだ。
「うるさい」
 先生はジャージのズボンを下げて、ぽろんと毛むくじゃらのおちんちんを出して、手に握った。あたし、すごくびっくりしちゃった。あんなおっきなの初めて見た。先生のおちんちんは、あたしの知ってる男子のソーセージみたいなのと違って、くっきり二つに分かれていて、先っぽの赤黒い所がぴかぴかに光ってる。なんだろあれ。なにかくっついてるのかな。
 よく見てたわけじゃないよ。すぐにきゃって目を隠して、逃げようと思ったんだけど、まだなんだか分からない。もうちょっと見たいと思って、あたしは真っ赤になったまま、恐る恐るのぞきこんだ。
 最初、二人がくっついてたから、あたしは何があったのか分からなかった。降ろしてあった低い跳び箱の上に須藤が寝て、その上に先生が覆いかぶさっている。須藤の短い足が先生の両側から左右に突き出してて、ぷらぷらと揺れている。なにこれ?
「痛いよー」
 須藤の声が小さく聞こえる。やっぱりなんかのおしおきなんだろうか。二人の体はかっくんかっくん前後に揺れている。その動きに、なにかとてもいやらしいものを感じて、あたしははっと体が固くなった。
 先生は体を起こして、須藤の両足首をつかんだ。ぎゅっと須藤の頭の方に揃えると、腰をあの子の腰に打ち付けては離れる。上を向いた須藤の足の付け根から、先生のおちんちんがまっすぐつながっているのが、二人が離れるたびにあたしには見えた。須藤のおまんこに、先生がおちんちんを入れてる! これっていったい何? なんなの!?
 リズミカルな動きをじっと見ていたら、あたしはぼうっとなって汗をかき始めた。須藤はいつの間にか痛いと言わなくなって、先生が腰を突き出すたびに、お尻をぶつけるようにくいっと上げている。しゅっしゅっというなめらかな音が聞こえるようになって、あたしは恥ずかしくてつばを飲み込んだ。
「あいかわらずすごいな、たま。もういっぱいだぞ」
 先生のうれしそうな声に、あたしは現実に引き戻された。なに? たまって。先生はふだん、須藤って呼んでるのに。
 先生は片手で須藤の首を起こして、腰を少し引いて自分の股間をのぞきこむようにさせた。
「どうだ、たま。お前のおまんこにいっぱい入ってるのが見えるか」
「イヤーん」
 そのおかげであたしからも、入ってる部分がはっきり見えた。先生のおっきなおちんちんが、ぶっすりと須藤のおまんこに刺さっている。須藤のあそこは、先生のがおっきすぎて、太股まで左右に押しやって小さな皮のリングみたいになってる。ぴんぴんに張ってて、とっても痛そう。よくあんなことができるなあ、と須藤の顔を見ると、つらそうに先生を見上げてる。
「はやくぅ」
「よし」
 再び動き出すと、先生はどんどんスピードを上げてった。しばらくたって、かくかくという感じで腰を動かしたと思ったら。突然二人は止まって、長い事そのままでじっとしてた。何が起こってるんだろ。
「ふー」
 先生が大きなため息をつきながら体を起こすと、須藤は目を開けて、ぼうっと天井を見た。そのまま先生が離れると、にゅぷと変な音がして、びくっとあの子の体が揺れた。あたしは初めて、須藤のつるんとしたおまんこを、はっきりと見ちゃった。
 ひとのおまんこを見たのは初めてじゃないけど、こんな角度から見たのは初めて。あたしのもこんな風なんだと思いながら、じっと見ていると、すぐに閉じた割れ目から、白い汁がとろっと湧いてきた。なんだろ、あれ、おしっこじゃないよね。
「ああ、すっきりした……すごくいっぱい出たな。ありがとう、たま。今度はゆっくりするからな」
 先生はなんでもないみたいにそこに触れると、指を突っ込んで開いた。どろっと白い汁が手に付いたのを、たまの股間になすりつける。タオルで手をふきながら、先生はそのままと言って、なにか機械を取り出した。
