「痴態・双生児」  石薬師 暁生



 三浦志保がいつものように、病室のベッドの上で天井を見上げていると、扉をノックする音がした。個室だから、志保の客には違いない。志保はそちらを見やることなく、短く応える。
「開いてる」
 誰何せずとも、だれがノックをしたかぐらいのことは判っている。妹の理歩だ。
 ゆっくりと扉を開け、理歩がおずおずと入ってくる。志保はやっと視線をそちらに向けると、ふん、と鼻を鳴らして上体を起こした。腕を使った不自然な起き方は、志保の脚になにかしらの障害があることを示している。
「……ちゃんと、こぼさないで持ってきたんでしょうね?」
「うん……」
 真っ直ぐに見据える志保と、伏目がちに頷く理歩。その二人の態度は両極端であったが、顔は恐ろしいほどにそっくりであった。青白い肌、大きく艶やかな目、あまり高くはないが整った鼻筋、桜貝のようにピンク色で小さな唇。
 ただ、志保の伸び放題で乱れた髪と、理歩の艶のある黒髪だけが、はっきりとした違いであった。どちらにしても、二人がかなりの美少女の部類に含まれることには、誰も疑問を差し挟むまい。まだ十一歳という年齢にも関わらず、その美貌には大人すら心をときめかしてしまうであろう。
 幼さは時として、この世ならざる美を醸しだすことがある。人形のような完璧さと、儚さ、脆さ。うつろわなければならないこの世の理の中で一瞬の輝きを見せる時。その時の少女はいともたやすく、大人と子供の狭間を行き来してしまう。誰にも捕まえることなど、できやしない。
「じゃあ、いつもみたいに、飲ませて」
 ぼすっ、と志保が再び上体を倒した。改めて見ると、元々上体が起こしやすいように、ベッドに角度がつけられているようで、完全な仰向けにはなっていない。リクライニング機構によって、僅かに頭が上がっていた。
「……わかった」
 志保の命令はに、理歩は従わざるを得ないのだった。理歩の犯した罪によって、志保の両足は奪われてしまったのだから。
 理歩は内股でにじるようにベッドの側まで来ると、長めのスカートの中に右手を差し入れた。なぜか股間を押さえて、ベッドの上に足を載せる。手で股間を押さえたまま、志保の身体を跨いで動きを止めた。
「……どうしたの? 早くしなさいよ」
「う、うん」
 恥ずかしげに頬を染めながら、理歩はおずおずとしゃがみ込んだ。志保の顔に、だんだんと理歩の手で覆い隠した股間が近づいてくる。どうやら下着は穿いていないようだ。
「手、どかして」
「…………」
 今度は返事をせず、理歩は無言のままで従った。手をどかすと、そこにはまだ一本の恥毛もない幼い亀裂があった。しゃがみ込んでいるので、亀裂はやんわりと開いており、小陰唇の淡いピンクが覗く。
「…………」
 志保も無言になり、その幽玄な色合いを見つめていた。理歩は恥ずかしさのあまり、ぎゅっと強く目を閉じている。これから、もっと恥ずかしいことになる。それを思うと身が燃え上がってしまいそうに理歩は感じていた。
「……出てきた出てきた」
「んっ!」
 どんなに理歩が恥ずかしがろうとも身を焦がそうとも、それはゆっくりと重力に従って漏れだしてきた。ピンク色の肉襞を汚すように、拭き取ったはずの精液が滲みだしてきているのだった。
「もっと押しつけて。こぼれるから」
 志保の命令に、理歩は機械的に従った。精液をその深奥から逆流させた幼い亀裂を、志保の口に押し当てる。志保は呼吸のために鼻の穴だけは上手くずらして、口全体で理歩の亀裂を覆った。舌先で、したたる精液を存分に味わうために。
「んんっ」
 理歩の口から、吐息が漏れてしまう。つい先程、弄ばれたばかりで敏感になっている。志保の舌先の感覚が、甘いしびれをもたらしてしまうのだった。
「……なに生意気に、感じてるのよ。さっさと、その時のことを話しなさい。ちゃんと、細かいところまでね」
「……はい」
 器用に口をずらして発せられた志保の命令は、さながら呪文のように理歩を縛りつけていた。理歩は、淫らな言葉を交えながら、克明に語りだした。


