「麻美」  こー



 薄暗い会議室に少女と俺は居た。
 もう何年も交換してない蛍光灯が時折点滅する。その灯りに照らされて少女は裸のまま立っていた。
 シャーー!
 俺は勢いよくメジャーを取り出し、少女の体の寸法を計り始めた。
 ヒップ、ウエスト、バスト……
「……んっ!……」
 バストを計るときメジャーが乳首に触れた。一瞬甘い吐息が漏れる。
 親に切られているのだろうか、肩までの長さで乱雑に整えられた髪型。しかしそれが妙に似合っている。黒い髪の毛は手に取ると、さらさらと水のように指の間を落ちていく。大きな目の瞳の色は深い蒼。僅かに膨らみかけた胸の頂に珊瑚色した乳首がのっている。
 少女の名は麻美。とあるツテで俺の勤めるアパレル会社のモデルをやっている。
 モデルといってもファッション誌に載るようなことはない。なぜなら俺の会社はデパートやスーパーの衣料品によくある聞いたこともない安物専門メーカーだからだ。
 麻美はそこの子供服のモデルをしている。週末になると場末のデパートのチラシに麻美はよく載っていた。
「お疲れ様」
 寸法を計り終わり麻美に声をかける。
「今日も……するの?」
 麻美が尋ねる。
「…………」
 俺は無言のまま麻美の細い腕を引っ張りいつもの場所へ連れて行く。外は30度を超える熱帯夜だというのにコンクリートが剥き出しの廊下は冷たい空気が支配していた。

 歩きながら俺はポケットからピルケースを取り出し真っ白な錠剤を麻美に手渡した。
「……」
 薬を握りしめ足を止める。
「どうかした?」
「……今日は薬無しでやってみたいな……」
 少し顔を赤らめながら言う。
「やめといたほうがいい。それがないと体が持たないよ」
「そっか、やっぱりそうだよね…」
 言って薬を口に含む。冷たい廊下にゴクリと喉が鳴る音が響く。

 暫く歩くと目的の部屋の前まで来た。
「準備はいい?」
 こくんと頷く。
 カチャリ
 俺はドアをなるべく静かに開け、先に麻美を中に入れ自分も続いて入ったいった。
 廊下の突き当たりにある物置部屋は6畳くらいの広さでビルの清掃に使うモップや掃除機が置いてある。たいして広くもないビルなのでモップは3本、掃除機は1台しかない。部屋は無駄なスペースを持て余していた。

 俺はこの部屋を少女達との密月の場所に使用していた。

「ああっ!」
 がくんと麻美の膝が折れる。薬が効いてきたんだろう。俺は麻美の肩を抱き支えた。
「大丈夫?」
「うん……」
 しかし麻美の太股には愛液がつたっていた。ぱたぱたと床に落ちる愛液。
「ねぇ……早く……しよ」
 俺を見上げながら懇願する。全然大丈夫じゃない……。
「いつものお願いしないと駄目だよ」
「……やっぱり言わなきゃ駄目?」
「うん。言わなきゃしてあげない」
 もじもじと身をくねらせていたが、意を決したのか真直ぐに俺を見て、
「……麻美のオマンコに、オチンチンを下さい……子宮に精液を注ぎ込んで下さいっ!」
 麻美が言う。
「よく言ったね。ほら、ご褒美だよ」
 俺はズボンを下ろしペニスを麻美の目の前に差し出した。
「お兄ちゃんの……おちんちん……」
 本当に愛しい物のように努張したペニスを見つめる麻美。
 ちゅっ
 麻美の唇が亀頭に触れる。そのまま尿道を舌でつたい根本で睾丸を口に含んだ。
 はむっ……きゅぽきゅぽ
 麻美の暖かい口腔の中で転がされる。
「いいよ、麻美……」
 ピリピリと軽く脳髄が痺れる。
 今度はペニスを根本から舐め上げそのまま口に含んだ。
 じゅぷぷ、ぬぷぅ
 そしてゆっくり頭を動かす。舌が裏スジを撫で回し、喉奥が亀頭を刺激する。さすがに根本までは入らないがそれでも十分気持ちいい。
 俺は麻美の頭を両手で鷲掴みにした。麻美が動くのを止め少し身構える。
 俺は激しく腰を動かした。麻美は一生懸命に口をすぼませペニスを吸っているが 、小さな口からは唾液が溢れ出ている。
「くぅっ!」
「〜〜んぶぅ!」
 俺は切なそうな顔をする麻美と見つめ合いながら狭い口腔の中に熱い精液を放った。
 麻美の口から受け止めきれなかった精液が溢れ出る。
「……ぷはぁっ、はぁはぁ、」
 口から飲みきれなかった精液が滴り落ち、それを両の手で受け止める麻美。
「お兄ちゃんの……凄く熱い……」
 麻美は手の平の精液の暖かさを感じとるように指に絡ませ自分の口に運んだ。
「あ、お兄ちゃんの味がする」
「精液に味の違いなんかあるの?」
 冗談交じりに聞いてみる。
「うんとね、お兄ちゃんのは苦いんだけどね、喉越しがさっぱりしてるの」
 まるでビールみたいだな、と思った。
「でね、お義父さんのはね少ししょっぱくてね、先生のは味は普通なんだけど、皮かむりだから少し臭いや」
 エヘへと笑う麻美。
 俺は一瞬麻美の運命を呪った。が、自分も結局麻美を食い物にしている大人達と一緒だと気付き罪悪感にさいなまされた。