「こりゃすごいぞ。たま、こっち向いて」
 先生はシャッターを何回も押して、須藤のおまんこと顔を撮りだした。そうか、あれ、デジカメだ。でもなんであんな所を撮るんだろ。汚いのに。
 次に先生はきれいに須藤をふいてから、運動マットの上に須藤を呼んだ。先生は強引にキスをすると、今度は鼻や口ごと先生の口でふさいで、べろべろ須藤の顔をなめ始める。
「どうだ、たま」
「きもちいいです、先生」
「そんな顔するな、お前はブスなんだから、いつでもにっこりしてなきゃだめなんだぞ」
「あたしって……やっぱりブスなんですか」
「馬鹿。そんな事気にするな。お前はとてもかわいい、俺が保証してやる。美人にゃなれなくても、お前みたいなかわいい子には、誰でもなれるわけじゃないんだ」
「あたしって、かわいいんですか?」
「こんなかわいい子はいないよ。先生になんでもしてくれる。俺はそんなたまが大好きだぞ」
「あたしは、美人になりたい……。梨音ちゃんみたいな、きれいな子になって、すてきな服を着てみたい」
 あたしは、突然自分の名を呼ばれて、びっくりした。あたしがきれいだって?当然じゃない!


 ……でも、先生はそんな須藤が大好きだって言った。これどういう事? あたしより、須藤の方がかわいいっていうの!?
「ばーか。たしかにあの子は美人だが、こんな事をしてくれるのはお前だけだ。黙っててくれるしな。お前は俺だけの、一番かわいい生徒だよ」
 先生はいつの間にか、須藤の服を脱がしていた。靴下とうわばき以外はなにもつけていない、真っ裸だ。あたしの目に、夕日があたった須藤のピンクの肌の色が、あざやかに見えた。
 先生は須藤をでんぐり返しのようなポーズにすると、むきだしのおまんことお尻の穴をなめ始めた。あたしは汚いって顔をしかめたんだけど、すぐに須藤がうなり始めて、とても気持ちよさそうな顔をしたんで、何かあるんだって分かった。先生がうねるお尻をつかんで、お尻の穴に指を入れると、あの子が叫んだ。
「それはやめてっ、先生」
「いやか?」
「ちがうよ! ……ただ、お尻の穴だと服が汚れちゃう。あたしもくさくなっちゃうし……。後で大変なんだからー」
「ここがいいんだよ。お前だって大好きだろう」
「ここじゃまずいよ。今度の日曜、先生の家で、ね?」
 先生はしぶしぶという感じで、手を離した。
 先生と須藤が恋人同士だという事は、あたしにも分かった。でもいったいどういう事? お尻の穴って、うんちするとこでしょ。他になんかあるの? それに、今度の日曜って、あの子先生の家を知ってるの? 行った事あるの?
 あたしはの頭は、混乱とショックでぐらぐらとしてた。
「しょうがない、かわりにがんばってくれ」
 先生は須藤の頭をつかんで、先生の腰に引っ張った。須藤はにっこり上を見上げてから、先生のおっきなおちんちんにキスをした。ちゅっ、ちゅっと音がして、すぐに大きく口を開けると、ぱくりとおちんちんをくわえてしまう。えー! ほんと? 汚くないのかなあ。だって、もともとおしっこする所だし、さっき須藤のおまんこに入れてたんだもん。
 でも、須藤はなんとも思ってないみたい。うれしそうにもぐもぐすると、ほっぺたに舌が動いてくるくるしてるのが浮き出て見えた。食べてるんじゃないんだ、なめてるだけ。
「おいしいか?」
「うーふ」
 そううなり声を上げて、今度は頭を上下にゆすりだした。口の中に、先生のおちんちんが出たり入ったりしてる。さっきのおまんこみたいだ。それで、あたしはようやく先生が何をしたいのか分かってきた。でも、おちんちんっておいしいの?