 志保に指定されたのは、小学校の用務員だった。名前など知らない。四十過ぎの、目つきの悪い男だった。
「あの……すみません。ちょっと、お願いがあるんですけど」
 そんな美少女、理歩の言葉に男はふらふらとついてきた。理歩が誘ったのは、もう誰も来ない、第二体育用具室だった。そこにあるのは床運動用のマットや跳び箱などで、部活動で使用するようなボールや得点板は置いていない。授業終了後には、誰も使うものはいなかった。
「あの……わたしに、わたしの中に……」
 理歩はおどおどしながらも、大胆に言い放った。
「わたしの中に、たくさん『せいえき』を出してください……」
 男はあまりの言葉に面食らい、回りを見回した。理歩は首を振る。
「だいじょうぶです、ここなら誰にも見られません。見つかったら、わたしも困りますから」
「で、でも、なんで?」
「……わたし、とってもエッチなんです……もう、がまんできないんです」
 しなだれかかるようにして、理歩は男の腰にすがった。ズボンの上から、ペニスのある部分を撫でさする。すぐに硬くなっていくのがわかった。
「おちんぽ、ください。このおちんぽで、わたしの中をかき回してください」


「理歩も、誘うのが上手くなったんだ。もしかして、それが地?」
「そ、そんな、そんなことない」
 ベッドの上でしゃがみ、志保に亀裂を舐め回されながら、理歩は真っ赤になった顔を手で覆った。そんなことはない、そんなことはないはずなのに、
「……思い出して、濡れてきてるよ、このエロ妹」
「あぁっ」
「いいから、話を続けるの」


 理歩はいまだ戸惑う男のベルトを外し、強引にズボンをずり下げた。一緒にブリーフも脱げてしまい、すでに半ば勃起したペニスが現れる。
「お、おちんぽ……わたしの、おちんぽぉ」
 そんなことを口にしているくせに、理歩はペニスを直視できずに男の太腿に顔を押し当てた。それでも手はしっかりとペニスを握りしめる。硬さと熱さを感じながら、ゆっくりスライドさせてゆく。ペニスはどんどん硬くなり、男もその気になっているようだった。理歩は目を強く閉じて、口を開けた。
「うぉっ」
 男の悲鳴にも似た歓喜の声が、理歩の耳朶を打った。しかしそれはすぐに、口いっぱいになったペニスの脈動にかき消されてしまった。
 男の手が、理歩の頭の上に載せられた。男はすっかり、この状況を心置きなく楽しむことに決めたようだ。理歩がしゃぶりやすいように、軽く腰を突き出す。
 理歩は、口を犯されていることを思い、自分の中に燃え上がる炎を感じた。それは身体的にも如実に現れる。たとえば、胸だ。まだゆるやかな丘陵でしかない理歩の胸の頂は、一枚だけのワイシャツに擦れて硬くなっていた。
 それは、上から見下ろす男にとっても如実なものだった。男は理歩の「とってもエッチなんです」の言葉を思い返しながら、意気揚々と手を伸ばす。指先で、くりくりと布地から突き出た頂を攻める。
「んっ、ん」
 理歩の声がペニスで塞がれ、悩ましげな鼻声となって男の劣情を刺激した。
 あまり上手ではないためか、理歩の口からだらだらと涎が溢れだす。それをたまに啜る音が混じり、より一層淫らな音を立てる。男はすっかり舞い上がってしまった。
「こ、こんどはおじちゃんがしてあげるから」
「……きゃっ」
 男は理歩をマットの上に突き飛ばした。埃っぽい、独特の煙が立ちのぼる。
 理歩はそんな状況においても、ついスカートの裾を直してしまう。すぐにめくられてしまうというのに。
 あっさりと覆いかぶさった男に押さえつけられ、理歩はもう抵抗しようにもできない状況に追い込まれた。自分から誘っていたとはいえ、理歩に恐怖が湧いた。
「だいじょうぶ、優しくしてあげるから……」
 言葉とは裏腹に、男の手が乱暴にスカートをめくり上げる。淡いブルーのかわいいパンツが丸見えになった。及び腰になっている理歩の脚を掴んで、強引に持ち上げる。V字に開いた脚を押さえつけ、じっくりとパンツを凝視した。股間の二重になった布地が、縦に一本、染みを作っている。
「ん……なんだ、もう濡らしているのか……ほんとにエッチな娘だね」
「やっ、やぁっ」
 理歩の中途半端な拒絶は、男の嗜虐心を煽るだけだ。
 男が指で、パンツの上から亀裂に沿って指を動かした。脚が大きく開かされているため、パンツが亀裂に食い込んでゆく。
「……お、ここが大きいんだね……それとも、大きくなっちゃってるのかな」
「ひゃぁっ」
 亀裂を擦りながら、その上端にある突起を強く押し込んだ。
「よし、見て確認しよう」
 男はすっかり饒舌になり、理歩を辱める言葉を連発した。そして、パンツのゴムに手をかける。一気に引き抜いた。
「あっ」
 理歩は恥ずかしい所が空気に晒される感覚に息を呑んだ。男が嘆息する。
「……素晴らしい。きれいなオマンコだ。まだ一本も生えてないのに、こんなに濡れているよ」
 男の指が確認するように、亀裂の中を掬った。ねっとりとした液体が、こびりついていた。
「おいしそうだ……」
 言うと同時に、男はむしゃぶりついてきた。音を立てて、啜った。
「んくっ、んっ、ん、あ」
 幼いながらも硬くなった肉芽に舌先が当たると、理歩はあからさまに声をたてた。それが楽しいらしく、男はなんどもクリトリスを舌先で転がした。
「あ、あんっ、や、っ」
 理歩は手を口に当てて、勝手に迸るいやらしい声を押さえつけようとしたが、出来なかった。それどころか、男の愛撫に応えるように腰を浮かせてしまっていた。
 男は理歩の反応に気をよくして、空いた手で理歩の胸をまさぐった。ワイシャツの上からでもはっきりとわかった頂のしこりを、直接触れようと器用にボタンを外してゆく。薄桃色の両乳首をやや強めに摘んで、三箇所を同時に攻めたてる。
「うっ、んっ、んあぁっ、だ、だめっ」
 理歩は慌てて男の頭を押さえつけた。急激な攻めが、激しい尿意を催させたのだ。
 しかし男がそんな事情を知るはずもなく、執拗な攻めが続けられた。
 びくっ、と理歩の腰が震え、
「だめぇぇぇっ!」
 ぷしゃあぁっ、と黄金色の水が吹き出してしまった。