 麻美は母子家庭に生まれた。母親は遊び人だった。借金があった。何度も離婚と 再婚を繰り返していた。

 俺が知ってるのはここまでだ。うちの会社と付き合いのあるヤクザから麻美をモデルとして使わないかと話しを持ち掛けられたのはちょうど三ヶ月前。ちょっと田舎に出ればヤクザなんて普通に働いてる。汚いことから普通のサラリーマンがするような営業まで。こんな話しを持ち掛けられるのは初めてではなかった。今までの少女達はモデルの仕事を多少こなすとまた何処かへと消えてしまっていた。

 麻美もすぐ消えてしまうのだろうか。

「……お兄ちゃんどうしたの?ぼーっとしちゃって?」
「ちょっと考え事を……って痛てて」
 麻美にほっぺたをつねられた。
「セックスのときは私のことしか考えないって言ったじゃない!」
 膨れっ面の麻美。
「ごめん、そうだったね」
 ここは素直に謝っておく。
「もうっ!さあ、続きをしましょう」
 いざことを始めると麻美は積極的になった。あぐらをかいた俺の体を跨ぎキスをする。まだ身長の低い麻美とはこれくらいでちょうどよかった。お互いの舌が絡み合い唾液が混ざり合う。
 口を離すと二人の舌の間に唾液の橋ができた。時間の経過と重力に従い橋はUの字になり美しい曲線を作る。そして線香花火の最後の火種のように唾液の雫は落下した。
「お兄ちゃんのおちんちん、まだカチンコチンだね」
 人指し指で亀頭をつつかれる。
「……あっ!」
思わず声を上げてしまった。
「女の子みたいな声だして……かわいい、お兄ちゃん」
 麻美はペニスを掴み自分の膣口にあてがった。麻美の体温が亀頭から伝わる。まるで悪い風邪にでもかかったかのように麻美の秘部は熱かった。
「いくよ、お兄ちゃん……」
「ああ、おいで麻美」
 麻美が静かに腰を沈める。
「んっ、くふぅ!」
 ゆっくりと麻美が上下に腰を動かす。動く度に未熟な肉壁がペニスをきつく絞め上げた。
 少しずつ腰を動かすスピードを上げる麻美。
「はっはっ、ん……はぁ」
 徐々に息が上がってきているのが分かる。麻美の甘い吐息が俺の肩をくすぐった。
 俺は麻美の首筋にキスをした。そのまま舌を這わせ僅かに膨らんだ胸にむしゃぶりつく。
 左乳首をちゅうちゅうと吸いながら右乳首を指でつまみ上げた。
「んんっ!」
 俺はさらに乳首を軽く噛んだ。
「あううっ! いいよぅっ!」
 麻美が力無く抱きついた。強がってみせるのも限界なんだろう。俺は麻美を抱き締めながら床に寝かせた。
「これからもっと気持よくしてあげるからね」
 耳元で囁くと麻美は顔を真っ赤にして頷いた。

 俺は両手で麻美の骨盤を掴み腰を乱暴に打ち付けた。
「あっ、お兄、ちゃん……はっ激し、過ぎるよ……」
 麻美の呼吸が荒くなる。
「きゃうっ!」
 一番奥にペニスが当たると麻美は甘い鳴き声を漏らした。
 俺はピストン運動を続けながら指でクリトリスの包皮を剥いた。
「!!」
 麻美の表情が変わる。腰を打ちつける度に剥き出しのクリトリスが潰れる。
「ひっ!」
 麻美が思わず息を飲む。今度は指でこねくり回してやった。
「や、だ、だめぇ!」
 麻美の絶頂が近い。証拠に麻美の奥が人の体温とは思えないほど熱くなってきた。
「お兄ちゃん! もう……」
 二人共限界だった。
 俺はさらに腰を打ち付けるスピードを上げる。
「〜〜〜〜〜っ!!」
 麻美が声にならない声を上げ、体を弓のように反らす。
「麻美!」
「お兄ちゃん!」
 麻美の膣が一層きつく締め付ける。
「あ゛────!」
 どくんどくん!

 麻美の絶叫と共に大量の精液が子宮に流れ込む。一気に射精した精液は子宮に収まりきれず、膣口から垂れ流されるだけだった。


「綺麗な満月」
 麻美を送って行く帰り道、月明かりが眩しかった。
「綺麗なお星様」
 俺達以外に通行人は無く、虫の鳴き声さえうるさく感じた。
「でも私は曇りの夜空の方が好き」
 昨日降った雨の水溜まりがまわりの景色を吸い取るように写しこむ。
「昼間は白い雲が、夜には子供達の嫌な夢を吸い取って真っ黒になるのよ」
 自販機の痛々しい光を街灯がわりに二人歩いて行く。
「そう考えると曇りの夜空も素敵でしょ?」
 俺は雲一つ無い夜空を見上げて少し泣いた。



おわり