 おっきなおちんちんのせいで、須藤はあごがはずれるくらい大きく口を開けてる。すごい間抜けな顔をしてるんだけど、その顔を見下ろす先生の顔は、とても幸せそう。須藤がちらりと見上げると、それを見て、あの子もうれしそうに笑顔を浮かべる。
「そっちだけじゃ駄目だろ」
 先生はそういって頭を押すと、すぐに須藤は納得したような顔で、おちんちんを口から抜いた。そのまま先生の股の下にもぐると、先生のきんたまをなめながら、ぐいっと頭を押し上げた。須藤の顔に乗った先生のおちんちんが、ぴんと天井を向く。
 すごい! あんな事までするんだ、と思った。くらくらして、また体が熱くなってくる。須藤がちゅぱちゅっぱときんたまを交互に吸い込んで、おちんちんを短い指でこすり始めると、すぐに先生が大きな声を上げた。
「ああ! いいぞ、たま」
 須藤は、そのまま手でこすりながら、きんたまの下に顔をうずめた。あたしと一緒で先生の半分しか身長がないから、足の影に入って、何してるのかは見えない。ちょうどお尻の穴のあたりに、顔を押し付けてる。
「おおお! ……いかん! たま! 出るぞ!」
 さっと頭を引くと、須藤の舌が口からとがってとび出してるのが見えた。ぼーっとした目でさっと先生のおちんちんの正面に立つと、だまって大きな口を開ける。低い位置のあたしからは、須藤の口の裏の赤い肉まで見えた。
 先生は自分でおちんちんをつかむと、そうしてる須藤の口に入れて、あの子の舌に押し付けた。須藤はくいっと顔を上げて、舌を出す。先生がちょうど見えるようにしたみたい。
 突然ぴゅうっと白いものが先生のおちんちんから飛び出した。おしっこかと思ったら、そうじゃないみたい。さっき見た白い色の汁だ。あれって先生のおちんちんから出たんだ。なんなんだろう?
 ぴゅっぴゅっと何度か須藤の口に飛び出すと、やがて白い汁は止まった。先生は力のこもった姿勢で、目をつぶってふうふう息をしてる。つらいのかな、と思ったら、すぐに目を開いて満足そうに須藤を見下ろした。
「よし、たま、動くなよ」
 そう言って、またデジカメを拾うと、夢中で須藤の顔を撮った。少し離れて全身を収めると、ようやくあの子に話しかけた。
「こぼせ」
 須藤が顔を下げると、口の両端から白い汁がたれていった。とろとろっと胸に落ちて、そのまま体を伝っていく。
 先生は楽しそうにその光景をカメラに収めていった。笑顔でVサインを出させたり、舌を突き出させたりしながら、シャッターを押す。最後におまんこを下から撮ると、デジカメを置いて、あの子の前にしゃがみこんだ。
「ほとんど出ちゃったか。最後だ、たま、飲んでいいよ」
 口の中をのぞきこんでからそう言う先生を、須藤はじっと身動きせずに目で追っている。すぐに口を閉じると、うがいするように上を向いてから、こくんと口の中の汁を飲み込んだ。あれって飲めるんだ。どんな味なんだろ。
 くしゃくしゃと頭をなでる先生に、須藤はとても得意そうな笑顔を浮かべた。体をタオルでふいてやると、先生は、初めて須藤を抱きしめた。そのままマットへ倒れこむと、すぐに二人は互い違いになって、お互いの性器をなめ始める。あれ? 先生のおちんちんが柔らかくなってる。その柔らかいおちんちんを、須藤は一所懸命ほおばって、なめ回してる。まだ何かあるのかな?