「あははは、理歩はおもらしさんなんだ。ははは」
「…………」
「わたしの顔にはかけないでよね。シャワーの時間、まだなんだから」
「……じゃあ、舐めるの、やめてよぉ」
 半べそになって、理歩が抗議する。しかし志保はおどけたような口ぶりで言う。
「だめだめ、こうやって臨場感出しながら、お話ししてもらうからいいんじゃない。でも……」
 そして、急に声のトーンを落とす。
「わたしをいかせるまで、いっちゃだめだからね」
「…………」
 理歩の背筋が一瞬、凍りついた。
「……それじゃ、続き」


「……あーあ、マットをこんなにしちゃって、いけない娘だな」
「ご、ごめんなさい」
 理歩はマットを汚したことよりも、男の顔に小便を掛けてしまったことに謝っていた。しかし男は、別になんとも思ってもいなかった。
「これじゃ、続きが……あ、そうか」
「?」
 男は理歩を立たせて、抱え上げた。
「きゃあっ」
「この上ですりゃいいんだ」
 理歩は、跳び箱の上に横たえられた。狭い上に高いので、理歩は怖くなった。
「さあ、落ちないようにしっかり支えてるんだぞ」
「え? あ……」
 上体を浮かし、後ろに手を回して身体を支える理歩の脚を広げ、男はそのまま迫ってきた。その状態での挿入をしようというのだ。
「そ、そんな、あ、だめ、はいっちゃう」
「へへ、欲しいのか、これが。中に入れて欲しいのか?」
 男のペニスが、愛液と小便にまみれた亀裂に押し当てられる。くちゅくちゅと音を立ててペニスは亀裂を滑り、クリトリスを刺激する。
「……んっ、ほ、欲しいです」
「ん? もっとはっきり言ってみろ」
「……欲しいです、お、おちんぽ、おちんぽ、欲しいです。わたしの中に、おまんこの中に、入れて欲しいですぅ」
 男は美少女の口から吐きだされる淫靡な言葉をたっぷり楽しんでから、男は自分のペニスに手を添えた。小さな膣口を探り当て、一気に押し込んだ。
「あううっっ!」
「き、きつい……でもそれが、たまらん」
「あっ、あぐっ、うぐっ」
 ずん、ずんという重い突きに、理歩は気を失いそうになった。快感というよりも、痛みというよりも、ただその衝撃に翻弄されていた。つい腕の力が緩む。
「おっと、落ちそうだなぁ。それなら」
 男はいったんペニスを抜くと、理歩の腰を持ち上げた。ぐるりと裏返しにする。
「これなら……丸見えだ」
 跳び箱にうつ伏せにさせられた理歩は、今の自分の恰好を想像して赤くなった。剥き出しのお尻を強く突き出しているのだ。男には亀裂だけではなく、すぼまった菊座まで見えているに違いない。
 身を起こして抵抗しようとした途端、再び亀裂にペニスは挿入された。
「んあぅ!」
「おお、これは動きやすい」
 男は腰を激しく打ちつけた。理歩はしっかりと跳び箱に張りついているため、多少激しくしても大丈夫だ。男は調子に乗って、小刻みに揺すったり、深く突いたりを繰り返す。理歩はされるがままだ。
「んっ、んっ、ふわっ、あっ」
「い、いかん、きつくて、もうイキそうだ……」
 男の動きがどんどん早くなる。絶頂が近づいているのだろう。
 それでも少しの休憩のつもりか、動くのをやめて理歩の背中に覆いかぶさり、耳元で囁く。
「……で、どこに出していい?」
「……お、おまんこの、中に、中の奥の方に、いっぱい、いっぱい出してくださいぃ」