 あたしはさっきから、ずっとスカートの下に手を入れて、パンツの上からあたしのおまんこをなでていた。ぞくぞくするような感じがずっとしてるけど、まだそれだけ。あたしもあんな事したら、須藤みたいに気持ちよくなるのかな。でも、あたしのおまんこには、とても先生のはとても入りそうにない。痛いのはがまんできないもん。
 目を戻すと、先生はあおむけになって、上に逆さに乗ってる須藤が見えた。先生は夢中になって、あの子のおまんこをなめている。身長が違いすぎて、先生がなめる時はあの子は手でこする事しかできない。須藤の番になって、激しく上下に首を振りながらぎゅうぎゅうきんたまをもみはじめると、先生はあえぎ始めた。
「も、もういいよ。来てくれ、たま」
 いつのまにか先生のおちんちんはぴんと立ち上がっていた。ちゅうちゅういう音がすぼめた須藤の口から聞こえて、あたしはまた恥ずかしくなった。どうしてあんな音させるのよ。
 すぐに須藤は立ち上がって、先生に向き直って腰を下ろした。勢いよく腰を降ろしたんで、あたしはすぐには気付かなかったけど、先生のおっきなおちんちんは、まっすぐあの子を串刺しにしてた。にこにこしながら、腰をひねってる。
「どう? せんせーい。たまのおまんこ」
「うー、うー、やっぱ最高だよ。奥にごりごり当たってる。……でもたま、大丈夫か?」
「痛くても、いいの。おまんことっても気持ちいいよ」
「いやらしい子だなあ」
「ばかあ」
 よく見ると、須藤は先生の上に座ってない。先生のおちんちんと、両足で体を支えてる。やがて足に力を入れて、上下に体をスライドさせ始めると、先生は、下からあの子に合わせて、腰を突き出し始めた。
 外には虫の鳴くちりりりという音が雑草からしてるだけで、辺りはとっても静かだ。その中で、部屋の中からは、しゅっしゅっという音が、リズミカルに聞こえてくる。二人ともだまって、集中してるように見える。あたしはその時、とってもさびしい気持ちがした。あの子がすごくうらやましい、あんな事ができるなんて。
 帰ろうかと思って立ち上がりかけると、先生は須藤を持ち上げた。突き刺したままあの子を持ち上げると、マットに四つん這いにさせて、後ろからずんずん勢いをつけてあの子の中におちんちんを突き刺していく。どんどん腰が早くなって、あたしは先生が、またあれを出すんだって分かった。
「いったっ……んきゃ、あ、あっ」
「いくぞっ、たま」
 つながったままじゃ、須藤の膝はマットに付かない。後ろに足を回して先生の足をしめつけると、先生はあの子を持ち上げて、からんだまま胸に抱きしめた。
「ああああ!」
 二人は長い事そのままでいた。つながったおちんちんがびくんびくんとしてる。また白い汁を須藤に流し込んでるんだと、あたしには分かった。二人とも目をつぶって、無表情になっている。何を感じてるんだか、見てるだけのあたしには分からない。またデジカメで撮るのかな。でももう、あたしには、どうでもいい事だ。


 あたしはそうっと立ち上がった。足がしびれて、じんじんする。手にも足にもあちこち虫にくわれた跡ができていた。
 よろよろ校舎に戻りながら、あたしはなぜか敗北感に打ちのめされてた。なんで? どうして? あんなブスで、センスが悪い須藤が先生の恋人になれるの? あたしには分からない。分かるのは、あたしはあの子みたいにはできないっていう事。
 ぐるっと下駄箱に戻ったあたしが長い事座り込んでいると、須藤がとことこやってきた。あたしに気付いたのか、恥ずかしそうに下を向いたまま、外に出ていく。ちょうど上級生たちの授業が終わったのか、ぞろぞろと他の生徒たちも外に出ていった。
 負けるもんか! あたしのがずっと美人だ。服のセンスだってお母さんも認めてくれてる。
 小さくなるあの子の背中に向かって、心の中であたしは叫んだ。
「あたしは誰にも負けない美人になる! 先生が大好きだって言ってくれても、ふってやるんだから!」

 小さくなってゆくうつむいた背中は、なぜかとっても幸せそうに見えた。



終わり.