「でも、その」
「だ、だいじょうぶです。わたしは、まだ……来てないですから」
「そ、そっか、それなら……」
 男は安堵して、理歩のワイシャツをめくりあげる。剥き出しになった乳首が跳び箱に直接触れた。そして、腰を激しく振り始めた。
「きゃんっ、こ、こすれて、あっ、んん」
「……よし、一気に、一気にイクぞ」
 がたがたと跳び箱が揺れる。男の汗が顎を伝い、理歩の背中に滴り落ちた。
「はっ、はっ、は……んっ」
「!」
 びしゃあっ、と理歩の奥で、なにかが弾けるような感覚がした。そしてびくびくっ、と震えるペニス。じわぁっ、と理歩の中が熱で満たされた。
 しばらくペニスは入ったままだったが、男は急に冷静に返ったのか、慌ただしく抜いてズボンを上げると、理歩を放ったままで声をかけて出ていった。
「あ、ありがとう。じゃ、また」
 ばたばたと立ち去る男の足音を遠くに聞きながら、理歩は跳び箱から崩れ落ちた。うまく動かない身体をなんとか座らせると、自分の亀裂を見た。そこからはだらしなく、白い液体が吐き出されていた。
「……いけない。ちゃんと持っていかないと」
 それでも溢れ出た分をハンカチで拭った。青臭いような独特の臭気を嗅ぎながら拭っていると、なんだかとても悲しい気持ちになって、泣きたくなった。しかし理歩には、泣くことよりも先に、することがあった。この精液を、姉の元へ届けることだった。
 涙をぐっと堪えて、理歩は立ち上がった。脚をすり合わせて、亀裂が開かないように歩き出す。


「……ふうっ、ごちそうさま」
「んっ」
 糸を引かせて、志保の舌が亀裂から離れた。理歩の胎内に残った精液はきれいに啜り取られ、もう垂れ落ちることはなかった。
 何故だか名残惜しげに、理歩は立ち上がった。こんなことを繰り返しているうちに、いつしか志保に亀裂を舐められることに快感を覚えるようになっていたのだった。
「それじゃ、こんどはわたしね。理歩」
「は、はい」
 理歩はおずおずと布団を上げ、膝までしかない志保の脚の間に入った。志保も下着は穿いていなかった。
「早く、キレイにして」
「…………」
 そこは理歩と同じで一本の恥毛も生えていない場所だったが、幼さを残す一筋の線になっている理歩のものとは違い、志保のものは小陰唇が肥大してとび出ており、まるで大人の性器のようだった。
 そしてそれを見るたび、理歩の心に憐憫と、重苦しい罪の意識が湧くのだった。
「……そんな目で見るんじゃないのよ。そこがそうなったのも、足がなくなったのも、みんな、あんたのせいなんだからね。あんたが、あんたがあの時、一人で逃げだしたから……」
「おねぇちゃん……」
 この時になって初めて、理歩は姉のことを呼んだ。しかしそれは逆に、志保を激昂させるだけだった。
「いいから舐めなさいよ! ほら、その舌で、傷ついたおねぇさまのココを慰めなさいよ!」
 腕を使って上半身を起こし、目をつり上げて志保は怒鳴った。膝までしかない脚を自分で大きく広げて、性器を誇示するようにして。理歩はなにも答えず、ただ無言で、その性器に口をつけた。途端、志保の表情が弛緩する。
「あっ……」
 力が抜けたのか、志保はベッドに倒れ込むと同時に気の抜けた声をたてた。そしてシーツを握りしめると、双子の妹の愛撫に歓喜の声を立て始めるのだった。



終わり